大西洋平【インタビュー】後ろを振り返っているんだけど前に向かって歩いている気持ちが詰め込まれたアルバム『僕らが最後に少年だった夏』
■元々はネガティブでそれまでの人生でもすごく損してた
■それをプラスに持っていけるような力が良いなと思う
──“本当は素敵な一日だった 短い言葉でもいい 今日に名前をつけるんだ”ですね。辛いことがあっても、その一日に名前を付けて記憶に残す。
大西:やっぱり、今に感謝しないと、っていう……。例えば、同じ10円が手に入ったとき、「なんだよ、10円かよ……」っていう人と、「やった! 10円だ!」って喜べる人といると思うんです。たとえそれが小さいものであっても、感動というか感謝できるかどうか。僕が元々はネガティブで、それまでの人生でもすごく損してたんですよね。何も感謝ができなくて。僕と同じような人って多い気がするんで、そういう気持ちがなんとなくでも聴いてる人に伝わればいいなと思ってます。自分が歌う音楽を通して。
──胸をえぐられるような感覚だったり、感謝だったり……。そういうものが伝わる音楽が聴く立場としても好きっていうお話もさっきありましたが、その大元になっている音楽ルーツにはどういうものがあるんですか?
大西:サウンド面では、最初にすごく好きになったのは坂本龍一さんでした。「ガキの使い」か「ごっつええ感じ」で、教授がピアノを弾いてるのを見て好きになって(笑)。
──そういえば、「Crazy」のようなピアノを印象的に使っている曲も多いですね。こういう曲からは、ビリー・ジョエルに通じるような雰囲気を個人的には感じたりもしました。
大西:ありがとうございます! ピアノで曲を作ったりもするんで、そう感じられるのかもしれないですね。中1のときから、2年間だけ地元のピアノの先生のところに通っていたこともあったりしたんで。で、そこからYMOも好きになって、AORとか、その後はジャジー・ヒップホップみたいなのも好きになって……。だから、「今日に名前を付けるなら」は、アコギで弾き語ってるとめちゃくちゃフォークな曲なんですけど、プロデューサーの青柳誠さんにNujabesさんの曲を聴いてもらってプロデュースをお願いしたら、自分の想像を超えるぐらい「いいじゃないですか!」っていう曲になったんです。
──確かに、この曲の節回しは、ヒップホップ的なリズム感があるかもしれないですね。
大西:そうですね。ちょっとフォークソングっぽくしたい、それでいて喋るような口調にしたいなと思って出来ていった曲です。で、今回のアルバムは、“Special Thanks”に“全ての音楽に感謝を込めて”っていう文を書かせてもらったぐらい、僕が聴いてきた音楽を少しずつ色んなところに還元できたらいいなとも思っていて。でも“これって明らかにこの音楽に影響を受けたよね”っていうような印象にはしたくない、トータルでは“誰っぽくも無い”ものができたらなっていうのに、サウンド面ではこだわりました。
──歌詞の面ではどうですか? “胸をえぐる”ような感覚だったり、例えばさっきのお話の“感謝”のような温かさだったりっていう部分では、他のどんなアーティストが好きですか?
大西:例えば……“胸をえぐる”ようなっていう感覚では、最近のバンドではamazarashiがすごく好きですね。あと、長渕剛さんはまさにそうかもしれないです。ちょうどこの間「ろくなもんじゃねえ」を歌っていらっしゃるのを観たんですけど、あの曲は、都会で色々あって人間が信じられなかったけど、やっと何か信じられるものを見つけた。でも、それにも裏切られちまったっていう歌なんですけど。例えば、そこで「もう、僕は……」みたいな感じじゃなくて、それに対して“なんだよちくしょう! ろくなんもんじゃねえ!”って叫ぶところがカッコいいなって。悲しいだけじゃなくて、それをプラスに持っていけるような力が良いなと思うんで、自分自身の音楽に対してもそういう感覚はある意味理想かもしれないです。
取材・文●道明友利
『僕らが最後に少年だった夏』
発売中
LNCM-1008 \2,000(tax in)
1.今日に名前をつけるなら
2.蜃気楼に消えないで
3.Crazy
4.Red eye
5.君というそれだけで
6.プラスチックに永遠を
7.Memo
◆HMV ONLINE
<Live MessengerS vol.8>
12月12日(水)SHIBUYA BOXX
出演:平義隆 / navy&ivory / 大西 洋平 Opening Act:坂井邦先(さかいくにゆき)
<秋も終わりだ!アコ祭り2012>
12月2日(日) 柏パルーザ
出演:阿部祐也 / 大西洋平 / 片山遼 / 関隆浩fr かぐら / trunk / HAYABUSA/ゆうま / Rain&KEN / 他
◆大西洋平 オフィシャルサイト
◆大西洋平 オフィシャルブログ