AUN Jクラシック・オーケストラ、能楽堂にてツアーファイナル
2011年7月18日。表参道にある銕仙会能楽研修所において、AUN Jクラシック・オーケストラのライブが行われた。これは。本来3月12日、東日本大震災の翌日に同場所において行われる予定だった公演が延期されたもの。
◆AUN Jクラシック・オーケストラ画像
出演者もライブを見に来た人たちも、きっと何か思いを抱えている。
客電が落ち、箏の音が響く。そこに、太鼓、笛と音が絡んでいく。そして、尺八と笛のハモりが心地よく耳に届く。オリジナルアルバム『道』に収められている「青い薔薇」からのスタート。よく考えると、和楽器と青い薔薇は、とてもミスマッチだ。しかし、奏でられる音は、まさしく青い薔薇。これが、インストゥルメンタルの楽しさだろうか?
MCでは、この公演が3月12日の延期公演であること。そして、ツアーファイナルであることを。そして「生きる」ことをテーマにしている「もののけ姫」。今、生きていることは、あの日を境に、より切実になったと思う。そんなことを考えながら聴く。
続いて、AUNの二人と秀による「カルペディウム」。迫力あるステージ、和太鼓とチャッパ、打楽器の共演だ。そして、ライブごとに成長していく男4人による三味線「プレイバック」。2010年のライブで、EXILEのようだと書いたが、ついに今回は、縦に並んで身体を回してみせてくれた。演奏前には、中棹三味線と津軽三味線の音の違いを。
「旅立ち」は、柔らかい箏の音から。囁きかけるような雰囲気は、まるで物語を紡ぐよう。続いて、石垣秀基による尺八の独奏。会場が音に包まれる。「ブルー」は、ライブバージョンで。
前半最後は、良平、公平と秀、1969年生まれの男3人、合計年齢123歳での演奏「1969-11」。3人は年齢が一緒というだけでなく、同じような道を歩いてきた。そして、20周年を迎える。8月24日には、南青山マンダラで<「AUN・秀/三つ巴(1969)」音楽生活20周年記念ライブ>を行う、と。
ここで、休憩。休憩後は、山田路子による能管の独奏。ステージの真ん中に正座して発する音は、身体全身から響き、会場全体を支配するかのよう。
ずっしりと音を感じたあとは、「春よ、来い」。もう一度、今年の春をやり直すことができたなら、と思わずにはいられない。尺八と笛のユニゾンが気持ち良い。
MCでは、AUNとHIDE-HIDEでロシアに行った話を。彼らはロシアでも大人気らしい!ということで、ロシア組で「獅子奮迅」。尺八がうねり、高く空へ飛び立つよう。
そして、箏へ。箏は龍に見立てて各部の名前が付けられている話を。龍頭、龍尾、龍眼、龍角など。そう聞いてから、箏を見ると龍にしか見えなくなるのは思いこみが強いせい?そして、箏は、通常十三弦だが、より低い音を出す十七弦と呼ばれる楽器もある。また最近は、二十弦、二十五弦の箏もあるとのこと。箏の名曲、沢井忠夫作曲の「鳥のように」。まるで星が降ってくるような感覚になる。
MCでは、「題名のない音楽会」の放送日が、8月21日に決まったとの告知。日曜の朝、テレビ朝日でAUNJに会えます。
お待ちかね、AUN三味線の時間。彼らの技が、日々進化していることを感じざるを得ない。続いて、大地を揺るがすような「Ground zero」。「サンセット」は、何度聴いても、メロディラインに恋をしてしまいそうになる。エンドレスで聴き続けたい音だ。
11月と12月のライブ告知。そして、8月10日に発売される、中孝介のシングルに、「夏夕空 feat AUN J-クラシック・オーケストラ」が収録されることを告知。
本編ラストは「海の路」。アンコールでは、メンバーがそれぞれの色の手ぬぐいで作った服を着て登場。和を感じつつ、女性はかわいらしいチュニックだったりするのもたまらない。
ラストは「道~Road~」。今、日本が、日本人が見つめなければならないもの、それが道ではないかと思いながら聴いた。今、目の前にある道を進むことでしか、あの場所へはいけない。そして、「今、ここ」を楽しめなければ、未来を楽しむことは難しいだろう。そんな思いがあふれた。
そして、入場時に手にしたパンフレットを改めて見る。「音楽には国境はないけれど、国籍はある」と、井上良平が記していた。最高の場所で、日本という国籍を持った「和」の音に触れた。音だけでない思い、熱が伝わる、本当に深く強いライブだった。
<AUN Jクラシック・オーケストラ・ツアーファイナル@銕仙会能楽研修所 7月18日>
・青い薔薇
・もののけ姫
・カルペディウム
・プレイバック
・旅立ち
・尺八ソロ
・ブルー/ライブバージョン
・1969-11
・能管ソロ
・春よ、来い
・獅子奮迅/HIDE-HIDE
・鳥のように
・AUN三味線
・Ground zero
・サンセット/AUN J クラシック・オーケストラ
・海の路/ライブバージョン
・道~Road~
<AUN Jクラシック・オーケストラ公演>
2011年7月30日11:00開演@国立劇場「はじめての邦楽」
2011年8月18日17:00開演@横浜象の鼻テラス(野外・無料)
2011年11月13日@大阪堺市立栂文化会館
2011年12月15日@東京浜離宮朝日ホール
<テレビ出演>
2011年8月21日テレビ朝日系列「題名のない音楽会」出演
◆AUNオフィシャルサイト
◆AUN Jクラシック・オーケストラ・オフィシャルサイト
◆AUN J クラシック・オーケストラBlog
[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp/
◆AUN Jクラシック・オーケストラ画像
出演者もライブを見に来た人たちも、きっと何か思いを抱えている。
客電が落ち、箏の音が響く。そこに、太鼓、笛と音が絡んでいく。そして、尺八と笛のハモりが心地よく耳に届く。オリジナルアルバム『道』に収められている「青い薔薇」からのスタート。よく考えると、和楽器と青い薔薇は、とてもミスマッチだ。しかし、奏でられる音は、まさしく青い薔薇。これが、インストゥルメンタルの楽しさだろうか?
MCでは、この公演が3月12日の延期公演であること。そして、ツアーファイナルであることを。そして「生きる」ことをテーマにしている「もののけ姫」。今、生きていることは、あの日を境に、より切実になったと思う。そんなことを考えながら聴く。
続いて、AUNの二人と秀による「カルペディウム」。迫力あるステージ、和太鼓とチャッパ、打楽器の共演だ。そして、ライブごとに成長していく男4人による三味線「プレイバック」。2010年のライブで、EXILEのようだと書いたが、ついに今回は、縦に並んで身体を回してみせてくれた。演奏前には、中棹三味線と津軽三味線の音の違いを。
「旅立ち」は、柔らかい箏の音から。囁きかけるような雰囲気は、まるで物語を紡ぐよう。続いて、石垣秀基による尺八の独奏。会場が音に包まれる。「ブルー」は、ライブバージョンで。
前半最後は、良平、公平と秀、1969年生まれの男3人、合計年齢123歳での演奏「1969-11」。3人は年齢が一緒というだけでなく、同じような道を歩いてきた。そして、20周年を迎える。8月24日には、南青山マンダラで<「AUN・秀/三つ巴(1969)」音楽生活20周年記念ライブ>を行う、と。
ここで、休憩。休憩後は、山田路子による能管の独奏。ステージの真ん中に正座して発する音は、身体全身から響き、会場全体を支配するかのよう。
ずっしりと音を感じたあとは、「春よ、来い」。もう一度、今年の春をやり直すことができたなら、と思わずにはいられない。尺八と笛のユニゾンが気持ち良い。
MCでは、AUNとHIDE-HIDEでロシアに行った話を。彼らはロシアでも大人気らしい!ということで、ロシア組で「獅子奮迅」。尺八がうねり、高く空へ飛び立つよう。
そして、箏へ。箏は龍に見立てて各部の名前が付けられている話を。龍頭、龍尾、龍眼、龍角など。そう聞いてから、箏を見ると龍にしか見えなくなるのは思いこみが強いせい?そして、箏は、通常十三弦だが、より低い音を出す十七弦と呼ばれる楽器もある。また最近は、二十弦、二十五弦の箏もあるとのこと。箏の名曲、沢井忠夫作曲の「鳥のように」。まるで星が降ってくるような感覚になる。
MCでは、「題名のない音楽会」の放送日が、8月21日に決まったとの告知。日曜の朝、テレビ朝日でAUNJに会えます。
お待ちかね、AUN三味線の時間。彼らの技が、日々進化していることを感じざるを得ない。続いて、大地を揺るがすような「Ground zero」。「サンセット」は、何度聴いても、メロディラインに恋をしてしまいそうになる。エンドレスで聴き続けたい音だ。
11月と12月のライブ告知。そして、8月10日に発売される、中孝介のシングルに、「夏夕空 feat AUN J-クラシック・オーケストラ」が収録されることを告知。
本編ラストは「海の路」。アンコールでは、メンバーがそれぞれの色の手ぬぐいで作った服を着て登場。和を感じつつ、女性はかわいらしいチュニックだったりするのもたまらない。
ラストは「道~Road~」。今、日本が、日本人が見つめなければならないもの、それが道ではないかと思いながら聴いた。今、目の前にある道を進むことでしか、あの場所へはいけない。そして、「今、ここ」を楽しめなければ、未来を楽しむことは難しいだろう。そんな思いがあふれた。
そして、入場時に手にしたパンフレットを改めて見る。「音楽には国境はないけれど、国籍はある」と、井上良平が記していた。最高の場所で、日本という国籍を持った「和」の音に触れた。音だけでない思い、熱が伝わる、本当に深く強いライブだった。
<AUN Jクラシック・オーケストラ・ツアーファイナル@銕仙会能楽研修所 7月18日>
・青い薔薇
・もののけ姫
・カルペディウム
・プレイバック
・旅立ち
・尺八ソロ
・ブルー/ライブバージョン
・1969-11
・能管ソロ
・春よ、来い
・獅子奮迅/HIDE-HIDE
・鳥のように
・AUN三味線
・Ground zero
・サンセット/AUN J クラシック・オーケストラ
・海の路/ライブバージョン
・道~Road~
<AUN Jクラシック・オーケストラ公演>
2011年7月30日11:00開演@国立劇場「はじめての邦楽」
2011年8月18日17:00開演@横浜象の鼻テラス(野外・無料)
2011年11月13日@大阪堺市立栂文化会館
2011年12月15日@東京浜離宮朝日ホール
<テレビ出演>
2011年8月21日テレビ朝日系列「題名のない音楽会」出演
◆AUNオフィシャルサイト
◆AUN Jクラシック・オーケストラ・オフィシャルサイト
◆AUN J クラシック・オーケストラBlog
[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp/