heidi.、新たなるheidi.の挑戦がここから始まる『アルファ』大特集

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Mussy Apes 1st Album『Crush It』2012.9.5 リリース “好き勝手にロックをやりたい”日米の精鋭たちが一堂に会しワイルドなサウンドを叩きつける

──完成したアルバムを聴いて、いまどんな手応えを感じてらっしゃいますか?

義彦:海外のプロデューサーを迎えて、単純に音がカラッとしてるから僕はそれが男らしいサウンドに感じられて。聴いてても曲の振り幅が広いし、いままで作ったアルバムのなかでは一番好きだなと思ってます。

ナオ:ミックスをアメリカでやったことによって、義彦が言ったように、いままでのアルバムとはサウンド、音の作り方が全然違う。すごく新しいことに挑戦したんだなということがリスナーにも分かってもらえる作品になったんじゃないかなと。曲もバラエティーに富んでいるので、そこも作品としてアピールできてると思います。

──“新しいことに挑戦”というのは、いまのheidi.のテーマでもあると思うんですが。このアルバムもまさにそんなことをテーマにした楽曲「衝動」で幕を開けるんですよね。

ナオ:この曲、じつは一番最後にできた曲なんですよ。なにしろ1曲目がなかなか決まらなくて。これ、アルバムの選曲会には無かった曲。このアルバムの1曲目のために書き下ろしたんです。

義彦:1曲目の候補は他にあったんですが、もっと強いもの、インパクトがあるものってことで、「衝動」がメンバー一致で“これだ!”となったわけです。曲もインパクトが強かったんで、歌詞も強さを出して。“受け入れなその全てを”とか、そんな偉そうな言い方はいままでしなかったんですが、新しいことに挑戦という意味でやってみました。

──アルバムを聴いて改めて思ったんですけど。heidi.の歌詞は人間の孤独感みたいなものが潜んでいて、暗めのものが多いですよね。

ナオ:義彦の書く歌詞はそうでもないんですけど、自分が書いたものはそうですね。そういうところにいるのが好きだし、そこから出たくないというものが多い。

義彦:昔はもっと暗かったですからね(笑)。それがheidi.の世界観でもあったんで、僕は逆に分かりやすい歌詞を書くように心がけています。前のバンドやheidiの初期には僕は歌詞を書いてなかったんですよ。でもナオ君から“この曲は歌詞を書いて欲しい”と言われるようになって書くようになったんです。最初はナオ君がお手本だったんで自分も暗い歌詞を書いてたんですが、だんだん自由に書きたいことが書けるようになって、いまのスタイルになったんですよね。

──なるほど。3曲目の「アナザーフィッシュ」はファンキーにグルーヴしていくベースが引っ張っていく楽曲でしたが。こういうサウンドもバンドとしては新しい挑戦だったんですか?

ナオ:いや、こういう4つ打ちの曲はいままでもあったんすが、そのなかでこの曲はもっとシンプルなもの、ベースがリフレインで最初から最後まで押してくような曲を作りたくて挑戦した曲です。ベースは大変そうでしたけど(笑)。

──この後に入ってる「リトルガーデン」は、これぞheidi.な楽曲ですよね!

ナオ:これはhedi.というよりも“俺”!?

義彦:そう。聴いた瞬間に“来たな”と思いました。

ナオ:俺の趣味みたいなものですから(笑)。こういうのが入ってないとストレスが溜まるんで。この曲が好きならheidi.のことも好きになってもらえると思います。たぶん。

義彦:こういう曲がくると、やっぱり歌も安心して歌えるんですよ。

ナオ:歌だけじゃなくてリズム隊もそうだよ。こういう曲には慣れてるからレコーディングもこの曲はすごく早かった。

──では逆に、今回すごく時間がかかった曲というと?

ナオ:「青の世界」ですね。これもシングルの「曇り空には恋模様」同様、プロデューサーサイドの意見が反映された曲なので、プリプロの段階でも本番でも時間がかかった。

──サウンドの質感がUKっぽい仕上がりになっていて、音の空間で聴かせる曲なんですよね。

ナオ:まずそういうものが俺らのなかにはなかった要素なんです。だから、俺たちだけでアルバム作ってたらこの曲は入んなかった。この曲はずっとフワフワしてて。

義彦:それが最後まで続いていくからね。

ナオ:でも、そういうものが人の手が加わることでこういう風に変化するんだというのが分かった1曲。

義彦:歌も、いままでやったことのないことに挑戦している曲で。とくにサビまでの流れ、こういう曲は言葉の韻を意識して抑揚をつけながら歌ってサビを生かせ、というのをプロデューサーに何度も言われてやってみました。

──ライヴではどうなりそうですか?

ナオ:難しそうですね。

義彦:ステージングもどうしようかね。この曲はアルバムのなかでも一番heidi.っぽくないんで、どうなるのか楽しみです。

──そういうバンドとして一番トライした曲の後に流れてくるのが「メルト」!

義彦:ポップで安心しますね。「青の世界」の後にすぐにAメロの歌が聴こえてくるというのが、すごくキレイだなと個人的には思ってて。こういう作りはいままでのアルバムにはなかった感覚なので、そこも新しい。

ナオ:これまでいきなりAメロ歌始まりという曲はなかったからね。これもプロデューサーサイドが気に入って選んできた楽曲の1つです。ポップなんだけど、自分がいつも使わないようなコードを使って構成してるところは、新しい雰囲気が出てるかなと思います。

──そして次の「モノクログラデーション」。

ナオ:去年からライヴでやってる曲を満を持して音源化。これもメロディは俺らしいんだけど、歌詞だけ単独で読むと……暗いね(笑)。

義彦:でも、これは真っ暗じゃないから。昔は「死んだ世界」とか歌ってましたから(笑)。

──歌詞の部分でいうと次の「ランドスケープ」はアルバムのなかでも一番暗い世界の底に沈んだまんまで。

ナオ:そうですね。こういう世界観が好きだからしょうがない(笑)。だから「メルト」のような明るい曲は義彦に歌詞を書いてもらって、こういう曲や次の「哀レ廃人」のような、ちょっと病んじゃってるような歌詞は自分が書く。という感じで、棲み分けはしてるんですよ。

──「哀レ廃人」はこのアルバムのなかで一番アグレッシブなロックチューンですよね。

ナオ:こういう激しい曲もウチらはあるんですけど。そのなかでもこの曲は、歌寄りのポジションにある曲で。激しくていかにもガツガツしてるような曲はもういいかなと思って、歌寄りで作ってみました。

──そして、アルバム最後を飾るのがバラード「彼方」。

ナオ:これが「衝動」の次に新しい曲。俺の得意なタイプの曲ではあるんですが、曲の聴こえ方というところでキュッとしてるんじゃなく広がりある聴こえ方。そういうところが新しいと思います。

義彦:アルバム発売前にライヴで一度歌ってみたんですが。ものすっごい気持ちよくて。それがいまでも忘れられないです。これからツアーで披露してくのが楽しみな1曲ですね。

──このアルバムに『アルファ』というタイトルを付けたのは?

ナオ:プロデューサーが加わったということで、自分たち+アルファ。あと、今年ベスト・アルバムを出して一つの区切りができて、ここからまた新しく始まる。アルファという言葉には物事の始まりという意味もあるので、そこも含めてこのタイトルにしました。

──そしてこのアルバムを発売後、11月7日からは全国ワンマンツアー<+α>が始まります。ツアータイトルはアルバムタイトルに“+”が加わってますが。これは?

ナオ:自分たち+お客さんという意味で、じつはアルバム・タイトルよりも先にこっちがあったんで、そこをアルバムとも連動させたんです。

義彦:今回のツアーは楽しみです。アルバムがバラエティーに富んでるんで、ツアーも過去の曲も含め、いろんな曲がやれたらなと思ってます。今回のライヴは“ニコニコ生放送”で配信されるので、毎回違った発見もあるだろうし、それを出していければと思ってます。

──毎回生放送されるとなると、ステージの緊張感も普段とは違ってくるものなんですか?

義彦:(生放送を)意識したら終わりなんです。意識したとたんに緊張しだすんで。

ナオ:ライヴはあくまでもその場にいるお客さんと作っていくものなので。まずは会場に来てもらったお客さんに満足してもらえるライヴをやって。それをニコ生で見たお客さんが“heidi.のライヴ、行ってみたいな”と思ってくれるきっかけになったらと考えてます。

──今回のツアーはバンド史上最多本数のライヴをやることになるんですよね? そこもバンドとしては新しい挑戦ですね。

ナオ:今回はアルバムもそうですけど、やったことがないプロデューサーを入れ、やったことのない本数のツアーをやるという。

義彦:このツアーでは行ったことのない場所にも行きますし、こうやって年をまたいでツアーをやるのも初めて。

ナオ:そんなツアーにやったことのないニコ生の企画を連動だせ、このアルバムも発売前YouTubeで全曲フル配信したり。「曇り空には恋模様」のシングルからツアーまでのheidi.の一連の活動は、“やったことないことをやれるだけやっちゃおう”というのがテーマなんです。やったことないことをやれば、必然的にバンドも成長するだろうから。ツアー初日と最終日では、まったく別のバンドと思えるぐらい成長できたらなと思ってます。

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