ノラ・ジョーンズ【特別インタビュー後編】強烈な経験をしたときのほうがスラスラと歌詞を書けるの
自分自身が経験した強烈な失恋体験を赤裸々に綴った作品。
ノラ・ジョーンズの新作『リトル・ブロークン・ハーツ』はそのようなものであり、だからダークな光を放つスローな曲ばかりが並んでいる。ヒット中のシングル「ハッピー・ピルズ~幸せの特効薬」のようにポップな曲もあるにはあるが、これとて彼氏に三行半を突きつける辛辣な内容だ。“痛い”思いを彼女はどんな気持ちで綴っていったのか。今回の後編では、そのあたりのことを聞いてみた。
◆ノラ・ジョーンズ『リトル・ブロークン・ハーツ』~拡大画像
――今回のアルバムはダークな曲が多いですよね。
ノラ・ジョーンズ(以下、ノラ):そうね。
――とはいえ「ハッピー・ピルズ~幸せの特効薬」や「セイ・グッバイ」のようにポップな曲もあるので、真っ暗という印象はない。
ノラ:よかった(笑)。そう感じてもらえるのは嬉しいわ。レコーディングが半分くらい終わった時点で、“これはかなりダークなアルバムかも”って思えてきてね。で、実はもう1曲、アルバムに入れたかった曲があったんだけど、それを入れると本当に真っ暗になりそうだったからやめたの。「ハッピー・ピルズ~幸せの特効薬」も歌詞はダークだけど、曲調はポップで明るめ。そういう曲を入れることができたのはよかったわ。バランスを取るのも大事だから。
――歌詞は失恋にあたっての感情がかなり直截的に表現されたものになっています。リアルに書こうと意識したのですか?
ノラ:生きてくなかで経験したことは必ず曲や歌詞に反映されるもの。ブライアン(デンジャー・マウス)とスタジオに入るようになってからも、恋愛のことを彼に話したりしていたので、当然のようにそういうことが反映されたものになったわ。で、書くからにはストレートに書こうと思った。リアルな感情を表現したかったからね。でもときにはソングライターとしての術を用いてキレイな言葉で表現したい気分にもなったので、何曲かはそういうものになっているはずよ。あと、ブライアンは歌詞を書くのも上手な人なの。彼に作詞家としての才能がこれほどあるとは今まで気付かなかったんだけど。
――ということは、彼の体験もなんらかの形で盛り込まれているということですか?
ノラ:この曲ではこういう体験を書こう…というような具体的な話はしてないけど、ふたりでいろんなことを話したので、なんらかの形では彼の経験が入ってきてるところもあるかもしれないわね。
――それにしても、失恋体験やその際の感情を赤裸々に書くことは、けっこう勇気がいることなんじゃないですか?
ノラ:そういう強烈な経験をしたときのほうが、私はスラスラと歌詞を書けるほうなのよ。私はそういうタイプなの。
――ダークな曲が多いとさっき言いましたが、「アウト・オン・ザ・ロード」という曲は、ここから出て一筋の光を探そうという歌詞で、開放的な感覚もありますね。
ノラ:そうね。やっぱり落ち込んでばかりの曲だけを作りたかったわけじゃないし、ちょっとは前向きな曲も作りたいと思ってたから。とはいっても前向きさを意識して書いたというわけではなくて。恋愛って、前向きな気持ちになったかと思うと、その直後にはまた後ろ向きな気持ちになったりもするものでしょ!? そうやっていろんな感情が渦巻くのが恋愛なのよね。
――そうしたいろんな感情が曲に反映されているわけですが、1枚通して聴くと、それがひとつの物語のように繋がりあっている。一遍の映画を観ている感覚が味わえます。そういうものにしようという意図はありましたか?
ノラ:曲順を決めるのはたいへんだったわ。かなり時間がかかった。サウンドのまったく違ういくつかの曲をどういうふうに繋げたらスムースかってことをまず考えたし。あと、歌詞もなるべく繋がりを持たせたいと思っていたしね。そのへんでだいぶ悩んだんだけど、でも、恋愛に際しての感情って大抵とっちらかってるものでしょ? いろんな感情がとりとめもなく沸き起こってくるのが恋愛なので、だったらそんなにきちんと繋がってなくてもいいかなって思えてきて。で、こういう並びになったんだけど。
――「ミリアム」という曲はひとつのハイライトであり、最後に持ってきてもよさそうな美しいスローですが、そのあとに「オール・ア・ドリーム」がくるのが面白いなと思いました。
ノラ:「ミリアム」があまりにもダークすぎて、こんなにダークな曲で終わりたくないって思ったの。「オール・ア・ドリーム」はすごく好きな曲なんだけど、長めの曲なので、それを始めのほうとか真ん中あたりに持ってくるのもどうかと思ってね。で、最後に置いてみたら、フィットした。最後に「全ては夢だったんだ」って終わる、その感じがいいかなと思って。
――なるほど。確かに「ミリアム」はダークすぎるくらいの曲ですもんね。ちょっとホラー映画っぽいというか。
ノラ:そうそう、ホラーっぽいわよね(笑)。そこが気に入ってるの。曲をこういうふうにダークにすることで、実際の自分の人生はここまでダークにならずに済むかと思ってね。始めはもっと暗かったのよ、これ。で、ブライアンに「これじゃ怖すぎるから、ちょっと歌詞を変えようよ」って言われて、これでも少し抑えめに書き直したんだけど。その分、音では遊んだわ。メンバーに“ちょっと恐ろしい感じのギターを入れて”って伝えて、結果、なかなか面白い雰囲気を出すことができたわね。
取材・文●内本順一
『リトル・ブロークン・ハーツ』
2012年4月25日 日本先行リリース
TOCP-71280 2,300円(税込)
1.グッド・モーニング
2.セイ・グッバイ
3.リトル・ブロークン・ハーツ
4.彼女は22歳
5.テイク・イット・バック
6.アフター・ザ・フォール
7.4 ブロークン・ハーツ
8.トラヴェリング・オン
9.アウト・オン・ザ・ロード
10.ハッピー・ピルズ
11.ミリアム
12.オール・ア・ドリーム
13.アイ・ドント・ワナ・ヒア・アナザー・サウンド*
*日本ボーナス・トラック
◆ノラ・ジョーンズ・オフィシャルサイト
ノラ・ジョーンズの新作『リトル・ブロークン・ハーツ』はそのようなものであり、だからダークな光を放つスローな曲ばかりが並んでいる。ヒット中のシングル「ハッピー・ピルズ~幸せの特効薬」のようにポップな曲もあるにはあるが、これとて彼氏に三行半を突きつける辛辣な内容だ。“痛い”思いを彼女はどんな気持ちで綴っていったのか。今回の後編では、そのあたりのことを聞いてみた。
◆ノラ・ジョーンズ『リトル・ブロークン・ハーツ』~拡大画像
――今回のアルバムはダークな曲が多いですよね。
ノラ・ジョーンズ(以下、ノラ):そうね。
――とはいえ「ハッピー・ピルズ~幸せの特効薬」や「セイ・グッバイ」のようにポップな曲もあるので、真っ暗という印象はない。
ノラ:よかった(笑)。そう感じてもらえるのは嬉しいわ。レコーディングが半分くらい終わった時点で、“これはかなりダークなアルバムかも”って思えてきてね。で、実はもう1曲、アルバムに入れたかった曲があったんだけど、それを入れると本当に真っ暗になりそうだったからやめたの。「ハッピー・ピルズ~幸せの特効薬」も歌詞はダークだけど、曲調はポップで明るめ。そういう曲を入れることができたのはよかったわ。バランスを取るのも大事だから。
――歌詞は失恋にあたっての感情がかなり直截的に表現されたものになっています。リアルに書こうと意識したのですか?
ノラ:生きてくなかで経験したことは必ず曲や歌詞に反映されるもの。ブライアン(デンジャー・マウス)とスタジオに入るようになってからも、恋愛のことを彼に話したりしていたので、当然のようにそういうことが反映されたものになったわ。で、書くからにはストレートに書こうと思った。リアルな感情を表現したかったからね。でもときにはソングライターとしての術を用いてキレイな言葉で表現したい気分にもなったので、何曲かはそういうものになっているはずよ。あと、ブライアンは歌詞を書くのも上手な人なの。彼に作詞家としての才能がこれほどあるとは今まで気付かなかったんだけど。
――ということは、彼の体験もなんらかの形で盛り込まれているということですか?
ノラ:この曲ではこういう体験を書こう…というような具体的な話はしてないけど、ふたりでいろんなことを話したので、なんらかの形では彼の経験が入ってきてるところもあるかもしれないわね。
――それにしても、失恋体験やその際の感情を赤裸々に書くことは、けっこう勇気がいることなんじゃないですか?
ノラ:そういう強烈な経験をしたときのほうが、私はスラスラと歌詞を書けるほうなのよ。私はそういうタイプなの。
――ダークな曲が多いとさっき言いましたが、「アウト・オン・ザ・ロード」という曲は、ここから出て一筋の光を探そうという歌詞で、開放的な感覚もありますね。
ノラ:そうね。やっぱり落ち込んでばかりの曲だけを作りたかったわけじゃないし、ちょっとは前向きな曲も作りたいと思ってたから。とはいっても前向きさを意識して書いたというわけではなくて。恋愛って、前向きな気持ちになったかと思うと、その直後にはまた後ろ向きな気持ちになったりもするものでしょ!? そうやっていろんな感情が渦巻くのが恋愛なのよね。
――そうしたいろんな感情が曲に反映されているわけですが、1枚通して聴くと、それがひとつの物語のように繋がりあっている。一遍の映画を観ている感覚が味わえます。そういうものにしようという意図はありましたか?
ノラ:曲順を決めるのはたいへんだったわ。かなり時間がかかった。サウンドのまったく違ういくつかの曲をどういうふうに繋げたらスムースかってことをまず考えたし。あと、歌詞もなるべく繋がりを持たせたいと思っていたしね。そのへんでだいぶ悩んだんだけど、でも、恋愛に際しての感情って大抵とっちらかってるものでしょ? いろんな感情がとりとめもなく沸き起こってくるのが恋愛なので、だったらそんなにきちんと繋がってなくてもいいかなって思えてきて。で、こういう並びになったんだけど。
――「ミリアム」という曲はひとつのハイライトであり、最後に持ってきてもよさそうな美しいスローですが、そのあとに「オール・ア・ドリーム」がくるのが面白いなと思いました。
ノラ:「ミリアム」があまりにもダークすぎて、こんなにダークな曲で終わりたくないって思ったの。「オール・ア・ドリーム」はすごく好きな曲なんだけど、長めの曲なので、それを始めのほうとか真ん中あたりに持ってくるのもどうかと思ってね。で、最後に置いてみたら、フィットした。最後に「全ては夢だったんだ」って終わる、その感じがいいかなと思って。
――なるほど。確かに「ミリアム」はダークすぎるくらいの曲ですもんね。ちょっとホラー映画っぽいというか。
ノラ:そうそう、ホラーっぽいわよね(笑)。そこが気に入ってるの。曲をこういうふうにダークにすることで、実際の自分の人生はここまでダークにならずに済むかと思ってね。始めはもっと暗かったのよ、これ。で、ブライアンに「これじゃ怖すぎるから、ちょっと歌詞を変えようよ」って言われて、これでも少し抑えめに書き直したんだけど。その分、音では遊んだわ。メンバーに“ちょっと恐ろしい感じのギターを入れて”って伝えて、結果、なかなか面白い雰囲気を出すことができたわね。
取材・文●内本順一
『リトル・ブロークン・ハーツ』
2012年4月25日 日本先行リリース
TOCP-71280 2,300円(税込)
1.グッド・モーニング
2.セイ・グッバイ
3.リトル・ブロークン・ハーツ
4.彼女は22歳
5.テイク・イット・バック
6.アフター・ザ・フォール
7.4 ブロークン・ハーツ
8.トラヴェリング・オン
9.アウト・オン・ザ・ロード
10.ハッピー・ピルズ
11.ミリアム
12.オール・ア・ドリーム
13.アイ・ドント・ワナ・ヒア・アナザー・サウンド*
*日本ボーナス・トラック
◆ノラ・ジョーンズ・オフィシャルサイト
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