石毛輝、多幸感と達成感を満面に湛えて

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the telephonesのフロントマンである石毛輝が、2ndソロアルバム『My Melody』の発売を記念して東名阪ツアーを開催、そのファイナル公演が渋谷WWWで開催された。

◆石毛輝 拡大画像

the telephonesファンと思しきオーディエンスもこの日はどこかリラックス・モード。女性同士やカップルの姿もちらほらと会場内に見受けられる。ツアー・スタート前には豪華なバンド・メンバーが明かされていたが、ステージ上に所狭しと並ぶ機材たちが、その未知なるサウンドへの想像力を掻き立てるようだ。

石毛を筆頭に、mouse on the keysの川崎昭(Dr)、ZAZEN BOYSの吉田一郎(B)、the telephonesのノブこと岡本伸明(Key、G)が登場。石毛がシーケンスを走らせると、それに呼応するようにノブと石毛がシンセを連弾する。そんなイントロダクションから怒涛の人力ブレイクビーツに突入した1曲目は「TheNew Year Song」だった。音源では宅録やフィールドレコーディングを中心にしていたが、それが圧倒的にフィジカルなサウンドとして会場内に響き渡る。

続く「Fireworks」は手作り風の線画映像が2台のモニターに映し出されて、どこかほのぼのとした味わい。「Flowers On The Wall」では石毛とノブがエレピとギターを途中で交替するなど、セッションの自由な進化形を展開した。

次のブロックへ行く前に石毛のMCが入る。「このツアーをとても楽しんでいる」こと、「それは自分以外の3人がいるおかげ」とバンド・メンバーを紹介。そして「みなさんは皆既月食見ましたか?」と、エキゾティックなシーケンスが印象的な「Lunar Eclipse」へ。あらかじめiPadにプログラムした自分のサンプリングボーカルを弾きながら、石毛のダブル・ボーカルを聴かせる場面もあった。

音源での繊細さが随所に活かされたこのブロック。川崎による民族楽器や石毛の鳥笛がユニークな「Machu Pichu」は、途中からノブのピアノ叩き弾きで熱を帯びた展開に。チェンバーロック的な「Through Dark Night」や、少ない音数の抜き差しでダイナミズムが形成されている「Memory Of Eternity」には、バンドセットならではの柔らかな表現を実感。しかし、以前からセッションしていたとはいえ、たった3本のライブでこの絶妙な呼吸を生み出すとは、さすが強者ども!と感じずにはいられぬ演奏だ。

また、このツアー・ファイナルのみ披露された「My Love」では、石毛が思う存分ギターソロを弾きまくり、先ほどまでの素朴な雰囲気から一転、ハードロック・バンドに見えるほど。それとは対称的な「Untitled」は、オーディエンスのハンズクラップも相まって、まるで、生まれたての感情が声になるかのような真っ新な感覚を覚えた。

「今日来てくれたみんなありがとう。もちろんthe telephonesは日本一…え?宇宙一?じゃ、宇宙一カッコいいバンドだけど、10代の時、アイスランドの音楽が大好きで、ずっとこういう音楽もやってみたかったし、こうやってやれてよかったです」と満面の笑みを浮かべる石毛。続く楽曲は、彼なりに自然を表現したという「Mount Tsukuba」だった。「頂上が見えたと思ったら、みんな、手を上げて!そうしたらシェアしたことになるから」と、力強く前進するリズムと凛とした鉄琴のサウンドが、壮大かつ開放的なピークを響かせる。

本編ラスト2曲を告げた後は、ダンスロックにアレンジされた「Red Cat」でフロアが最高潮に。そして、「最後の1曲は僕の地元、北浦和を思い浮かべ…昔、僕らのHPとかを作ってくれた友だちが天国で作ってくれた曲でもあります」と「My Hometown」を紹介。友だちと一緒に遊んだ街、その風景などを聴く者それぞれの心に想起させたのではないだろうか。メロディオンの音色は、壮絶に太いバンドアンサンブルに、どこか温かな感触を残す。その圧巻の演奏に惜しみない拍手が起こった。

フロアからアンコールが沸き起こる中、ダブルピースで石毛が再登場。「今日、こうして、この時代に、音を聴きに来てくれて本当に嬉しい」と感謝を述べ、「2曲ほどひとりでやります」と「My Sweet Cat」を披露。公園のざわめきや水滴、ガラスが割れる音などに交えて、素の石毛輝が見えようなボーカルがそこにあった。

続いては大阪の大好きなレコード店に贈る「I Wanna Go To Flake」。そこへバンド・メンバーも加わり、ノブの一言から何故か吉田との即興ラップ&ビートボックスが始まると、爆笑ファンクモードに。ラストナンバーはスタッフ、オーディエンスへの感謝の気持ちを込めた「K.E」。透明な轟音が清々しいナンバーでツアーのオーラスを飾った。全てのステージ終了後には、the telephonesでもおなじみの写真撮影もばっちり決め、多幸感と達成感を満面に湛えて、4人はステージを後にした。



◆the telephone オフィシャルサイト
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