灰田勝彦、「鈴懸の径」幻のオリジナル録音が70年ぶりに復刻
「燦めく星座」、「森の小径」、「ジャワのマンゴ売り」、「新雪」、「鈴懸の径」、「東京の屋根の下」、「アルプスの牧場」、「野球小僧」、「水色のスーツケース」など、戦前から戦後にかけて数々のヒット曲や名曲を量産した昭和の大スター・灰田勝彦。彼の生誕100年(2011年)と没後30年(2012年)を記念して、オリジナル音源でヒット曲を集大成したベストアルバム『スター☆デラックス 灰田勝彦ホームラン全集』がリリースされた。
“ハワイ生まれの江戸っ子”と呼ばれた愛すべきキャラクターで、激動の時代の若者たちを、ひととき甘い夢に酔わせてくれた灰田勝彦。流行歌手としてもハワイアン歌手としても忘れがたいアイドルとして、同時代を生きた方にはもちろん、“永遠の青春の歌い手”として今も新しいリスナーの心をつかんでいる。
その灰田勝彦の代表曲であり、戦後のハワイアン・ブームにはこぞって演奏された曲といえば「鈴懸の径(すずかけのみち)」。今回のベスト盤には、この曲のオリジナル録音が70年ぶりに復刻され、収録されている。
「鈴懸の径」のオリジナルは、1942年、昭和17年10月の作品。戦時中だったために発売元のビクターには原盤が存在せず、これまでCD化された作品は戦後に再吹き込みされた音源だった。ところが今回、70年前のオリジナル録音が戦前文化研究家・保利 透 氏の尽力で発掘され、SPレコードから再録された。
作曲者でもある兄・灰田晴彦が率いる“南の楽団”(モアナ・グリー・クラブから戦中に改称)による軽快な演奏は、今、聴いても大変瑞々しい。これまで知られていた演奏以上に、古きよき時代のキャンパスへの郷愁をかきたて、カレッジ・ライフの想い出をテーマにしたこの曲の魅力を伝えてくれる。
なお本作品は、日本コロムビアとビクターによる共同企画「スター☆デラックス」シリーズからの発売。日本コロムビアからは『スター☆デラックス 李 香蘭』、『スター☆デラックス 渡辺はま子』の2タイトルがリリースされている。
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