【インタビュー】小野恵令奈「やっぱり音楽を本気でやっていきたいから、どこかで区切りをつけなきゃ」

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非常に高い歌唱力と表現力、そして独自のセンスと発想力。そして、それを形に成し遂げる実行力とストイックな闘争心。小野恵令奈が自らをプロデュースする世界感は、並みのアイドルとはワケが違う。

◆小野恵令奈画像

自らを客観視し、もがき苦しむ葛藤をのぞかせながらも、10代の女性の素直な感性をのびのびと表現するアーティスト性は、「えれぴょん」「えれにゃん」そして「Say!! いっぱい」という作品に全て注ぎ込まれている。タイトルのネーミング、その曲調、歌い方、歌詞、そしてそれに合わせたダンスに目線、笑顔…そこから読み取れるのは、これから大きく羽ばたくであろう、小野恵令奈のアーティスト性だ。

──音楽の原体験って、憶えていますか?

小野恵令奈:たぶん小っちゃい頃にさかのぼるんですけど。お父さんがDJだったり、母がすごくロック好きなので、自然と音楽が流れているような家庭に育ったんです。ノリのいい曲だったり、激しい曲も身体に染みついているんですね。そういうサウンドを聴くと、フラッとその音の鳴るほうへ行っちゃったりするタイプっていうか(笑)。

──ご家族の影響が大きいんですね。

小野恵令奈:母曰く、私が3歳の頃にL'Arc~en~Cielさんのライヴに連れて行ったらしく。物心ついた頃に神だなと思ってから、ずっと応援しているんです。バンド系も“ホントに幅広いね”って言われるくらい聴いていて、昔はユニコーンさんとかも大好きだったんです。

──昔ということは再結成後のユニコーンではないと思うのですが、そうするとリアルタイムではないですよね。年代問わず、ロックをはじめとする音楽に親しんでいたわけですか?

小野恵令奈:はい。私が生まれてない頃の曲も、家ではずっとCDが流れていたので。工藤静香さんの歌とかもすごい好きだったんですよ。ちょっと懐かしいメロディというか。そう言われてみれば、コテコテのロックが好き!というのとはちょっと違うかもしれないですね。自分の気分が落ち込んだときに、歌を聴いたりすると自分のテンションもアガるっていうところで、歌ってホントにすごい力を持っているんだなって思ったりしていましたね。

──音楽への目覚めはかなり早い段階からだったと思うんですが、自分で音楽をやりたいとか、歌いたいという感情が芽生えたのは?

小野恵令奈:それはもうすごく前から思っていましたね。13歳の頃からグループに所属していましたし。ただ、“この曲すごく歌いたい”と思っても、13歳の小野にはまだその歌詞が似合わなくて歌えない、みたいなモヤモヤ感はあったんですよ。それでも、自分はやっぱり何かを発信したい人間なんだなっていうふうにはずっと思っていて。

──そういう経験が、ますます歌いたい欲求を高めたともいえそうですね。

小野恵令奈:だから、今、こうしてソロ・デビューできて、すごく居心地よく感じていますね。周りから音楽をやらされてるっていうふうには絶対に思われたくなかったので、この1年間は仕事の合間に、一週間声が枯れてしゃべれなくなるくらいスタジオ練習に入ったり、歌の先生のところに行ったり。そういうことを常にやってきたので、少しずつ進歩しているんだろうなと実感しつつではあるんですけど。

──これまでの作品はご自身が作詞も手掛けていますが、歌詞を書き始めたのは?

小野恵令奈:もともとは歌詞を書こうと思ったわけじゃないんですけど、きっかけがあって。私、小学校6年生の後半からグループに所属したんですけど、それまでちょっとイジメを受けていたんですね。ただ、基本的に自分は負けず嫌いなので(笑)、そういうことをされても学校へ行きたくないとかは思わないタイプだったんです。そのときにマンガかドラマから、インスピレーションを得て。

──その受けた影響というのは?

小野恵令奈:今日の自分が、明日の自分に向けて携帯でメールを打つんです。今日あった出来事や感じたことを自分のアドレスに送信するんですけど、それを次の日に開いてみるっていうことを繰り返していたんです。そうしたら段々それが、メールからポエムっぽくなっていき、ポエムから作詞っぽいものになっていき…。気付いたら作詞をしたいというか、これに曲を付けたらどうなるんだろうと考え始めていて。

──自分に宛てた携帯メールが作詞のきっかけであって、その携帯が大切な作詞ツールなんですね。

小野恵令奈:そうですね。当時から、なんかもったいないなと思って、いまだにそのメールも受信ボックスに入れっぱなしなんです。今も私は普通にパソコンで歌詞を作れなくて。ホントにメールの作成画面を見ながら歌詞を打っていくんですよ(笑)。

──携帯ということは、場所を選ばず作詞ができると思うんですが、特にこういう場所だと歌詞が思い浮かびやすいっていうシチュエーションはありますか?

小野恵令奈:“今回はこういうテーマで”っていう要望があったときは、家でしか考えられないんですけど、それ以外の作詞は電車の中のほうが多いですね。電車に乗っていると、なんとなく視線を上げてられなくて、携帯をイジってないとダメなんですよ。そうするとそのときの気分で書けるんです。ワンフレーズだけだったり、完全なる自己満足だったりもするんですけどね。あとから読み返して、マジ笑える歌詞とか超いっぱいあるんで(笑)。集中しすぎて、駅を乗り過ごした!とかもあります(笑)。

──「Say!! いっぱい」は3作目となる最新シングルですが、デビューからわずか半年の間に3作という、非常に速いペースでのリリースですね。

小野恵令奈:2012年6月にデビューして、いろいろと周りの環境も変わり、小野恵令奈として本気で音楽をやっていくということが見せられた1年だったと思っていて。それはやっぱりファンの方々に応援していただいたおかげという気持ちがすごく大きいんです。その結果としてレコード大賞の新人賞を受賞させていただいたり。実は、3枚目のシングルを2012年内にリリースする予定はなかったんですけど、感謝の気持ちを込めて、やっぱり2012年最後にリリースしたほうが、自分も後悔しないだろうなっていうことで。

──ということは、制作にはあまり時間がなかったということですか?

小野恵令奈:ホントに1ヵ月前とかに決まったんですよ(笑)。ただ、今このタイミングで伝えたいテーマは明確で。2013年からまたいろいろなことをスタートさせようと思っているので、それに向かってがんばる私、みんなにも一緒に頑張ってほしいっていう想いを込めた作品は、今作りたかったものだったから。

──それで精一杯という言葉に掛かった「Say!! いっぱい」というタイトルなんですね。

小野恵令奈:がんばる人へ向けた応援ソングですね。それに、ライヴとかで盛り上がるキャッチーな歌詞がいいよねって。ただ、ひとつ言えるのが「Say!! いっぱい」って、1作目の「えれぴょん」や2作目の「えれにゃん」と比べると、自分でもちょっと変わったと思えるんです。作曲はこれまでの二作と同じSmileRさんですし、作詞は私だから変わらないはずなんですけど。ジャケットとか見てもらったら、その違いが伝わるかもしれない。

──確かにジャケットも、楽曲自体もこれまでとは方向性が異なりますが、ご自身はその違いはどういうところにあると思っています?

小野恵令奈:今回はナチュラルだなって思っているんです。それはもちろん、「えれぴょん」と「えれにゃん」があったからこそ、「Say!! いっぱい」が出せたんだろうなって。「えれぴょん」は王道アイドル的な衣装の王道アイドルソング、「えれにゃん」は自分をネコに例えたコンセプチュアルなシングルだったんですね。そういうことを経たから、今、ナチュラルな小野恵令奈を見せられるのかなって思うんです。ヘンな話、次のシングルでバリバリのロックをやっても、すっごい変わったなという感じにはならないかなって。そういった意味でも、これまでの二作があったから、今回の「Say!! いっぱい」があるというふうに、バトンタッチにようにつながっていくのかなって思っているので。

──新たになっていく一方で、本質自体は変わらずに次の作品へ受け継がれてるわけですね。

小野恵令奈:自分は今回の再デビューで、包み隠さず、ありのままの小野恵令奈ですべての仕事をしていきたいと思っているんです。だから言ってはいけないことも言っちゃうし(笑)。もう自分の中で怒られるまで挑戦してみるみたいな(笑)。それぐらいの気持ちがあるから、自分の人生にこれしちゃいけないあれしちゃいけないとかは別にないと思っています。

──そういう気持ちは「えれぴょん」というデビュー・シングルの一行目にすでに表れていましたよね。<こんな今の僕には 未来に期待なんてしない♪>という衝撃的な幕開けでしたけど、それは等身大の自分で歩いていくという決意表明のように感じたのですが?

小野恵令奈:「えれぴょん」の歌詞はスタッフさんも含めてすごく話し合ったんです。結構、暗めな歌詞で始まるので、いいのかな?っていう。でも“このままいかせてください”ってお願いして採用されることになったんです。当時の考えをストレートに表現した文章ですよね、あの曲は。自然とサラサラっと出てきちゃってすぐに書けたんで。それまでの2年間活動休止していて、自分の中で伝えたいことがまとまってたっていうのがあったんだろうと思うんです。

──わずか半年ながら「当時」と言うあたりに、この半年間の密度の濃さが表れていますね。そして、現在のご自身は「Say!! いっぱい」のビジュアルにもサウンドにもよりナチュラルに投影されていますか?

小野恵令奈:リカちゃん人形で言ったら、これがリカちゃんですっていう一番ベーシックなもので。小野恵令奈ってどういうコなの?って言われたときに、「Say!! いっぱい」のミュージックビデオを観ていただけると一番伝わるかもしれない。ホントにノーカットの一発勝負で、リップシーンが入ってくることもなく、始めから終わりまで、ずっと原宿を練り歩いているだけの作品なんです。でも、たった3~4分のミュージックビデオの中で、私自身が見ても、素で驚いている、素で喜んでいる、素で照れているっていうのがすごくわかる映像になっていると思います。


──アップテンポな曲調にも似合ったミュージックビデオに仕上がっていますね。デビュー作から一貫して作曲はSmileRさんによるものですが、原曲を初めて聴いたときの印象は?

小野恵令奈:あー!ワイルドだっていう感じでした(笑)。カラオケで歌ったら盛り上がりそうですよね。どこか耳に残る…聴いたことがあるとということではないんですけど、すぐに覚えてもらえそうで、私は好きでしたね。原曲はミクちゃんが歌っている状態で聴かせてもらったんですけど、それも良かったんですよ。「初音ミクがカバーしてみた」みたいなカタチで出せたら面白いのになとか思ったくらいで。

──小野さんの曲はギターソロがしっかり入っているものが多いんですけど、これはどうやって決定していくんですか?

小野恵令奈:私がロックが好きだっていうことを知ってくれているということもあると思うんです。いいですよね。SmileRさんの曲って、ロックなのにキラキラした音を重ねるのがすごく上手いので、だからロックをあまり聴かない人にも、一歩引かずに聴けるっていうか。逆に、ギターの音を薄くしちゃうとアイドルアイドルした曲になってしまうこともあるので。そういうバランスをすごく取っていただいていると思うんです。SmileRさんの世界観もすごく好きですし、今後小野恵令奈のいろんな顔を見せていくには、また新たな挑戦もしてみたいなって、ワクワクしているんですよ。

──と言う意味では、カップリングの曲もバラエティに富んだ感じがあります。「ヒミツ」は爽快感のある楽曲ですし、「ロミオとシンデレラ」はボカロ曲のカバーですね。

小野恵令奈:カップリングのカバー曲は、私主体で決めさせていただいているんですけど、「ロミオとシンデレラ」に関しては、4年前にニコニコ動画にハマってから、すごく良い曲だなってずっと聴いていたので。自分の勝手なイメージなんですけど、冬っぽいイメージがあったんですよね。冬にリリースする作品に入れたいと思っていたので、今のタイミングで入れてみるのもありなのかなと。ボカロは好きなので、カバーしてみたい曲がすごいたくさんあるんですよ。もう悩みに悩んで、一番最後に録ったんです。だから、「ロミオとシンデレラ」でいいんじゃないっていうような感じではなかったというか。アルバムまで取っておきたいという気持ちもあったくらいなので。

──それほど思い入れも深かったんですね?

小野恵令奈:はい。今回収録することにしたのは、次回作とかにつなげられるといいよねっていう想いがあるんですね。すごいかわいらしい歌詞と曲調だけど、ロックだし、歌詞も例え方とかがけっこうきわどいところを突いてて。そういうところが、今後自分のリード曲でやってみたいなと思っている世界観とちょっと似ていたので。次回作がどうなるとかまだわからないですけど、ここでやっておきたいなって。

──では最後に、「えれぴょん」「えれにゃん」と続いた「えれ○○○」シリーズは、完結したのでしょうか。

小野恵令奈:そう! みんな期待してくれていたみたいなんですけどね(笑)。一作目と二作目は、私の名前を思えていただきたいっていう想いがあったんですが、そればかりに頼ってても、いつかは飽きられてしまいますし、そればっかりはふざけすぎじゃないかなって(笑)。やっぱり音楽を本気でやっていきたいから、どこかで区切りをつけなきゃ、みたいな。仏の顔も三度までということで、二回くらいで止めておこうかなと(笑)。

──二度あることは三度あるともいいますし、あとの一回はまたどこかで(笑)?

小野恵令奈:そのふざけはまた、のちまで取っておこうと思います(笑)。

取材・文:梶原靖夫

<小野恵令奈イベント>
●12/26(水)18:00~イオンタウン千種 1Fセントラルコート●12/27(木)18:00 あべのキューズモール 3F スカイコート
●12/28(金)18:00 サンシャインシティ アルパ B1 噴水広場
●2013年2月11日(月、祝)時間未定 バレンタインイベント@渋谷(タイトル未定)[問]ワーナーミュージック・ジャパン:03-6439-8600(代)受付時間10:00~18:00 ※土日祝除く

「Say!!いっぱい」
●初回限定盤A【表えれ盤】\1,500(tax in) WPZL-30468/9
1.Say!!いっぱい
2.タイトル未定
3.Say!!いっぱい off vocal ver.
DVD
1.Say!!いっぱい MUSIC VIDEO(仮)
2.Say!!いっぱい MAKING(仮)
●初回限定盤B【裏えれ盤】¥1,000(tax in) WPCL-11346
1.Say!!いっぱい
2.タイトル未定
3.Say!!いっぱい off vocal ver.
●初回限定盤C【友達になりたい盤】¥1,000(tax in) WPCL-11347
1.Say!!いっぱい
2.タイトル未定
3.Say!!いっぱい off vocal ver.
●通常盤 ¥525(tax in) WPCL-11253
1.Say!!いっぱい
2.Say!!いっぱい off vocal ver.

◆小野恵令奈オフィシャルサイト
◆無料FCサイト「えれ属」
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