INORAN、“男の色気”満載のグラマラスでストレートなロック「Hide and Seek」大特集

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INORAN

最新シングル「Hide and Seek」2011.10.05リリース

<LUNA SEA@さいたまスーパーアリーナ 2011.10.22>のINORANに密着レポート

LUNA SEAのギタリストであり、10月5日にソロとしては10年振りのシングル「Hide and Seek」をリリースしたばかりのINORAN。そんな彼が、10月22日、東日本大震災の復興支援を目的としてさいたまスーパーアリーナで行われた<東日本大震災チャリティライヴLUNA SEA For JAPAN A Promise to the Brave>のステージに挑んだ。INORANの熱い一日を追う!

● 11:10 さいたまスーパーアリーナ到着


スタッフに誘導され楽屋に向かう間、すれ違うスタッフみんなに「おはようございます!」と笑顔で声をかけるINORAN。INORANが入った楽屋の扉には「SMOKING ROOM」という張り紙。部屋の中で一服しているスタッフがINORANに場所を譲る。この部屋は、本来、喫煙室として用意されているそう。

「俺がタバコを吸うばっかりに、占領しちゃって申し訳ないね」

すまなそうに言うINORANだが、気さくな人柄ゆえに、INORANの楽屋になっても、挨拶も兼ねて次々とスタッフが一服しにやってくる。1人1人と丁寧に会話を交わすINORAN。食事をどうするか尋ねてきたスタッフに、「軽く食べようかな? おにぎりかサンドイッチを……」と指示を出し、テーブルの上にキャンドルをセッティング。ライヴの前は、いつもこうして楽屋にキャンドルを灯し、リラックス出来るような環境を整えるそう。

「メンバーに挨拶に行こうかな」と、RYUICHI、SUGIZO、真矢、Jの楽屋を訪れる。


楽屋に戻るとパソコンを開いて、携帯用のスピーカーをつなぐ。
「このスピーカー、誕生日にソロのバンドメンバーにもらったんだけど、すげぇいいんだよね」

アデルをBGMにサラダ等の軽食をすませると、灯したキャンドルの写真をFacebookにアップしたり、オフィシャルサイトをのぞいたり、この日のライヴのパンフレットやフライヤーを見たりしながら、サウンドチェックまでのつかの間の時間をゆったりくつろぐ。

さすが、キャリアのあるアーティストは、大きなステージの前でも余裕だなぁと思っているとINORANがこんな一言を発した。

「今日、生中継なの忘れてた! 急に緊張してきた(笑)」

一瞬、冗談かと思いきや、この瞬間まで、本当に生中継が入ることを忘れていたそう。この言葉を聞いて、INORANにとってライヴとは、特別なものではなく呼吸をするくらい自然で、自分の一部のようなものなのかもしれないと思った。

● 12:30 サウンドチェックスタート


ステージに上がると、マイクに向かって、「おはようございます。よろしくお願いします」とINORAN。

スタッフ「では、メインギターの方から。これはJM(Jazz Master)ですね」
マイクを通してスタッフが指示を出し、曲の一部を弾き、細かく音をチェックしていく。

スタッフ「めちゃめちゃいい音してますね」
INORAN「ね! いい音だよね!」

INORANも音響に満足している様子。次々とギターを持ち替え、INORANのサウンドチェックは15分で終了。

● 12:45 全体リハーサル


「今、皆さんにお声がけしているので、全体でのリハーサルに入ります!」とスタッフからのアナウンス。INORANは引き続きステージに残り、みんなを待つ。気合いを入れるためか、RED BULLを飲んでいる。順番にメンバーが現れ、笑顔を交わし合う。まだリハーサルでも、5人がそろうとステージ上は途端にエネルギッシュな空間に変化する。


サングラスにロングコートでカリスマ度もバッチリなRYUICHIが「皆さんおはようございます」とマイクに向かってひとこと。

真矢の「いきまーす!」というかけ声で「Dejavu」からリハーサルはスタートした。INORANはギターを弾きながら、ゆっくりとステージを一周。この日はお客さんがステージの脇から後ろに側にもいるので、動いたときの雰囲気をチェックしているのだろうか。「SLAVE」ではINORANのコーラスも入るが、しっかりRYUICHIのメロをサポート。素晴らしいハーモニーだ。

リハーサルでもすでにメンバーのテンションは本番さながら。一瞬も手を抜くことがないので、一曲ずつ、引き込まれてしまう。

● 14:52 リハーサル終了


楽屋に戻ると、衣装がズラっと用意されていて、もうすぐ始まるんだという緊張感で気持ちがピリッとする。

「リハの感じはどうでしたか?」と尋ねると、「ぜんっぜん問題ないです!」と満面の笑顔が返って来た。

本番に備えて早めに食事。ケータリングにはホットミールが用意されているので、スタッフがそれをとりに行くと、INORANが頼んだカレーがもうないという。

「それじゃ、ハンバーグで! 本当はいつも、カレー南蛮そばと玄米を用意してもらうんだけど、今日はみんなに合わせようと思って」とINORAN。

スタッフが持って来たトレーには、チキン南蛮、ハンバーグ、ペンネアラビアータ、肉じゃが、みそ汁、温野菜、サラダ、ライスが少しずつ乗っている。

完食すると「全部美味しいから食べ過ぎた!」。

● 15:06 衣装選び


スタイリストさんがやってきて、「今日はどれにする?」と、本編2着、アンコール1着、合計3着のスタイリングを相談。
ラックにかかった衣装を一つ一つ見ながら「普通なのがいいなぁ」と言いつつ、掴んだのは豹柄のジャケット。

「豹柄行く?(笑)」

羽織って鏡を見て「アンコールにするか……」。

結局、最初に着る衣装は、スタイリストさんが用意した黒いシャツに自分が着て来た私服のジャケットを羽織ることに。3タイプのコーディネートを決めると、今度はヘアメイク。鏡の前に座り、自分で髪の毛をいじりはじめるINORAN。

「自分でやるんですか?」と思わず聞くと、「うん。髪の毛だけね」。徐々にテンションが上がって来たのか、BGMに合わせて口笛を吹きながら髪をセットしていく。

● 15:44 開場


予定の15:30よりも少し遅れて開場。「開場しまーす!」と楽屋に告げに来たスタッフに「開場が遅れたってことは開演も押すの?」と確認するINORAN。ここからの準備のために、どれだけ時間があるのか逆算するためだ。

「開場は押したんですが、出来ればライヴはオンタイムではじめたいんですよ」とスタッフ。慌ただしく準備が進められて行く。ヘアのセットが8割終わると、「ギャル男っぽくない?」と聞くINORAN。いえいえ、とても素敵です! 残りの2割はメイクが済んでから仕上げるとのことで、衣装に着替えてメイク開始。メイクさんに「30分くらいで出来る?」と確認。メイクが終わると、別室に移動して、念入りにヘアを自分で仕上げる。

16:40頃、開演が10分押すというインフォメーション。ここから一気に慌ただしくなる。衣装をすべて着込んで、ブーツも履き替え、すべてを完了すると「出来たー!」と笑顔を向ける。

Feederの「WE ARE THE PEOPLE」を少し大きめの音量で流し、テンションを高めるINORAN。そして、楽屋を出る前、「行ってきます!」の思いを込めるよう、その場にいたスタッフ一人一人の手を握り、ステージの裏へと向かった。

● 17:16 気合い入れ

メンバーがそろい、円陣を組む。

RYUICHI「さぁ、参りましょうか! 今日は東日本大震災の支援のライヴなので、いつも以上にエネルギーを与えられたらと思っています。じゃ、行きます」

場が緊張感でシーンとなる。

RYUICHI「気合い入れるぞ!」
メンバー一同「オウッ!」

スタッフ全員の大きな拍手に見送られるようにステージ裏の暗闇に吸い込まれる5人。オープニングSEの「月光」をじーっ聞いているINORAN。「今日一日のコンサートで、できるだけたくさんの人の笑顔と明るい未来が在るように、精一杯音を奏でたいです。みんながハッピーになるように!」というメッセージを残し、ステージへの階段を登って行った。

● 17:20 本番スタート


メンバーが登場すると歓声が倍の大きさになる。メンバー同士、アイコンタクトをとりながら、笑顔を交わしながら「WITH LOVE」を演奏している。「Dejavu」ではメンバーが一斉にステージの前へ出る。場内の熱が一気に上がったのが歓声の大きさで伝わってくる。INORANはギターを弾きながら、RYUICHIと一緒にずっと歌を口ずさんでいる。曲が終わり、RYUICHIが「アリーナ!」と、客席を煽っている間に、INORANがスタッフが控えている舞台袖にやってきて、靴を指差す。

見るとブーツの靴紐がほどけている。ギターを持っていると、足下の靴紐を自分で結ぶのは困難だ。本番中にメンバーがずっと後ろを向いているわけにも行かず、慌ててスタイリストさんがやってくるも、結局、「TRUE BLUE」がはじまる直前に、なんとか自分で結び直した。「SLAVE」を演奏中に振り返り、スタイリストさんに「大丈夫」の合図を目で交わし、再び正面を向いた。

「G.」が終わると、RYUICHIが「今日集まった開場の全員で東日本大震災で亡くなったみんなに黙祷を捧げたいと思います」と、1分間の黙祷が行われた。続いて、チャリティーソングとして配信された「PROMISE」。「RA-SE-N」では、曲の途中でも丁寧にチューニングを直す姿が印象的だった。「MOON」ではアコギにチェンジし、椅子に座ってプレイする。ドラム&ベースソロでINORANは一端楽屋へ。

ライトを浴び、動き回って汗だくのINORAN。スタッフがウチワや扇子であおぎながら衣装を着替え、ヘアメイクを直す。この間にも、「イヤモニが聴こえない」「風をもうちょっと強くして」等、スタッフに指示を出す。

SUGIZOがステージに向かう途中で顔を出し、「まだ(楽屋に)いるのね!」と声をかける。

● 18:28 再びステージへ


「BLUE TRANSPARENCY」ではドラムの前でRYUICHIと絡んだパフォーマンスを見せたり、SUGIZOとの掛け合いも。「DESIRE」では演奏中に真矢と笑いあいながらギターを弾く。「ROSIER」では恒例となっている、Jのマイクスタンド投げも。本編のラストは「TONIGHT」。最後に地声で客席に向かって叫ぶINORAN。それに答える客席の歓声を合図に再びアウトロの演奏がスタートし場内の空気を最後まで熱くする。

● 19:15 本編終了

慌ただしくアンコール用の豹柄のジャケットに着替え、ヘアメイクを直し、再びステージへ。舞台裏でRYUICHIと談笑。

INORAN「いったね!」
RYUICHI「結構疲れたね。ノドのハイが詰まってるんだけど、大丈夫だった?」
INORAN「全然、大丈夫!」
RYUICHI「盛り上がってくれて嬉しいね!こんなに(お客さんが)入るといいね!」

● 19:24 アンコール

「Crazy About You」の後にメンバー紹介。この間に水を飲もうと振り返ると、ペットボトルの水がほとんどなくなりかかっている。スタッフに向かってペットボトルを指差すINORAN。スタッフが新しい水を持って来る。

INORANを紹介するとき、RYUICHIが「時間を切り刻むギタリスト、INORAN!」言うと、「こう見えてもSUGIZOです!」と場内の笑いをとる。その前に真矢が紹介されたとき「こう見えてもRYUICHIです!」とギャグで返したのに合わせたINORAN。

ラストソングの「WISH」では、ステージを所狭しと動きまわるINORAN。真矢の後ろに立ち、肩をトントンと叩いたり、いたずらっ子のようにちょっかいをかける。客席で見ていても、楽しいライヴはあっという間だが、ステージにいると、そのスピードはさらに早く感じる。そして、ステージ上の楽しそうな雰囲気は客席にも伝わっているだろうが、ステージの袖で見ていると、プレイ中に言葉は交わさなくても、アイコンタクトや笑顔で、こんなにもメンバー同士でコミュニケーションをとりながらプレイしているのかと驚く。

演奏し終えると、モニターの上にそっとテレキャスを置き、ネックに向かって「ありがとう」と気持ちを込めるように投げキスをする。続いて客席に向かって手を合わせ、頭を下げる。真矢と肩を組んだり、手をつないで移動をしたりする姿も微笑ましかった。

最後はメンバー全員で手をつなぎ、場内も一緒にジャンプ! この日のライヴが幕を閉じた。

● 19:55 楽屋へ


メンバーのところに「お疲れさま」の挨拶に行ったり、SUGIZOが挨拶をしに来たり、スタッフが「良かったです!」と挨拶しにきたり、休む時間もなく、入れ替わり立ち代わりいろんな人がやってくる。

「はぁ?、しんどい。何が一番しんどかったんだろう? 厚着かな?」

衣装を重ね着していたため、汗だくだ。上半身すべて衣装を脱ぎ、バスタオルを羽織ったままソファに倒れ込む。

スタッフが仰いでも汗がひかない。ライヴの熱さがそのまままだ残っているようだ。

感想を聞くとこんなコメントをくれた。

「すごいあったかい感じがして。人の温かさが集結したライヴだと思ったし、そう感じられたのがLUNA SEAという場所で幸せでした。これからもLUNA SEAでもソロでも活動するけど、これをまた胸に抱いて、真摯に音楽と向かいます。すごく素敵な夜でした。ありがとうございます」

友人や関係者が待っている控え室に挨拶をしにいき、INORANはさいたまスーパーアリーナをあとにした。

INORAN、素晴らしい夜をありがとう。そして、お疲れさまでした!

取材・文●大橋美貴子

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