【ライブレポート】ザ・ローリング・ストーンズ、ロンドン公演第2夜「エンタテインメント・ショーとしても完璧なもの」
たった5回しか行われないザ・ローリング・ストーンズ結成50周年記念公演。その第2夜は11月29日、キックオフのときと同じ会場であるロンドンのO2アリーナで行われたわけだが、そこでのパフォーマンスはおそらく、今回のプロジェクトそのものの結論になるような気がしている。
◆ザ・ローリング・ストーンズ画像
第1夜となった11月25日、ストーンズはいま現在も自分たちが健在であることを見事にアピールした。ただし、第2夜のストーンズはそれ以上だった。今回は各国を廻るいつものワールド・ツアーではないため、徐々に調子を上げていくといった長期的視野でプロジェクトを展開させることができない。となれば、たった5回しか行われない短期決戦の結成50周年記念公演は、バンドを完成形に近い状態に作り上げて臨む以外に方法はなく、すなわち、第2夜における成功が意味するものとは、第1夜の出来は決して偶然なんかではなかったということと、残されたアメリカでの3公演も刺激的かつ感動的なライヴになるであろうという明るい未来である。
要するに、リハーサルはいつも以上に入念なものだったということなのだろう。そこで、第1夜と違うセットリストが用意されるであろうことは1990年代、2000年代のライヴにおけるストーンズのフレキシビリティを思えば容易に想像することができたし、実際そのとおりで、第1夜に2曲目だった「一人ぼっちの世界」が1曲目、第1夜に1曲目だった「彼氏になりたい」は2曲目だった。そして、続く「ラスト・タイム」、他に「レディ・ジェーン」や「リヴ・ウィズ・ミー」といった第1夜にやらなかった人気ナンバーの披露はファンを大喜びさせるには十分だったし、バンド側からすればそのための選曲でありセットリストの変更でもあった。けれども、たしかな歌と演奏によるパフォーマンスであったということが大きなポイントであったと思う。
いや、ここに挙げた3曲だけでなく、あきらかに今回のストーンズはどのナンバーもていねいに歌うこと、演奏することを心がけている。それは、自分たちの歴史を大切に伝えようとしているように思えるし、その役割に徹しているようにも思える。一方で、ほんとうはそんな堅苦しいものでなく、自分たちの歴史をストーンズ自身がじっくりと楽しんでいるだけのようにも思えたりする。だからこそ元メンバーのビル・ワイマンもミック・テイラーもゲストとして参加しているのであって、それはつまり、みんなで50周年を祝おう、ということである。このことは第2夜オンリーのゲストとなったフローレンス・ウェルチとエリック・クラプトンに関しても然りで、思えば、今回のような趣旨のストーンズのライヴは過去になかった。
だからというべきか、昔からライヴで必ず披露されてきたロック・クラシックが、いままでと違う響きをしているように感じられた。それらを畳み掛けるように盛り込む終盤の構成は通常のツアーでもよくあることだけれど、50周年といういまだからこそ、「スタート・ミー・アップ」「ダイスをころがせ」「ブラウン・シュガー」「悪魔を憐れむ歌」の4連チャンはより刺激的で感動的なものだった。しかもアンコールは1曲増えた計3曲で、それが第1夜に披露されなかった必殺の「サティスファクション」だったのだから強烈。エンタテインメント・ショーとしても完璧なものとなったのだ。
なお、このストーンズの50周年記念公演は12月8日(土)にニューヨークのバークレイズ・センター、12月13日(木)、15日(土)にニューアークのプルデンシャル・センターでも行われ、そのファイナルは日本時間12月16日(日)午前11時よりWOWOWにて「生中継!ザ・ローリング・ストーンズ50周年記念ライブ ONE MORE SHOT」と題し、日本独占生放送されることが決定済み。そして、結成50周年記念の大作ドキュメンタリー『クロスファイアー・ハリケーン』のBlu-rayとDVDのリリースが12月19日(水)に控えていることも忘れてはならないトピックだ。
撮影:有賀幹夫
文:島田諭
編集:BARKS編集部
<ザ・ローリング・ストーンズロンドン公演第2夜 2012年11月29日@O2アリーナ>
1.一人ぼっちの世界
2.彼氏になりたい
3.ラスト・タイム
4.黒くぬれ!
5.ギミー・シェルター (W/フローレンス・ウエルチ)
6.レディー・ジェーン
7.シャンペン&リーファー(W/エリック・クラプトン)
8.リヴ・ウィズ・ミー
9.ミス・ユー
10.ワン・モア・ショット
11.ドゥーム・アンド・グルーム
12.イッツ・オンリー・ロックン・ロール(W/ビル・ワイマン)
13.ホンキー・トンク・ウィメン(W/ビル・ワイマン)
14.ビフォー・ゼイ・メイク・ミー・ラン
15.ハッピー
16.ミッドナイト・ランブラー(W/ミック・テイラー)
17.スタート・ミー・アップ
18.ダイスをころがせ
19.ブラウン・シュガー
20.悪魔を憐れむ歌
アンコール
21.無情の世界
22.ジャンピン・ジャック・フラッシュ
23.サティスファクション
『生中継!ザ・ローリング・ストーンズ 50周年記念ライブ ONE MORE SHOT』
2012年12月16日(日)午前11:00~ WOWOWにて放送
◆ザ・ローリング・ストーンズ画像
第1夜となった11月25日、ストーンズはいま現在も自分たちが健在であることを見事にアピールした。ただし、第2夜のストーンズはそれ以上だった。今回は各国を廻るいつものワールド・ツアーではないため、徐々に調子を上げていくといった長期的視野でプロジェクトを展開させることができない。となれば、たった5回しか行われない短期決戦の結成50周年記念公演は、バンドを完成形に近い状態に作り上げて臨む以外に方法はなく、すなわち、第2夜における成功が意味するものとは、第1夜の出来は決して偶然なんかではなかったということと、残されたアメリカでの3公演も刺激的かつ感動的なライヴになるであろうという明るい未来である。
要するに、リハーサルはいつも以上に入念なものだったということなのだろう。そこで、第1夜と違うセットリストが用意されるであろうことは1990年代、2000年代のライヴにおけるストーンズのフレキシビリティを思えば容易に想像することができたし、実際そのとおりで、第1夜に2曲目だった「一人ぼっちの世界」が1曲目、第1夜に1曲目だった「彼氏になりたい」は2曲目だった。そして、続く「ラスト・タイム」、他に「レディ・ジェーン」や「リヴ・ウィズ・ミー」といった第1夜にやらなかった人気ナンバーの披露はファンを大喜びさせるには十分だったし、バンド側からすればそのための選曲でありセットリストの変更でもあった。けれども、たしかな歌と演奏によるパフォーマンスであったということが大きなポイントであったと思う。
いや、ここに挙げた3曲だけでなく、あきらかに今回のストーンズはどのナンバーもていねいに歌うこと、演奏することを心がけている。それは、自分たちの歴史を大切に伝えようとしているように思えるし、その役割に徹しているようにも思える。一方で、ほんとうはそんな堅苦しいものでなく、自分たちの歴史をストーンズ自身がじっくりと楽しんでいるだけのようにも思えたりする。だからこそ元メンバーのビル・ワイマンもミック・テイラーもゲストとして参加しているのであって、それはつまり、みんなで50周年を祝おう、ということである。このことは第2夜オンリーのゲストとなったフローレンス・ウェルチとエリック・クラプトンに関しても然りで、思えば、今回のような趣旨のストーンズのライヴは過去になかった。
だからというべきか、昔からライヴで必ず披露されてきたロック・クラシックが、いままでと違う響きをしているように感じられた。それらを畳み掛けるように盛り込む終盤の構成は通常のツアーでもよくあることだけれど、50周年といういまだからこそ、「スタート・ミー・アップ」「ダイスをころがせ」「ブラウン・シュガー」「悪魔を憐れむ歌」の4連チャンはより刺激的で感動的なものだった。しかもアンコールは1曲増えた計3曲で、それが第1夜に披露されなかった必殺の「サティスファクション」だったのだから強烈。エンタテインメント・ショーとしても完璧なものとなったのだ。
なお、このストーンズの50周年記念公演は12月8日(土)にニューヨークのバークレイズ・センター、12月13日(木)、15日(土)にニューアークのプルデンシャル・センターでも行われ、そのファイナルは日本時間12月16日(日)午前11時よりWOWOWにて「生中継!ザ・ローリング・ストーンズ50周年記念ライブ ONE MORE SHOT」と題し、日本独占生放送されることが決定済み。そして、結成50周年記念の大作ドキュメンタリー『クロスファイアー・ハリケーン』のBlu-rayとDVDのリリースが12月19日(水)に控えていることも忘れてはならないトピックだ。
撮影:有賀幹夫
文:島田諭
編集:BARKS編集部
<ザ・ローリング・ストーンズロンドン公演第2夜 2012年11月29日@O2アリーナ>
1.一人ぼっちの世界
2.彼氏になりたい
3.ラスト・タイム
4.黒くぬれ!
5.ギミー・シェルター (W/フローレンス・ウエルチ)
6.レディー・ジェーン
7.シャンペン&リーファー(W/エリック・クラプトン)
8.リヴ・ウィズ・ミー
9.ミス・ユー
10.ワン・モア・ショット
11.ドゥーム・アンド・グルーム
12.イッツ・オンリー・ロックン・ロール(W/ビル・ワイマン)
13.ホンキー・トンク・ウィメン(W/ビル・ワイマン)
14.ビフォー・ゼイ・メイク・ミー・ラン
15.ハッピー
16.ミッドナイト・ランブラー(W/ミック・テイラー)
17.スタート・ミー・アップ
18.ダイスをころがせ
19.ブラウン・シュガー
20.悪魔を憐れむ歌
アンコール
21.無情の世界
22.ジャンピン・ジャック・フラッシュ
23.サティスファクション
『生中継!ザ・ローリング・ストーンズ 50周年記念ライブ ONE MORE SHOT』
2012年12月16日(日)午前11:00~ WOWOWにて放送
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