ファインダー越しに見てきた、ロック・フォトグラファーのロックな証言

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ロックが好きな人なら、アーティスト写真やライヴ写真を見てワクワクドキドキすることも多いのでは?

時には音楽そのもの以上にロックを伝えることもある、ライヴやポートレイト写真。この度発売された『ロック・フォトグラファーという生き方~最前線で活躍する12人の証言』は、日々そんな写真を撮っているフォトグラファーたちのインタビュー集だ。

ロックをメインのフィールドにしている彼らは、一体どのようにしてロック・フォトグラファーとなったのか?彼らはロックと、そして写真と、どのように向き合っているのか?その核心に迫っているのが本書だ。ローリング・ストーンズや忌野清志郎、THE YELLOW MONKEY、毛皮のマリーズらの写真集も出している有賀幹夫。17歳にして渡英し80年代英国シーンの革命を現場で目撃、独特の文体やキャラでも人気の久保憲司。the HIATUS、ストレイテナーなどを撮影するのみならず自らイベントや写真展を企画、ブランドも運営と多角的活動で人気を集める橋本塁。中学生からライヴを撮り始め、オリジナルなセンスで写真表現を追究し続ける三吉ツカサら総勢12人の“ロック・シーンの目撃者”たちが、全てを語っている必読の一冊だ。

「写真が好きとか写真のテクニックが向上するとか以前に「俺はこれが撮りたい、撮る限りはいい写真撮りたい。なぜなら自分が好きなロックの世界だから」っていうそれだけで良かったんでしょうね」──有賀幹夫

「写真が人と結び付けてくれてる部分が今考えると凄く大きいですね。写真を撮ってなかったら、誰にも会わなかったなあって」──神戸健太郎

「広島に原爆が落ちた直後の写真をおじいちゃんが撮ってるんです。それとは歴史のレベルが違うんですけど、こういう音楽シーンだったんだなとかこういうアーティストがいてこういう空気だったんだなって思えるような音楽の歴史を取りたいと僕は思います」──岸田哲平

「自分の写真大好きだけど、もっとうまい奴いくらでもいるってわかってるからもう全力で一生懸命やること以外何も思いつかないんです」──菊池茂夫

「親戚のおっちゃんが言うには、写真をやるなら一生写真のことを考え続けなアカンって。その時は何を言うてんねん、このおっさんって思ったけど今から考えるとそれは結構言えてたなあ」──久保憲司

「写真は紙に印刷して見て欲しい。ウェブにカッコいい写真が載ってても見る人の人生を変えるくらいの一枚にはならないでしょう?」──畔柳ユキ

「写真大好きで、今はやれるものならずっと撮っていきたいなって思いますけど、でも写真よりもまず音楽ですね。音楽にいかに、どう関われるか」──古溪一道

「音楽って晴れの舞台を作れるところがあって、例えば手が4本生えたりしてても成り立つじゃないですか」──小松陽祐

「写真なんか、今は誰でも撮れるんだよ。写真行為100%のうち、写真そのものは0.001%ぐらいなもので氷山の一角というか……それを撮る立場に行くまでが写真なんだ。生き方そのものが問われてる」──佐藤哲郎

「ムービーに行かれる大御所の方も多いですけど僕はそれだけは絶対したくない。写真で突き動かされて、静止画を選んだっていうその初期衝動はブラしたくないっていうか裏切りたくないっていうのは凄くあります」──橋本 塁

「好きになるとバーって行っちゃうタイプだから、プリントやりたいやりたいやりたい~!ってお風呂場を潰してプリントしてました。お風呂に入るのは1週間に1回とかで(笑)」──ほりたよしか

「見方をどんどん変えて、もっと敏感に反応してライヴの機微を掴んでいかないとたぶんツアーの写真ってずーっと同じになっちゃいます。だから、発見出来るようになりましたね」──三吉ツカサ

『ロック・フォトグラファーという生き方~最前線で活躍する12人の証言』
登場するフォトグラファー
有賀幹夫、神戸健太郎、菊池茂夫、岸田哲平、久保憲司、畔柳ユキ、古溪一道、小松陽祐、佐藤哲郎、橋本 塁、ほりたよしか、三吉ツカサ
編著:クロスビート編集部
判型:A5
頁数:224ページ
本体価格:1,500円(+税)
3月31日発売
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