grram、自分らしく正直にいようという真摯なメッセージを込めた『心の指すほうへ』特集
grram
1st mini album『心の指すほうへ』2012.3.21リリース
INTERVIEW
久川実津紀(以下、久川):唄うことは小さいころから大好きだったんですけど、中学2年のときに、マイケル・ジャクソンのライヴ映像を見て、とてつもない衝撃を受けて。彼自身が音楽になりきっている感じっていうか、自分自身が音楽だ!というようなパフォーマンスがガンっと心に刺さったんですね。音楽で人に何かを伝えるということがこんなに素晴らしいんだということを知って。当時、私自身、辛いこともあったりしたので、彼の音楽やパフォーマンスで自分もすごく救われたという面もあったんですね。じゃあ、自分も唄うことで人の気持ちを前向きにしたいし、マイケルのようになりたいと思ったのがきっかけで、自分も歌を唄おうと思ったんですよ。
久川:絢香さんをよく唄っていました。あとはアヴリル・ラヴィーンのまっすぐな唄い方が好きで、唄ってましたね。他にもいろんなジャンルを唄っていましたけど、やっぱり女性のロック歌手が好きで聴いていたし、唄うことが多かったですね。体に馴染んでいるのかなって思います。
久川:なかったんですよ。ずっと一人で唄ってたんで。だから、grramが初めてのバンド活動なんです。今まではカラオケを使って唄ってましたけど、バンドは全部が生だから、みんなの息が合ってないと演奏がまとまらない。ひとつの音楽にならないっていう新しい感覚が新鮮でした。でもバンドのヴォーカルが一番観られるし、一番聴かれるから、そこでの責任感はすごく感じました。
久川:はい。今もみんなでスタジオに入るたびに、音が良くなっていくという実感があるんですよ。そういうのがバンドの楽しさなんだなぁって、バンドの良いところにどんどん気付いている最中ですね。
久川:とにかく音楽を愛している三人ですね。みんな音楽を生活の第一に置いてる感じです。スタジオでリハやっているときも、丸山さんは休憩中でもギターを弾いてるくらい音楽大好きなんだなぁって感じます。ちなみに丸山さんは一番年上なので、みんなのまとめ役で、ブラックミュージックからなんでも幅広く聴いてるみたいです。ドラムの西山さんはヘビメタが大好きで、ベースの猪上さんもロック大好きな人ですよ。猪上さんと西山さんは私と同じ年なんですけど、すごく尊敬してます。みんな、真面目で穏やかなので、バンドの雰囲気はすごく良いです。
久川:まず良い音楽を作るというのが一番のコンセプトです。バンドのメンバーも私もそこが一番にあります。私は歌詞も書くので、伝えるということを大事にしています。grramの音楽があったから前向きになれたとか、grramの“存在”が、聴いて下さった人の心の中で大切な“存在”になったら良いなぁと思っています。自分がマイケルに衝撃を受けたときのように。
久川:はい。いつまでも心に深く刻み込むような音楽を届けたいという願いがこもっているんです。grramって簡単なバンド名ですけど、深い意味がこもっているんです。
久川:たくさん色んな曲を作って、歌詞を書いて唄っていたんですけど、このアルバムには入ってない曲もありますね。今回はメッセージ性のあるアルバムにしたかったんですよ。聴いた人が前向きになれるような。でも、一方的に頑張れ頑張れって言うんじゃなく、悩みもあるけど、立ち止まってもいいけど、前向いていこうっていう、そういうメッセージ性の強い一枚にしたくて、一つ一つにメッセージを詰め込みました。
久川:はい。実体験をかなり織り込んでいるので(笑)。私は自分なりの言葉で表現することにこだわって歌詞を書いてるんですよ。
久川:ふふふ(笑)。私は歌詞を日常的に書き溜めているんです。歌詞書きを作業っていう風に思いたくないんですね。例えば外を歩いていて、吹いている風を感じたら、携帯に打ち込んでおくんです。歩いてても、電車に乗ってても、日常をそのまま歌詞にしたいから。作業になっちゃうと、ちょっと日常とは違うじゃないですか。だから日記みたいなものかも。
久川:はい。「新しい朝は来る」では、悩んでも傷ついても、それでも朝は来るって唄っていたり、「オレンジの空」では、私は私を生きていきたいと、唄っているんですけど、「心の指すほうへ」には、アルバムの一曲一曲で唄っているメッセージのすべてが含まれていると思うんですよ。自分らしく、正直にいようっていう。一番言いたいことが詰まっていると思います。
久川:そうですね(笑)。私は自分で思ったほうに行きたいし、心の指すほうへ行くっていう考え方を持ってますね。最初に思ったらやり通すという部分はあります。それが頑固と言う人もいるかもしれないですけど、良いところでもあり、悪いところでもあり、周りにもしかしたら迷惑をかけていることもあるかもしれません(笑)。
久川:ふふふふ(笑)。当たってます。私はその通りの人です。強がりなんですよね。ちゃんと歌詞から伝わって、結構自分が出ちゃってるということですね(笑)。
久川:もともと、デモとして歌詞とメロがあったんですよ。「こういう曲もあるよ」ってもらったときに、聴き重ねるごとに意味が深まるような感覚があって。社会風刺にとらえられたりとか。実はメッセージ性の強い曲だし、このアルバムにも合うし、自分も唄ってみたいと思ったんですよ。
久川:制作中も、リアルに10代から20代をまたいでるんですよ。気付いたら20歳になっていましたから。
久川:自分がなんで生まれたのか、いる意味があるのかってみんな考えることだと思います。私もよく考えていたので歌詞にしたんですよ。私がいなくなったら、誰かが困ったり、悲しんだりするんだろうかって思っていたんですよ。私の母親は60年代の生まれですけど、その世代でもやっぱり10代のときは同じようなことを思っていたみたいですね。その頃って、理由のある寂しさもあるけど、理由のない寂しさもあるんですよね。なぜか寂しい。
久川:そうですよね。あと、学校にいると、女の子は友達付き合いも難しいじゃないですか。特殊ですよね。周りの笑顔に合わせてしまったり。「オレンジの空」にも描いてますけど、周りが楽しそうにしているのを見て、自分を作ってしまったりすることもあるし。
久川:人生初めてのレコーディングでした。ヘッドホンをして、自分の声を聞きながら唄うのは初めてだったので、最初は慣れないんですよ。ブースで一人で唄うのも初めてだし。でも慣れてくるにつれてすごく集中しましたね。とにかくレコーディングだけじゃなくて、私にとってはすべてが初めてなんですよ。CDから聴こえて来る自分の歌声を聴くのも初めてだし、「名探偵コナン」のエンディングで自分の声が流れているのも初めて。オンエアも見たんですけど、すごく不思議でした。すごくたくさんの人が関わっていて、たくさんの人の想いや、自分の想い、メンバーの想い、いろんな要素がこんな小さいCDの中にギュッと詰まっちゃうのかって。すごく楽しみです。
久川:一枚目の作品なので、いろんな面を見せられるかなと思って。写真もいろんなタイプがあるんですよ。grramのコンセプトの中に、いろんな部分を見せたいというのもあるので。
久川:はい(笑)。これからライヴもやっていきたいし、grramは直接伝えることを大事にしたいですから。