カミナリグモ【インタビュー】『MY DROWSY COCKPIT』空・コックピット・まどろみのキーワードで現実を照射するコンセプトアルバム登場
■バンドとしては余裕ができたというか
■シンプルにするという遊び心も取り込めた
――この曲は戦争に対しての上野さんなりのメッセージですよね。
上野:はい。立場が違えば人間ってわかりあえないっていうのは、国と国はもちろん、身近な人間関係でもよくあることですよね。それはそれとして、でも、やっぱりいざ争いになると関係ない人が巻き込まれて亡くなったり、自分で判断することができない子供が亡くなったりというのも実際にあると思うので、そういうことは、僕はあってはならないことだと感じるし。何も感じない人はいないはずだとは思うので、そういう争いを繰り返すのも人間だし、逆に人間には想像力もあって。自分の家族とか、親戚の子供たちを思い浮かべて、争うことを思いとどまれたりできるのも人間なのかなと。この「王様のミサイル」という曲の中には、そういう人間に対しての絶望感とか、その絶望に押され気味ではありながらも希望も盛り込まれていて。それはカミナリグモの曲全般的に言えるテーマでもあるんですけどね。絶望と希望のどちらも含まれているような、そういう世界観が必ず僕らの曲には詰まっているのかなって思います。
――「SURVIVE」はまさしくそれがそのまま歌詞になってますね。
上野:ホントそうですね。「絶望と希望のルーレット」って歌詞が出て来るけど、ある意味、このアルバムの世界観を表している。カミナリグモの音楽活動もそうだし、人生を見ても、ルーレットの黒と赤が毎日や一年だとして、黒が絶望で赤が希望みたいな感じで、どちらかだけでは決してない。そんなルーレットを回しながら毎日過ごしているなぁと感じますよね。
――サウンドはさらにバンドとしてまとまっていますね。その上での遊び心がさらにあるし。
上野:前作ほど、バンドのスタイルに固執することなく、それは当然あるもので、それよりも楽曲をより引き立たせるアレンジをしようっていうのはありました。例えば1曲目の「201周目の飛行船」なんかはイントロの変なギターのフレーズから、遊び心のあるサウンドにしようっていうのはみんなそのつもりだったし。「Stray Moon」って曲は、あまりみんな変わったことをせずに、単純に良い曲を良いアレンジで聴かせようっていうようなアレンジになっているし。たぶん、この曲を前作の『SMASH THIS WORLD!』に収録してたら、もっとキーボードのアプローチなんかはリードギター的な役割で、今よりもっとエッジが立ったアレンジになってたと思うんです。今回は、カミナリグモのそういうサウンドは当然のように認識していたので、この曲はギターのアルペジオが綺麗だから、その世界観を大事にしたアレンジにしようと。だからみんなシンプルなんですよね。バンドとしては余裕ができたというか。面白い音を入れるだけが遊び心ではなくて、シンプルにするっていう遊び心も今回は取り込めたのかな。
――「MY DROWSY COCKPIT」がタイトル曲ですね。作ったのは曲が先ですよね?
上野:ですね。楽曲としても手応えがあったし、最初に言ったみたいにアルバムをまとめるにもすごく良い曲だなって。コクピットって設定もアルバム全体のキーワードとも通じるし、DROWSY(まどろむ、眠たい)っていうのも「RUSTY ALARM CLOCK」と繋がっていたり。「RUSTY ALARM CLOCK」はいずれバンドでちゃんと録りたいと思ってるんですが、今回は「DROWSY Ver.」ってことで。「MY DROWSY COCKPIT」の最後のところで主人公がコクピットで唄うんですが、その唄っている歌が「RUSTY ALARM CLOCK」っていうイメージで。そういう楽曲同士のつながりもあったりして。DROWSY=眠たいっていうイメージもキーワードのひとつなのかな。全体的にも夢の中のお話のような雰囲気ですしね。「あの虹」では、その眠りから目覚めて前進しようってイメージでもあるし。そういう意味でも、「MY DROWSY COCKPIT」って曲はアルバムのキーワードを全部表現した曲なのかもしれないですね。
――作品としてのまとまりがすごく強いアルバムですね。
上野:そういう作品が好きなんです。音楽だけに限らず、小説や映画でも、どこかで統一感があったり、「こういうことか!」って発見があったりっていうのがもともと好きで。ミュージシャンではありますが、ちょっと異質というか。ライヴだったり、リアルタイムで人としての魅力を伝えるような感じではなく、作品で伝えるということに俄然モチベーションが上がるタイプなので(笑)。やってることはミュージシャンだけど、クリエイター寄りの感性に近くて。必然的にこうなってしまうんですよ。作ることへの興味がすごく強いので。ライヴでやった曲を音源にしていく人も多いですが、僕らは逆なんです。違和感を感じる人もいるかもしれないけど、こういう方向から音楽へ入って行くことが好きな人もいると思うんです。
――年明けからのアルバムのツアーはどうなりそうですか?
上野:今回のアルバムは非常に作品性が高いアルバムですが、今のメンバーでバンドスタイルになって3枚目のアルバムということでもあるので、よりバンド感のあるものになると思います。ライヴでのイメージが湧く楽曲が収録されているし、ライヴでやる想定をしながら作業もしていたので、それが実際にライヴでどうなるのか自分でも楽しみですね。
取材・文●大橋美貴子
『MY DROWSY COCKPIT』
11月14日(水)発売
KIZC-195/6 \3,000 (tax in)
<CD>
01. 201周目の飛行船
02. Toys
03. SURVIVE
04. あの虹
05. Stray Moon
06. RUSTY ALARM CLOCK -DROWSY Ver.-
07. 脇役の犬
08. ラストシーン
09. 王様のミサイル
10. Butterfly Girl
11. MY DROWSY COCKPIT
12. Perfect Sky
<DVD>
「王様のミサイル」Music Video
「あの虹」Music Video
<MY DROWSY COCKPIT -TOWER RECORDS IN-STORE TOUR->
11月17日(土) タワーレコード梅田NU
11月18日(日) タワーレコード広島
11月23日(金) タワーレコード札幌ピヴォ
12月3日(月) タワーレコード新宿
※観覧フリー。新宿以外は上野啓示の弾き語り。
<Foolish Songs on the Railroad>
カミナリグモ x LOST IN TIME 10th アニバーサリー企画
11月28日(水) 下北沢CLUB Que
出演:カミナリグモ / LOST IN TIME
[問]CLUB Que 03‐3412‐9979
<WE COME BACK TO OUR UNIVERSITY!>
カミナリグモ × FREE★DIVISION presents
12月8日(土) 信州大学 松本旭キャンパス 20番教室
出演:カミナリグモ(ふたりグモAcoustic)
<カミナリグモ presents "SONG WITH NO NAME">
-Special Unplugged Tour-
12月 23日(日) 大阪・JANUS dining SOLD OUT!
12月 24日(月・祝) 名古屋K.Dハポン
※東京公演後日発表
<MY DROWSY COCKPIT -ONEMAN TOUR->
1月20日(日) 長野LIVEHOUSE J
1月26日(土) 浜松FORCE
2月2日(土) 福岡SPIRAL FACTORY
2月3日(日) 広島NAMIKI JUNCTION
2月10日(日) 名古屋ell.SIZE
2月11日(月*祝) 大阪Shangri-La
2月16日(土) 仙台PARK SQUARE
2月23日(土) 札幌COLONY
3月3日(日) 渋谷CLUB QUATTRO
◆カミナリグモ オフィシャルサイト
◆カミナリグモ KING RECORDSアーティストページ
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