鈴木祥子、レコ発ライブはMoment String Quartetとともに
2012年6月9日、ロックの日に東京渋谷のSARAVAH東京で行われた、鈴木祥子の<祥子の小さな部屋Vol.1~(To)my Sweetest Fantasyをめぐる冒険~>。この場所は、2月18日に公開レコーディングをした場所。今回は、Moment String Quartetとともに、オンナ5人でのライブだ。
◆鈴木祥子画像
ほぼオンタイムで、ライブがスタートする。「足元の悪いなか、ありがとうございます」と挨拶のあと、レコ発ライブなのに90年代の感心するほど良い曲をカヴァーする、と。1曲目は、浜崎あゆみの「SEASONS」。<夢に嘘はひとつもなかった>という歌詞が心に響く。そして、宇多田ヒカルの「First Love」。鬼束ちひろの「眩暈」。<ガラクタでいさせて>の歌詞が耳にとまる。そして、3アーティストの名前が、かな(カナ)3文字繋がりだと気づく。どの曲も、ヒット曲。それぞれのアーティストの声で覚えているにもかかわらず、鈴木祥子は瞬時に自分の色に変える。それが、彼女の歌へのリスペクトかもしれない。
そして、オリジナル曲へ。“愛”繋がりで、「愛の名前」と「愛は甘くない」。「10年以上前の曲なのに変わっていない。だからこそ、テーマがなくならない」と。愛はいつの時代も解決しない深いテーマだ。続く「Circle Game」。発売された頃、とてもとても好きだった。もちろん、今も好きなのですが、あの頃とは違う。そして、彼女の曲に惹かれる理由に気づく。歌のなかに、自分にないものを見ていたんだ、と。それは“渇望”なのかもしれない。人が何かを好きになる理由のひとつには、対象への憧れがある。きっとそんな感情だったんだと。そして、いつもより、彼女の声が素に近く赤裸々な気がしてくる。そして「花束」へ。この曲は、発売された頃、怖くて聴くことができずスキップしていた。それは、自分のなかにこの感情が溢れていて見るのが怖かったのかも、と今思う。チェロが絡み曲を支える。
続いて、柴田聡子の「春の小川」。歌詞にこの日の舞台、渋谷が出てくる。<夜行列車は渋谷発>という歌詞に、架空の世界を感じる。1部のラストは「道」。なんど聴いても<そこでお姉ちゃんが死んだんだ>という歌詞が刺さる。
休憩をはさみ、2部へ。Moment String Quartetとともに、deepな死への道行、心中の歌「恋は夢の花」を始めるも、ハウって中断。次の曲へ進む。雰囲気が一気に変わり「HAPPINESS?」。これは“渇望”の心に真っ直ぐ入ってきて当時、本当によく聴いた曲。「苦しい恋」は、アカペラで始まり、チェロとのハーモニー。そして、中断した「恋は夢の花」へ。
弦が入っても彼女の世界は変わらない。貫くオンナを感じる。そして、ひとりで「5years,/AND THEN…」。5年は、人を変える? 変えない? いつもそんなことを考えさせられる曲。本編ラストは、「青空のように」。ドラムを披露。
アンコールは、会場からのリクエストに応え「この愛を」。そして、「午後の坂道で」を。再びMoment String Quartetを迎え「どこにもかえらない」。この曲も何度も何度も聴いた。曲を聴くと、その頃に戻るというけれど、まさに彼女の曲は、自分が生きてきた道の特定の場所に一瞬で連れていく。その頃、住んでいた部屋、髪型、日曜日の過ごし方を思い出す。
ここにきて、レコ発なのにやっていない曲があると、そう2月18日にこの場所で、レコーディングされた「愛と幻想の旅立ち」だ。この曲には「卒業」の意味がある、と。完成された曲を初めて生で聴く。ここで終わる予定だったが、もう一曲。リクエストに応えて「あじさい」。<紫陽花はむらさき 水しぶきはダイアモンド 藤棚はアメジスト 急な雨>という言葉を持つ今の季節の歌。6月9日は雨。そんな天気に合わせたようなラストだった。
Moment String Quartet
有馬真帆子(Vln)、木野裕子(Vln)、飯田香(Vla)、郷田祐美子(Vc)
<6月9日セットリスト>
第1部
1.SEASONS(浜崎あゆみ)
2.First Love(宇多田ヒカル)
3.眩暈(鬼束ちひろ)
4.愛の名前
5.愛は甘くない
6.Circle Game
7.花束 with 郷田祐美子
8.春の小川(柴田聡子) with 郷田祐美子
9.道
第2部
10.恋は夢の花 with Moment String Quartet
11.HAPPINESS? with Moment String Quartet
12.苦しい恋 with Moment String Quartet
13.恋は夢の花 with Moment String Quartet
14.PASSION with Moment String Quartet
15.Gimmie some Life with Moment String Quartet
16.You Take Me,You Make Me with Moment String Quartet
17.5years,/AND THEN…
18.青空のように with Moment String Quartet
EN1.この愛を
EN2.午後の坂道で
EN3.どこにもかえらない with Moment String Quartet
EN4.愛と幻想の旅立ち with Moment String Quartet
EN5.あじさい
『(To) my Sweetest Fantasy』
BERD-009 アナログ7inch EP+2CD 3枚組 3,800円(税込)
※豪華シングル盤サイズ見開きジャケット仕様
DISC 1(EP:「愛と幻想の旅立ち」)
SIDE A:愛と幻想の旅立ち
SIDE B:センチメンタル・ラブレター
DISC 2(CD:「愛と幻想の旅立ち」)
1.愛と幻想の旅立ち
2.愛と幻想の旅立ち(オリジナル・カラオケ)
DISC 3(CD:「LIVE! absolutely alone in CAY」)
1.夏はどこへ行った
2.月の足音
3.パジャマでドライブ
4.プリヴェ
5.あの空に帰ろう
6.my love, my love
7.忘却
8.Sweet Thing
9.Allentown
10.逆プロポーズ(仮。)
11.DO YOU STILL REMEMBER ME ?
[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp/
◆鈴木祥子オフィシャルサイト
◆鈴木祥子画像
ほぼオンタイムで、ライブがスタートする。「足元の悪いなか、ありがとうございます」と挨拶のあと、レコ発ライブなのに90年代の感心するほど良い曲をカヴァーする、と。1曲目は、浜崎あゆみの「SEASONS」。<夢に嘘はひとつもなかった>という歌詞が心に響く。そして、宇多田ヒカルの「First Love」。鬼束ちひろの「眩暈」。<ガラクタでいさせて>の歌詞が耳にとまる。そして、3アーティストの名前が、かな(カナ)3文字繋がりだと気づく。どの曲も、ヒット曲。それぞれのアーティストの声で覚えているにもかかわらず、鈴木祥子は瞬時に自分の色に変える。それが、彼女の歌へのリスペクトかもしれない。
そして、オリジナル曲へ。“愛”繋がりで、「愛の名前」と「愛は甘くない」。「10年以上前の曲なのに変わっていない。だからこそ、テーマがなくならない」と。愛はいつの時代も解決しない深いテーマだ。続く「Circle Game」。発売された頃、とてもとても好きだった。もちろん、今も好きなのですが、あの頃とは違う。そして、彼女の曲に惹かれる理由に気づく。歌のなかに、自分にないものを見ていたんだ、と。それは“渇望”なのかもしれない。人が何かを好きになる理由のひとつには、対象への憧れがある。きっとそんな感情だったんだと。そして、いつもより、彼女の声が素に近く赤裸々な気がしてくる。そして「花束」へ。この曲は、発売された頃、怖くて聴くことができずスキップしていた。それは、自分のなかにこの感情が溢れていて見るのが怖かったのかも、と今思う。チェロが絡み曲を支える。
続いて、柴田聡子の「春の小川」。歌詞にこの日の舞台、渋谷が出てくる。<夜行列車は渋谷発>という歌詞に、架空の世界を感じる。1部のラストは「道」。なんど聴いても<そこでお姉ちゃんが死んだんだ>という歌詞が刺さる。
休憩をはさみ、2部へ。Moment String Quartetとともに、deepな死への道行、心中の歌「恋は夢の花」を始めるも、ハウって中断。次の曲へ進む。雰囲気が一気に変わり「HAPPINESS?」。これは“渇望”の心に真っ直ぐ入ってきて当時、本当によく聴いた曲。「苦しい恋」は、アカペラで始まり、チェロとのハーモニー。そして、中断した「恋は夢の花」へ。
弦が入っても彼女の世界は変わらない。貫くオンナを感じる。そして、ひとりで「5years,/AND THEN…」。5年は、人を変える? 変えない? いつもそんなことを考えさせられる曲。本編ラストは、「青空のように」。ドラムを披露。
アンコールは、会場からのリクエストに応え「この愛を」。そして、「午後の坂道で」を。再びMoment String Quartetを迎え「どこにもかえらない」。この曲も何度も何度も聴いた。曲を聴くと、その頃に戻るというけれど、まさに彼女の曲は、自分が生きてきた道の特定の場所に一瞬で連れていく。その頃、住んでいた部屋、髪型、日曜日の過ごし方を思い出す。
ここにきて、レコ発なのにやっていない曲があると、そう2月18日にこの場所で、レコーディングされた「愛と幻想の旅立ち」だ。この曲には「卒業」の意味がある、と。完成された曲を初めて生で聴く。ここで終わる予定だったが、もう一曲。リクエストに応えて「あじさい」。<紫陽花はむらさき 水しぶきはダイアモンド 藤棚はアメジスト 急な雨>という言葉を持つ今の季節の歌。6月9日は雨。そんな天気に合わせたようなラストだった。
Moment String Quartet
有馬真帆子(Vln)、木野裕子(Vln)、飯田香(Vla)、郷田祐美子(Vc)
<6月9日セットリスト>
第1部
1.SEASONS(浜崎あゆみ)
2.First Love(宇多田ヒカル)
3.眩暈(鬼束ちひろ)
4.愛の名前
5.愛は甘くない
6.Circle Game
7.花束 with 郷田祐美子
8.春の小川(柴田聡子) with 郷田祐美子
9.道
第2部
10.恋は夢の花 with Moment String Quartet
11.HAPPINESS? with Moment String Quartet
12.苦しい恋 with Moment String Quartet
13.恋は夢の花 with Moment String Quartet
14.PASSION with Moment String Quartet
15.Gimmie some Life with Moment String Quartet
16.You Take Me,You Make Me with Moment String Quartet
17.5years,/AND THEN…
18.青空のように with Moment String Quartet
EN1.この愛を
EN2.午後の坂道で
EN3.どこにもかえらない with Moment String Quartet
EN4.愛と幻想の旅立ち with Moment String Quartet
EN5.あじさい
『(To) my Sweetest Fantasy』
BERD-009 アナログ7inch EP+2CD 3枚組 3,800円(税込)
※豪華シングル盤サイズ見開きジャケット仕様
DISC 1(EP:「愛と幻想の旅立ち」)
SIDE A:愛と幻想の旅立ち
SIDE B:センチメンタル・ラブレター
DISC 2(CD:「愛と幻想の旅立ち」)
1.愛と幻想の旅立ち
2.愛と幻想の旅立ち(オリジナル・カラオケ)
DISC 3(CD:「LIVE! absolutely alone in CAY」)
1.夏はどこへ行った
2.月の足音
3.パジャマでドライブ
4.プリヴェ
5.あの空に帰ろう
6.my love, my love
7.忘却
8.Sweet Thing
9.Allentown
10.逆プロポーズ(仮。)
11.DO YOU STILL REMEMBER ME ?
[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp/
◆鈴木祥子オフィシャルサイト