ミック・ジョーンズ「フジロックはこれまでで最高のフェスだ」
ザ・クラッシュのミック・ジョーンズとザ・クラッシュのビデオクリップや様々な映像作品を手掛けてきたドン・レッツを中心として1984年結成されたビッグ・オーディオ・ダイナマイトは、2011年初頭オリジナル・メンバーで再結成し、3月からツアーで世界各国を回り、1993年以来18年ぶりとなる来日を<FUJI ROCK>で果たし、7月29日(金)素晴らしいライヴを見せた。ミック・ジョーンズがクラッシュを解雇された翌年の1984年、ドン・レッツ(Vo)、ダン・ドノヴァン(Key)、レオ・ウィリアムズ(B)、グレッグ・ロバーツ(Dr)で結成し、そのオリジナルメンバーでの再結成、そのメンバーでの来日公演ということで2011年のフジロックのメンツの中でもかなり楽しみにしてた人が多かったことだろう。
◆ビッグ・オーディオ・ダイナマイト画像
以下はビッグ・オーディオ・ダイナマイト(以下B.A.D.)に近しきソニー・ミュージック・スタッフの来日記である。
●7月28日(木)
朝、ロンドンより到着。成田からそのまま苗場へ向かったそうです。その途中ちょっとした小ネタが。小腹減ったミックがなんと日本ソバを食べたそう。これがおいしかったようで、相当お気に入りになったみたいでした。
●7月29日(金)
本番当日。ライブの前に取材を少々ブッキングしていたのですが、昔の担当者曰く「当時取材全部飛ばされて、モノ投げつけられた…なんて怖い話も聴いてたので、取材リクエストしたものの果たして本当に取材エリアに現れるのか?なんたってザ・クラッシュのあのミック・ジョーンズなわけですから、何が起こってもおかしくはない。もー時間が近づくにつれドキドキもんだったのですが、時間きっかりに来てくれたんです!
遠くからだんだんと近付いてくるミックとドンのお2人。なんとミックは夏なのにブラックのロングコートですよ!そして黒のスーツをびしっと。いやはや絵になるというか、カッコよかったです。
ドン・レッツはラスタカラーのニットの帽子が大きく膨らんでなんか乗っけてるみたいな(これはあとでなんでこんなに大きいのかライブでわかるんですが)。眼光鋭い感じでちょっと怖かったのですが、お2人に取材エリアに入る入口の前でご挨拶すると、ふたりともニッコリとして握手。全然モノを投げつけられるような雰囲気ではなくジェントルマンで非常に優しい感じ。
取材の中でB.A.D.は今後ずっと続けていくのか?新作とか出すのか?って質問には、それはこれからギグを続ける中お客さんの反応を見て決めると。「今日新曲をやってみて、みんなが反応してくれたら考えようかな~」なんて言ってました。
おふたりともタバコをがんがん吸うらしく、取材途中で「悪い、ちょっとタバコ吸っていい?」っていって中座して、外へ。そこでスタッフが持っていたタバコの携帯灰皿にドン・レッツが「なんだこれ?」って感じで興味津津。そしたらミックが「おれもポケットタイプの持ってるんだよ」と自慢(笑)。「日本はタバコの吸い殻も落ちてないし、みんな礼儀正しいわ。」なんて言っていました。
そして、いよいよライヴ。フジロック初日ホワイト・ステージのトリ。時間的にコールドプレイとどんかぶりでしたが、お客さんもかなり集まっている。
ステージのバックにはB.A.D.のロゴがドーンと入った垂れ幕がどーんと掲げられ、これがまたカッコいい!
22:20過ぎ、遂にスタート。ウェスタン調の登場のテーマ曲にのって、メンバーがステージに。最後にミックが大歓声の中颯爽と登場。
黒のスーツと白いシャツでビシっとキメて、黒いテレキャスターを抱えるとまた会場中から大歓声。一発目はいきなり「MEDICINE SHOW」でスタート。
ミックのギターの弾き方変わってねー。ギターを弾きながらトコトコトコとステージを歩き回るあのステップ。そして、ソロを弾く時のちょっとポーズをつけたキメポーズ。カッコいいわ!
ドン・レッツはステージ向かって左側。途中帽子を放り投げると中から見事なドレッド・ヘアーがお出まし。長い!そしてお見事!なドレッドがあの大きな帽子の中にうまーく入ってたんですね。彼が髪を振り回すと、またまた会場中も盛り上がる(ちなみにステージが終わった後はすぐまた帽子の中に見事にたたまれて。それがまた違う帽子で、いったい何個もってるんだろ?見るたび会うたび違ったデザインの帽子で…)。
途中の曲でMCでこんなことを!
「ジョー(・ストラマー)に日本に来たほうがいいよってずっと言われてて、ようやく来れた。ありがとう!あいしてますぅ!(日本語)」ですって。なんとジョーからフジロックを薦められてたと!いい話じゃないですか!
取材でも発言のあった新曲は6曲目に登場。「世界の金融危機のことを歌った曲」って紹介してやったのが「ROB PETER PAY PAUL」ってタイトルの曲。これまたイイ曲で反応もよかったです!もしかしたら何らかの形でリリースされるかもですね。
あっという間に10曲目。「来てくれてありがとう。やっと日本に来られて嬉しいよ。みなさんの幸せを祈ってるよ」と語り「REWIND」。この曲で一度引っこむ。まだまだやってない曲あるよと会場中でアンコール・コール。それに合わせて再び登場。
「俺たちのショーを楽しんでくれたといいな。ここでプレイする機会をくれてありがとう!サイコーにハイだぜ!」と語ってアンコール一発目は「BOTTOM LINE」。そして続けて「君たちが待ってるのを知ってるよ」と言って待ってましたの「E=MC2」。
これで終わったかと思いきや「あと数分あるから、もう一曲聞きたい?」と言うと、最後の最後はなんとBIG AUDIO DYNAMITE IIのヒット曲だった「RUSH」。この曲カッコ良かったですが、オリジナルBIG AUDIO DYNAMITEでやるとは思ってませんでしたからびっくり。
そして「ありがとう!サヨナラ!」という言葉を残してステージを後にしました
アンコール後はさらに盛り上がりまくりで凄かったです全13曲で約1時間半くらい。終演後いろいろな方と話しましたが、観た方全員が「素晴らしかった!」と興奮して語るほど。
ミックもライヴ終了後、ニッコニコで、相当よかったみたいで大満足の表情。「フジロックはこれまでで最高のフェスだ」って言ってました。そして、また日本にすぐ来たいと。
現実のものになるかどうかはまだわかりませんが、オーストラリアのBIG DAY OUTに出演するらしくそのあとに日本にまた来たいとか?(ただ本人が言ってるだけなのでどうなるかわかりませんが)
<フジロック2011@ホワイト・ステージ>
1.MEDICINE SHOW(1985『This Is Big Audio Dynamite』)
2.SIGHTSEE MC!(1986『No. 10, Upping St.』)
3.A PARTY(1985『This Is Big Audio Dynamite』)
4.BEYOND THE PALE(1986『No. 10, Upping St.』)
5.BAD(1985『This Is Big Audio Dynamite』)
6.ROB PETER PAY PAUL(NEW SONG)
7.JUST PLAY MUSIC(1988『Tighten Up Vol. 88』)
8.C'mon Every Beatbox(1986『No 10, Upping Street』)
9.The Battle of All Saints Road(1988『Tighten Up Vol. 88』)
10.REWIND(1989『Megatop Phoenix』)
(ENCORE)
11.BOTTOM LINE(1985『This Is Big Audio Dynamite』)
12.E=MC2(1985『This Is Big Audio Dynamite』)
13 RUSH(1991『The Globe』)
●番外編7月30日(土)
朝11:30にホテルから出発。一番最初に来たのはドン・レッツ。今日もまた違う帽子かぶってる!ドンは昨夜B.A.D.のライヴが終わったあとAM2:00からDJ TIMEで回してたのでちょっとお疲れモード(レゲエ中心に回してたそうです)。でも挨拶すると笑顔で応えて、がっちり握手してくれました。ちょっとしてミックが登場。今日もまたコート、それも昨日とは別の襟が大きな感じのコートを纏って!ニコニコ笑顔で「また早く戻ってきたいね」なんて言ってくれました。コートを翻し颯爽とバスの中へと消えて行きました。
しかし初めてあったミック・ジョーンズの印象は一言でいえば「英国気質のジェントルマン」。立ち振る舞いや、ちょっとした一つ一つのしぐさや、ロンドン・コーリングの頃の写真で見たようなロングコートにスーツに身を固めたファッション、タバコにビール、そして笑顔…。どれもこれもグッと来る瞬間の数々でした。ライヴのあとソニースタッフのみなさんで挨拶したときに一言。「俺たちのアルバムだしてくれてありがとう。」なんて…もはや涙…また是非日本で素晴らしいライヴを見せてください。待っています!
pix by MITCH IKEDA
『ディス・イズ・ビッグ・オーディオ・ダイナマイト(25th Anniversary Edition)』
2011年7月27日発売
SICP-3207 ¥2,730(税込)
※完全生産限定。The Clash解散後M.Jonesが結成したビッグ・オーディオ・ダイナマイトの傑作。当時スマッシュ・ヒットを記録した「The Bottom Line」「Medicine Show」「E=MC(2)」などを収録したオリジナル・アルバムを最新デジタルリマスターで抜群の音質に。更にボーナスディスクには12インチ・ミックスやダブ・リミックスなど12曲(内未発表曲5曲)を収録。歴史的名盤を再評価するにふさわしい豪華盤25周年記念盤レガシー・エディション。日本盤には英文ブックレット翻訳(ミック・ジョーンズのライナー他)、詳細な解説、歌詞・対訳をきっちり収録。あまりにも早すぎたバンド、B.A.Dを今こそ再評価。
◆ビッグ・オーディオ・ダイナマイト・オフィシャルサイト
◆BARKS洋楽チャンネル