Brandel、「音楽で世界を変えたい!」野心を持った強烈なデビュー作品
10月19日に4曲入りのミニアルバム『PIECES BY ELEMENTS』でデビューしたBrandel。いまどき、どのアーティストでも必ずやっているブログやツイッター等ではなく、ライヴで自らを発信してきた彼らは、「音楽で世界を変えたい!」という大きな夢を持つバンドだ。このデビュー作も、そんな野心に叶う壮大な作品。グラミー賞受賞のエンジニア、トム・ウェアーと共にL.A.レコーディングで生み出した彼らの夢の最初の一歩を記すこの作品と彼ら自身について聞いたインタビューをどうぞ。
◆Brandel~拡大画像~
──4人の出会いは?
Kenji(Vo/G):僕は色んなバンドをやってたんですけど、Lyuonと出会ったときもお互い別々のバンドをやっていて、一緒にツアーを回ったんですよ。それがきっかけで意気投合して。当時僕はギターをやってたんですけど、唄いたい気持ちが強かったんですね。せっかくだったら、ヴォーカルとして何かやってみようってことになって、最初はソロで始めたんです。そのときにLyuonがベースを弾いてくれて、Kazがドラムを叩いてくれて。そこから三人での活動が始まったんですよ。ギターのJukerはKazの大学の同級生で。
──KazとLyuonの出会いは?
Kaz(Dr):高校のときに出会っているんですよ。別のバンドをやっていたんですけど、Lyuonのバンドの企画イベントに誘ってもらって仲良くなって。彼のバンドのドラムが抜けたときも僕がサポートで呼ばれたりしていたので、その繋がりがあったから、Kenjiとも一緒に音楽をやるようになったというか。
──違う環境で育ってきた4人が、バンドを一緒にやるには志が似ているとか、意気投合した何かがあると思うんですけど、そのポイントはなんでしたか?
Kenji:みんな音楽をやってたら、いろんな目標があって活動していると思うんです。僕らがBrandelを作ったときに、大きなテーマを持って始めたんですけど、一番大きな目標は、すべての人に僕たちの音楽を届けたいということなんですね。自分の中にある嫌なことや、マイナスなものをプラスに変えられる力を僕らの音楽の中から見出してくれたらいいと思うんです。小さなことだけど、そういう連鎖を増やしていって、大きなものにしていきたい。僕らは音楽で世界を変えていくっていうマインドを持った4人なんですよ。
Lyuon(B):根底にあるのは、音楽で自分たちの人生が変わっているという実感。落ち込んでいるときに暗い音楽を聴いて、もっともっと自分のことを知っていくというのもひとつの変化だと思うし、カラ元気になる音楽もひとつの変化だと思う。そういう色んな変化を経験してきているから、音楽の可能性をより感じているんですね。それは、僕たちがより深く音楽と向き合った結果で得たことだったから、それを音楽で表現すると同時に、活動でも体現していきたいっていうことで。活動をするなかで、最初よりもその気持ちがどんどん強くなってるっていう実感はありますね。バンドを長く続けようと思ったら、こういう風にみんなで同じ信念を持つことってとても大切だと思うんです。
▲Kenji ──それぞれのプロフィールを見ると、音楽的な趣味も違いますけど、バンドとしてひとつの音にするのは時間がかかりませんでしたか?
Kenji:まとめようとは思ってないんですよ。個性がぶつかりあって生まれるケミストリーみたいなものを信じているから。バンドによっては、メンバーの誰か一人だけが曲を作っている場合もありますよね。そういう場合は、その人のアーティストとしての世界観が出ていいということもあります。でも、僕たちは4人が集まったことに意味があると思っているし、4人の個性を生かさないでどうするんだって思うんです。だから、曲を作るときもすぐまとまるっていうよりも、かなり言い合ってるっていうか(笑)。
Kaz:プロフィールはバラバラなんですけど、運が良かったことに「互いを認め合う」というところが共通してたんですよ。バラバラであるがゆえに、まとまったときの多様性が出るじゃないですか。そこって、色んなバンドが目指していると思うんですけど、人間の相性もあるから、なかなか難しい。出会いって一期一会って言いますけど、僕たち4人が出会ったことがひとつの奇跡みたいなものなのかなって。
Lyuon:ただ、作った作品はバラバラにならないというのは、すごく意思疎通がとれているというのを感じるんです。曲を作るときの根底にあるのは、風景だったり、曲が持ってるパワー。こういう雰囲気を出したいから、こういう世界観でこうなんじゃないの?って言ったときに、「こっちのほうが木の葉っぱのような感じじゃん」とか「青い感じじゃん」とか、そういう会話の中で、みんなが妥協なくひとつの方向にアレンジが向っていく理由なのかな。
Kenji:だからアレンジをしているときに話している会話は、映画の撮影をしているみたいなんですよ。
──ジャンルとかではなく、イメージを共有をしながら曲作りをしているんですね。
Kenji:そうです。あとはそこに自分の好きな楽曲性を持ち込んでいくっていう感じですね。
▲Juker ──『PIECES BY ELEMENTS』もそうやって出来たんですね。デビューミニアルバムは、大きな目標を達成していくための一歩なわけですから、そこで思うこともたくさんあったんじゃないですか?
Kaz:一作目だから、自分たちの世界観をしっかり出したいという思いはあって。それはうまくいったんじゃないかな。曲順も考えましたし。「New Brainchild」で暗い感じで始まって、最後の「Feel It Forever」に向って広がっていく感じというか。バンドのこれからもそうだし、自分たちの意思がうまく表現できたかなと思います。
──「New Brainchild」はどんな風にできていったんですか?
Kenji:一曲目になる曲を作ろうということで試行錯誤をしていたら最後に出来た。今作のコンセプトである「生への探求」を表しているというか。
──美しい曲ですよね。生きるって美しいんだなぁと。
Lyuon:そういう曲ですよね。今作はロス・レコーディングなんですけど、海外で録った理由も、色んな国の人に僕らの曲を知ってもらいたいという思いが強かったからなんですね。環境が違ったり、生まれが違えば、感じ方も違うと思うんです。でもその可能性って未知だし、それが魅力。だからアメリカ人のエンジニアのトム・ウェアーとも関わってみたいという欲があって。そのなかでも「New Brainchild」は、歌詞のなかにある“Suicidally”っていう単語に関して大モメしたんですよ。キリスト教徒も多いアメリカ人にとっては自殺とか自分で自分を殺すとか、死にたくなるとか、そういう表現は負の感情なんですよ。死ぬほど美しいという表現が美徳になるのって日本くらいで。
──侍の精神ですよね。
Lyuon:そうなんです。でも、それは日本人である僕等のアイデンティティでもあるから、そういう部分は残したいわけですよ。そういうやりとりっていうのも、この曲に限らずところどころであって。それは今後の活動につながる刺激的なことでしたね。
Kenji:日本人であることの良さも感じたし、他の国の考え方や文化も勉強していきたいですよね。グローバルな活動をしていきたいから。
▲Kaz ──Jukerくんはカナダに住んでいたこともあるから、メンバーの中でもよりグローバルな考え方を持っているんじゃないですか?
Juker(G):そうですね。ロスに行ったときも、他のメンバーと比べると、文化の違いというのはそこまで感じないなって思いました。僕は4年くらいカナダに住んでいて、子供の頃の柔軟な時期に海外の文化に触れたから、それは人生のなかでも面白い刺激になっているなぁと思ってるんです。だから、ロスレコーディングが他のメンバーの刺激になったというのもすごくわかりますね。
──2曲目の「Get Her Away」でまた雰囲気が変わりますね。リズムが本当に面白い。
Kaz:リズムアプローチにとにかく時間をかけましたから。この曲ができた経緯っていうのも、Lyuonがベースで何気なく弾いたフレーズがあって、それを僕が聴いて、カッコいいなと思ったから、スタジオで4ツ打ちのリズムを乗っけて、Kenjiが適当に歌を歌って、気付いたら1コーラスでき上がっていたいうような感じで。そこにあとから色んなスパイスで味付けしていったんですけどね。一番最初にできたベースのリフとバスドラのグルーヴを大事にしたいってみんな思ってて。そういう作り始めから最後まで、一貫してリズムのことを考えたっていう曲ではあります。他に、もっとミクロな人の心に近いような感情的なもの、戦争を肯定するわけではなく怒りとか破壊、暴力……人間ってそういう部分あるじゃないですか。そういう破壊的な衝動を詰め込んだという曲でもあります。Kenjiも日頃言ってますけど、破壊を無視して前に進むことって絶対できないから。歌詞の内容もすごく身近な、男女の痴情のもつれみたいな感じなんですけど。
──死生観から始まって、次は破壊というストーリーにもなっているわけですね。地球が生まれてからもそういう歴史が繰り返されていますものね。けれど、結局は愛がすべてということで、3曲目が「Love Is All」。最初の2曲はすごく洋楽的ですが、この曲には日本的なロック色を感じました。
Kenji:僕たち、日本人ですからね。日本のポップスも大好きなので。
Juker:そう。日本人であることを否定しようともしていないし。
Kenji:うん。特に「Love Is All」は日本人的な味が含まれていると思います。
Kaz:この曲はできたのが奇跡なんですよ。和音がすごく複雑なんですけど、みんなで作っている最中に、なぜかサビでベースがドゥーンドゥーンって上がったんですよ。その時に、みんなが「あ、なんかいい!」と思ってできた曲で。誰かが、こねくりまわしてできたわけじゃなく、スタジオのセッションでできた曲なんです。サビでベースの音が上がったときに、いきなり開けたという。「Get Her Away」も似てるんですけど。
Lyuon:Brandelを結成して初期の頃にできた曲なんですけど、「あぁ、これがBrandelなんだ」って思いましたね。それまでは個々で曲を作ることが多かったので、これってすごくポップだけど、どうなんだろう?とか、葛藤があったなかで音楽的に研ぎすまされていったところでぶつかった曲というか。サビの感じも、KenjiがAメロのリフを弾いたときに、ものすごいインスピレーションが溢れたんですよ。「これはこういう感じで行こうよ」って、すぐになったし、みんなのアイデアが一気に集結して。僕たちのなかでも、面白いきっかけを作ってくれたんですよ。こういう曲って、セッションではなかなかできない。
▲Lyuon ──破壊からの愛という歌詞の流れは起承転結を感じますね。
Kenji:僕ら起承転結が大好きなので。曲の中にもありますから。
Lyuon:みんな映画とか本とか大好きなんですよ。自分たちの人生もそうだけど、友達の人生もみんなすごくドラマティックじゃないですか。そのドラマというのに色んな感情を込めてしまう4人だと思うので、曲にもドラマとか奇跡、いろんなものを求めて作っているんですよ。
──その最たるものが「Feel It Forever」なのかなと思います。ものすごい壮大で、ラストに相応しい。
Kaz:これも初期にできた曲なんですけど、アルバムの最後はこれだよねって。
Lyuon:僕らの根幹にある、たくさんの人と音楽の素晴らしさを共有したいという思いが100%詰まってるから。
Kenji:バンドのコンセプトがそのまま詰まってますよね。
──1枚目から濃い作品ができて、しかも、グラミー賞受賞のエンジニア・トム・ウェアーとの作業で、次回作へのハードルも上がりますね。
Lyuon:でも、やりたいことっていうのは尽きないないんですよね。
Kenji:この作品ができたあとも、100%満足っていうわけではなく、まだまだ自分たちは色んなことができるなぁと思ったんですよ。限られた時間の中でレコーディングしてきたので、やり残したこともいっぱいありますし。2枚目で、さらに成長できたらいいなぁと思いますし、越えられるものを作れると思っているので。
Lyuon:入り口としてこの作品を通ってもらって、次の作品の準備もしてるんですけど、一番は生ものだと思っているので。ライヴで一緒に体感してほしい。
Kenji:うん。これを聴いて、ライヴに来てほしいです。
取材・文●大橋美貴子
『PIECES BY ELEMENTS』
GUGC-2001 \1,260(tax in)
発売中
1.New Brainchild
2.Get Her Away
3.Love Is All
4.Feel It Forever
<ライヴ・インフォメーション>
<PIECES BY ELEMENTS Tour 2011-2012>TOUR FINAL
2012年1月7日(土) shibuya WWW
◆Brandel オフィシャルサイト
◆Brandel~拡大画像~
──4人の出会いは?
Kenji(Vo/G):僕は色んなバンドをやってたんですけど、Lyuonと出会ったときもお互い別々のバンドをやっていて、一緒にツアーを回ったんですよ。それがきっかけで意気投合して。当時僕はギターをやってたんですけど、唄いたい気持ちが強かったんですね。せっかくだったら、ヴォーカルとして何かやってみようってことになって、最初はソロで始めたんです。そのときにLyuonがベースを弾いてくれて、Kazがドラムを叩いてくれて。そこから三人での活動が始まったんですよ。ギターのJukerはKazの大学の同級生で。
──KazとLyuonの出会いは?
Kaz(Dr):高校のときに出会っているんですよ。別のバンドをやっていたんですけど、Lyuonのバンドの企画イベントに誘ってもらって仲良くなって。彼のバンドのドラムが抜けたときも僕がサポートで呼ばれたりしていたので、その繋がりがあったから、Kenjiとも一緒に音楽をやるようになったというか。
──違う環境で育ってきた4人が、バンドを一緒にやるには志が似ているとか、意気投合した何かがあると思うんですけど、そのポイントはなんでしたか?
Kenji:みんな音楽をやってたら、いろんな目標があって活動していると思うんです。僕らがBrandelを作ったときに、大きなテーマを持って始めたんですけど、一番大きな目標は、すべての人に僕たちの音楽を届けたいということなんですね。自分の中にある嫌なことや、マイナスなものをプラスに変えられる力を僕らの音楽の中から見出してくれたらいいと思うんです。小さなことだけど、そういう連鎖を増やしていって、大きなものにしていきたい。僕らは音楽で世界を変えていくっていうマインドを持った4人なんですよ。
Lyuon(B):根底にあるのは、音楽で自分たちの人生が変わっているという実感。落ち込んでいるときに暗い音楽を聴いて、もっともっと自分のことを知っていくというのもひとつの変化だと思うし、カラ元気になる音楽もひとつの変化だと思う。そういう色んな変化を経験してきているから、音楽の可能性をより感じているんですね。それは、僕たちがより深く音楽と向き合った結果で得たことだったから、それを音楽で表現すると同時に、活動でも体現していきたいっていうことで。活動をするなかで、最初よりもその気持ちがどんどん強くなってるっていう実感はありますね。バンドを長く続けようと思ったら、こういう風にみんなで同じ信念を持つことってとても大切だと思うんです。
▲Kenji
Kenji:まとめようとは思ってないんですよ。個性がぶつかりあって生まれるケミストリーみたいなものを信じているから。バンドによっては、メンバーの誰か一人だけが曲を作っている場合もありますよね。そういう場合は、その人のアーティストとしての世界観が出ていいということもあります。でも、僕たちは4人が集まったことに意味があると思っているし、4人の個性を生かさないでどうするんだって思うんです。だから、曲を作るときもすぐまとまるっていうよりも、かなり言い合ってるっていうか(笑)。
Kaz:プロフィールはバラバラなんですけど、運が良かったことに「互いを認め合う」というところが共通してたんですよ。バラバラであるがゆえに、まとまったときの多様性が出るじゃないですか。そこって、色んなバンドが目指していると思うんですけど、人間の相性もあるから、なかなか難しい。出会いって一期一会って言いますけど、僕たち4人が出会ったことがひとつの奇跡みたいなものなのかなって。
Lyuon:ただ、作った作品はバラバラにならないというのは、すごく意思疎通がとれているというのを感じるんです。曲を作るときの根底にあるのは、風景だったり、曲が持ってるパワー。こういう雰囲気を出したいから、こういう世界観でこうなんじゃないの?って言ったときに、「こっちのほうが木の葉っぱのような感じじゃん」とか「青い感じじゃん」とか、そういう会話の中で、みんなが妥協なくひとつの方向にアレンジが向っていく理由なのかな。
Kenji:だからアレンジをしているときに話している会話は、映画の撮影をしているみたいなんですよ。
──ジャンルとかではなく、イメージを共有をしながら曲作りをしているんですね。
Kenji:そうです。あとはそこに自分の好きな楽曲性を持ち込んでいくっていう感じですね。
▲Juker
Kaz:一作目だから、自分たちの世界観をしっかり出したいという思いはあって。それはうまくいったんじゃないかな。曲順も考えましたし。「New Brainchild」で暗い感じで始まって、最後の「Feel It Forever」に向って広がっていく感じというか。バンドのこれからもそうだし、自分たちの意思がうまく表現できたかなと思います。
──「New Brainchild」はどんな風にできていったんですか?
Kenji:一曲目になる曲を作ろうということで試行錯誤をしていたら最後に出来た。今作のコンセプトである「生への探求」を表しているというか。
──美しい曲ですよね。生きるって美しいんだなぁと。
Lyuon:そういう曲ですよね。今作はロス・レコーディングなんですけど、海外で録った理由も、色んな国の人に僕らの曲を知ってもらいたいという思いが強かったからなんですね。環境が違ったり、生まれが違えば、感じ方も違うと思うんです。でもその可能性って未知だし、それが魅力。だからアメリカ人のエンジニアのトム・ウェアーとも関わってみたいという欲があって。そのなかでも「New Brainchild」は、歌詞のなかにある“Suicidally”っていう単語に関して大モメしたんですよ。キリスト教徒も多いアメリカ人にとっては自殺とか自分で自分を殺すとか、死にたくなるとか、そういう表現は負の感情なんですよ。死ぬほど美しいという表現が美徳になるのって日本くらいで。
──侍の精神ですよね。
Lyuon:そうなんです。でも、それは日本人である僕等のアイデンティティでもあるから、そういう部分は残したいわけですよ。そういうやりとりっていうのも、この曲に限らずところどころであって。それは今後の活動につながる刺激的なことでしたね。
Kenji:日本人であることの良さも感じたし、他の国の考え方や文化も勉強していきたいですよね。グローバルな活動をしていきたいから。
▲Kaz
Juker(G):そうですね。ロスに行ったときも、他のメンバーと比べると、文化の違いというのはそこまで感じないなって思いました。僕は4年くらいカナダに住んでいて、子供の頃の柔軟な時期に海外の文化に触れたから、それは人生のなかでも面白い刺激になっているなぁと思ってるんです。だから、ロスレコーディングが他のメンバーの刺激になったというのもすごくわかりますね。
──2曲目の「Get Her Away」でまた雰囲気が変わりますね。リズムが本当に面白い。
Kaz:リズムアプローチにとにかく時間をかけましたから。この曲ができた経緯っていうのも、Lyuonがベースで何気なく弾いたフレーズがあって、それを僕が聴いて、カッコいいなと思ったから、スタジオで4ツ打ちのリズムを乗っけて、Kenjiが適当に歌を歌って、気付いたら1コーラスでき上がっていたいうような感じで。そこにあとから色んなスパイスで味付けしていったんですけどね。一番最初にできたベースのリフとバスドラのグルーヴを大事にしたいってみんな思ってて。そういう作り始めから最後まで、一貫してリズムのことを考えたっていう曲ではあります。他に、もっとミクロな人の心に近いような感情的なもの、戦争を肯定するわけではなく怒りとか破壊、暴力……人間ってそういう部分あるじゃないですか。そういう破壊的な衝動を詰め込んだという曲でもあります。Kenjiも日頃言ってますけど、破壊を無視して前に進むことって絶対できないから。歌詞の内容もすごく身近な、男女の痴情のもつれみたいな感じなんですけど。
──死生観から始まって、次は破壊というストーリーにもなっているわけですね。地球が生まれてからもそういう歴史が繰り返されていますものね。けれど、結局は愛がすべてということで、3曲目が「Love Is All」。最初の2曲はすごく洋楽的ですが、この曲には日本的なロック色を感じました。
Kenji:僕たち、日本人ですからね。日本のポップスも大好きなので。
Juker:そう。日本人であることを否定しようともしていないし。
Kenji:うん。特に「Love Is All」は日本人的な味が含まれていると思います。
Kaz:この曲はできたのが奇跡なんですよ。和音がすごく複雑なんですけど、みんなで作っている最中に、なぜかサビでベースがドゥーンドゥーンって上がったんですよ。その時に、みんなが「あ、なんかいい!」と思ってできた曲で。誰かが、こねくりまわしてできたわけじゃなく、スタジオのセッションでできた曲なんです。サビでベースの音が上がったときに、いきなり開けたという。「Get Her Away」も似てるんですけど。
Lyuon:Brandelを結成して初期の頃にできた曲なんですけど、「あぁ、これがBrandelなんだ」って思いましたね。それまでは個々で曲を作ることが多かったので、これってすごくポップだけど、どうなんだろう?とか、葛藤があったなかで音楽的に研ぎすまされていったところでぶつかった曲というか。サビの感じも、KenjiがAメロのリフを弾いたときに、ものすごいインスピレーションが溢れたんですよ。「これはこういう感じで行こうよ」って、すぐになったし、みんなのアイデアが一気に集結して。僕たちのなかでも、面白いきっかけを作ってくれたんですよ。こういう曲って、セッションではなかなかできない。
▲Lyuon
Kenji:僕ら起承転結が大好きなので。曲の中にもありますから。
Lyuon:みんな映画とか本とか大好きなんですよ。自分たちの人生もそうだけど、友達の人生もみんなすごくドラマティックじゃないですか。そのドラマというのに色んな感情を込めてしまう4人だと思うので、曲にもドラマとか奇跡、いろんなものを求めて作っているんですよ。
──その最たるものが「Feel It Forever」なのかなと思います。ものすごい壮大で、ラストに相応しい。
Kaz:これも初期にできた曲なんですけど、アルバムの最後はこれだよねって。
Lyuon:僕らの根幹にある、たくさんの人と音楽の素晴らしさを共有したいという思いが100%詰まってるから。
Kenji:バンドのコンセプトがそのまま詰まってますよね。
──1枚目から濃い作品ができて、しかも、グラミー賞受賞のエンジニア・トム・ウェアーとの作業で、次回作へのハードルも上がりますね。
Lyuon:でも、やりたいことっていうのは尽きないないんですよね。
Kenji:この作品ができたあとも、100%満足っていうわけではなく、まだまだ自分たちは色んなことができるなぁと思ったんですよ。限られた時間の中でレコーディングしてきたので、やり残したこともいっぱいありますし。2枚目で、さらに成長できたらいいなぁと思いますし、越えられるものを作れると思っているので。
Lyuon:入り口としてこの作品を通ってもらって、次の作品の準備もしてるんですけど、一番は生ものだと思っているので。ライヴで一緒に体感してほしい。
Kenji:うん。これを聴いて、ライヴに来てほしいです。
取材・文●大橋美貴子
『PIECES BY ELEMENTS』
GUGC-2001 \1,260(tax in)
発売中
1.New Brainchild
2.Get Her Away
3.Love Is All
4.Feel It Forever
<ライヴ・インフォメーション>
<PIECES BY ELEMENTS Tour 2011-2012>TOUR FINAL
2012年1月7日(土) shibuya WWW
◆Brandel オフィシャルサイト
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