歌詞サイトは新人ブレイクへの登竜門?

ポスト
歌詞検索サイト「歌ネット」では、歌詞検索数が顕著に多い若手アーティストを対象に、毎月“歌ネット・ルーキー”を選出しているが、過去3年合計36回の歌ネット・ルーキーのデータを振り返ると、そこにはアルバムヒットへの因果関係が見え隠れする。

歌詞検索数が多いこのルーキー36組のうち、24組ものアーティストが、その後1年以内にCDアルバムのオリコンTOP10入りを果たしているという。これは、有線放送やFMオンエアなどのランキングと比べても、ヒットとの相関の高さは群を抜いているものだ。レコード会社ごとで見ても、アーティストの所属レーベルは、ユニバーサルミュージック、SME、エイベックス…と、CDシェアの高い3大メーカーと一致しており、ヒットとの関係の強さが符合する。

なかでも高いシェアを見せるユニバーサル シグマにて、制作も統括するマネージング・ディレクター代行中村卓氏に話を聞くと、歌詞について次のように語っている。

「うちの制作チームは、歌詞をとても重視していますし、言葉へのこだわりが異常に強いですね。歌詞で大事なことは、2つの軸「共感」と「インパクト」だと思うんです。前者は、聴く人が「ああ、こういうことあった…」とか「コレ…あたしのこと歌ってくれてる…」みたいなリアルな感情ですね。つまり、「共感」の下にあるのは「物語」であり「感動」であり、「喜び」「悲しみ」「苦しみ」であり、それらを全て合わせたようなもの。また、後者は「言葉のキャッチーさ」や「言葉のはまり」「タイトルの強さ」など。そして、この2つの軸がはまった時に、素晴らしい歌詞となり、曲となり、それが最終的に皆さんに受け入れられるのだと思います。」

9月19日には、同社から男声デュオGOLD RUSHがシングル「宝物」でメジャー・デビューを果たすが、これらの指標に注目すると、沖縄在住らしい明るい歌声と爽快で弾むようなサウンドとともに、先輩アーティストのナオト・インティライミ同様、ブレイクの確度が高いということが予測できそうだ。

音楽チャートアナリストのつのはず誠は「昨今は、イベント参加券などオマケありきのCDがヒットしやすい時代。しかし、その一方で歌詞の魅力からCDをヒットさせるレーベルも確かに存在している。今後の市場活性化には、歌詞やメロディーなど、音楽ありきでヒットするアーティストを増やすことだろう」と語る。歌詞サイトでの注目は、今後に於いても重要な指針になるというのが、氏の分析だ。

この記事をポスト

この記事の関連情報