小泉今日子【インタビュー】『Koizumi Chansonnier』アイドルの小娘がこんな大人の歌をうたえるようになったと思っていただければ

──昔の恋人への想いをセンチメンタルに描いた浜崎貴司さんの「写真」は昭和の匂いが漂う曲ですね。

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小泉：浜ちゃんには前も「ラブバラ　LOVE-BALLAD」や「厚木」を書いてもらったんですが、作家として相性が合うんですよね。メロディーに昭和の匂いがしたので、ブラックベルベッツのナイトクラブ風な演奏が合いそうだなと、あえてレトロな内装の町のラウンジみたいな雰囲気で演奏してもらったんです。

──いとうせいこうと藤原ヒロシによるユニット、サブリミナル・カームの「カントリー・リビング」を今回取り上げたのは？　元々はザ・スタイリスティックスのナンバーに日本語詞をつけたものでしたが。

小泉：サブリミナル・カームのアルバムが出た頃、好きでよく聴いていたんですが、去年の震災以降、この曲の歌詞がまた違う意味で聞こえてきたんです。私自身も海辺だけど「カントリー・リビング」を実践していることもあるし、都会を離れて生き方を変えた人が増えたり、この歌は今すごく響くように思えて。それを川辺ヒロシくんが気持ちの良いアレンジで仕上げてくれて。

──二階堂和美さんとは初コラボレートですが、小泉さんの歌心が沁みる2曲になりましたね。

小泉：二階堂さんの『にじみ』がヤバイと川辺くんが言うので聴いてみたら、本当に素晴らしくて曲をお願いしました。「ごめんね」は、言葉もシンプルで説明的じゃないのに、想いがすごく伝わってくる。昔の歌謡曲、たとえばちあきなおみさんの歌とか、そういう良さがありましたよね。私がそこまで歌えたかどうかは分からないけど、二階堂さんから私の声で“ごめんね”や“ありがとう”という言葉を歌ってほしかったと聞いて、うれしかったですね。

──「わたしのゆく道」は女と老いというテーマをユーモラスに描いてなごみました。

小泉：音頭ものは初めてだったけど、楽しかったです。その中にいくつになっても女心を忘れない可愛げとたくましさがあるのがいいですよね。70代のおばあちゃんにぜひカラオケで歌ってほしいくらい。女の人って歳を取ると可愛いもの好きになったりするでしょ。あのちょっとピントがずれた可愛らしさと通じるいとおしさがある曲ですね。

──小西康陽さんの「面白おかしく生きてきたけれど」は、1989年の「男の子はみんな」の女の子のその後を思わせるような主人公が登場しますね。

小泉：まさしくそうですね。歌詞の中に「艶姿ナミダ娘」の“なぜなの涙が止まらない”を引用していただいて、ぐっときちゃいましたね。“もしかして、私の心模様を水晶玉で見てませんでしたか？”って思わず訊きましたもの（笑）。この曲は小西さんにヴォーカルのディレクションをしてもらったんですが、歌をすごく褒めていただいて、トイレでこっそり泣いちゃいました。

──「小雨の記」も猫と暮らす素顔の小泉さんが見えてくる。

小泉：家に猫といるだけで、週刊誌には引きこもりなんて書かれたこともありますけど（笑）。猫ともいつか別れなくちゃいけない時がくるし、人生を折り返したら、いつ、誰とさよならする時がくるか分からない。だからこそ、生がいとおしく思えてくるし、それを猫から教えてもらっているのかもしれない。

──アルバムを締めくくる「シャンソン」は早川義夫さんの曲のカヴァーですが、この曲を取り上げたのは？

小泉：レコーディングが一通り終わって、何気なく“シャンソン”を検索したら、この曲をみつけたんです。高田渡さんの素直で可愛い歌詞と、シャンソンというよりフォークな雰囲気もよくて、急遽、後輩の小池徹平くんにデュエットをお願いしてみました。若い男の子とこんな可愛い歌で共演するのも私らしいかなと思って。

──デビュー30周年を過ぎた今の小泉さんだから歌える、聴き応えのある曲が並んだ会心のアルバムになったのではないでしょうか。

小泉：そうですね。『Nice Middle』から自分にふさわしい歌を探してきましたが、今回はそれが確信できたかな。同世代はもちろん、若い人たちや人生の先輩の方々にも聴いてもらえるアルバムになったと思います。アイドルの小娘がこんな大人の歌をうたえるようになったと思っていただければ。

取材・文●佐野郷子（ドゥ・ザ・モンキー）


『Koizumi Chansonnier』
10月24日(水)発売
[限定盤] VIZL-499 \3,700(tax in)
[通常盤」 VICL-63932 \3,150(tax in)
CD 1
01.Sweet & Spicy
02.100%
03.大人の唄／Une chanson pour les grands
04.プライヴェート
05.わが麗しき恋物語／Ma plus belle histoire d’amour
06.写真
07.カントリー・リビング
08.ごめんね
09.わたしのゆく道
10.面白おかしく生きてきたけれど
11.小雨の記
12.シャンソン
CD2
01.Kyon30 SINGLE MEGA MIX
02.夜明けのMEW (i-dep BON Remix)
03.私の16才 (DJ OMKT remix)
04.艷姿ナミダ娘 (tofubeats BXVTS remix)
05.ヤマトナデシコ七変化（okadada remix）
06.あなたに会えてよかった（Booty Bronx Remix）
07.なんてったってアイドル (Norihito Ogawa Remix)
08.迷宮のアンドローラ (Hoshina Anniversary Remix)
09.優しい雨 (SixMAN Remix)
10.Fade Out (music note Remix)

＜初回盤購入抽選の完全招待制プレミアムライブ＞
2013年2月9日（土） 東京都内某所
http://jvcmusic.co.jp/cp_info/
【応募締切】2013年1月10日(木)当日消印有効
※招待は初回盤封入ハガキをご覧下さい

◆小泉今日子 オフィシャルサイト

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