SPYAIR、切実なメッセージを込めた新曲「サムライハート(Some Like It Hot!!)」特集
SPYAIR
NEW SINGLE「サムライハート(Some Like It Hot!!)」2011.06.08 release
INTERVIEW
UZ(G/Pro):そうなんですよ。今までこういうのはあまりやったことがなくて、遊び心のつもりで、こんなのもやったら楽しいよって。だから思いっきりストレートではなく、俺の中ではフォークボール的な(笑)。かなり変化球を投げたものがタイトル曲になったというか。そういう意味では、今まで聴いてくれた人には多少違和感があるかもしれないんですけど。
UZ:そうそう。ちょっとライトハンドをやってみました。俺は、ああいう道は通ってきてないので。
UZ:はい。俺、Hi STANDARDとかが好きで、ギターソロ自体に興味があまりなかったんですよ。でも、今の時代、この曲みたいなガッツリしたギターソロをやることが楽しいのかなって。最近はギターソロばっか入れてますね。目覚めちゃいました。この「サムライハート」が大きなキッカケで。ギターでしか出せない楽器の音ってあるじゃないですか。そういうものにもうちょっと責任を持って、前に出して行くべきなのかなって。それがロックに直結していくし。
MOMIKEN(B):「♪Hey!!Hey!!応えて誰かいませんか?」って、今までとはちょっと違う、SPYAIRの弱気な部分を出しているんですけど、こういうのもあっていいんじゃないかなって。そういうところもらしくないのかもしれないですけど、最後のオチでは、そういうところも含めて、自分を愛しながら生きていくしかないんだよっていうメッセージも込めることが出来たし。何より時間がかかったのは「サムライハート」って言葉を作ることでしたね。
MOMIKEN:そうなんですよ。「ジャパニケーション」みたいな、俺たちなりの言葉がほしいねって。俺一人で考えていたんですけど、無理だと思って、みんなに相談して、ライヴの帰りに意見を出し合ったんです。そうしたらファンの方からの差し入れの「鳩サブレー」を見て、KENTAがボソッと「サブレでポンッてどう?」って言うんです。それまでさんざんみんなで意見を出しまくってたんだけど、「サブレでポンッていいんじゃねぇ?」ってなっちゃって(笑)。
MOMIKEN:もちろん(笑)。結局、家で考えて。まぁ、「サブレでポンッ」のあとだから、俺が何を出しても文句はないだろうなと。とりあえず目立つような言葉を投げて、選ばれたのが「サムライハート」だったんです。
ENZEL☆(DJ):普通だなぁ。
KENTA(Dr):IKEは熱い人だから、共感するでしょ(笑)。
IKE(Vo):え? 俺、うざいの?
KENTA:いや、スゴい熱い人って、嫌いな人は嫌いじゃん。
IKE:俺は好きですよ。
KENTA:ナイス!ツッコミ!
MOMIKEN:わかるー。IKEの周りって、自分の熱さを話したいって人が集まって来る。俺はそこに溶け込めない。
MOMIKEN:逆の立場で書いたんです。逆に俺は冷めているから、冷め切っていると、熱い人には冷めた気持ちってわからないものもあるんですよ。鬱陶しいって思う感覚とかもそれなりにあるんです。冷めている立場で、俺のそういう気持ちも誰にもわかってもらえないだろうなって。でもそういうところも含め、自分を信じながら行くしかないっていうことで書いたんです。熱いほうではないんです。
UZ:これは冷めた歌詞だったの?
MOMIKEN:冷めた歌詞です(笑)。実はネガティヴなほうだった。
MOMIKEN:そうですね。そこがなければただのネガティヴな歌詞になってしまいますから。
IKE:そう。炎の種類が俺とMOMIKENは違うんだよね。俺は赤くて、MOMIKENは青いんだよ。
KENTA:綺麗にまとめたー(笑)。
MOMIKEN:そうだと思います。
MOMIKEN:「Crazy」は2年前に作ったんですよ。「LINK IT ALL」は震災のあとに書きました。震災後って、バンドとして何をやっても裏目に出てしまうんじゃないかっていう、難しい時期で。かといって、そういうときに俺らが黙っているのは「違うんじゃない?」ってみんなで話し合って。最初は頑張ろうメッセージ的な曲にしようかと思ってたんです。でもあの時って、一日一日、秒単位で価値観が変わっていった。「頑張ろう」っていうメッセージも、このタイミングではいいけど、このタイミングではもしかしたら人を傷つけてしまう言葉なのかもしれないって、書いている段階でもどんどん変わって。何が俺らに言えることだろうってものすごい考えました。最終的に、震災の影響を受けている東京にいるっていう立ち位置で感じたことや、自分のメッセージをそこに乗せるっていうのが一番正しいんじゃないかって。素直な自分たちの現状、気持ちをぶつけて歌詞にしたのが「LINK IT ALL」です。
MOMIKEN:実は、この曲も本当は言葉がなくてもいいかなって思ったんです。
KENTA:ラララでいいってこと?
MOMIKEN:そう。究極、そう思ってた。そういうものしか伝えられるものしかないって。歌詞が全部なくなるっていうところに辿り着くのかなって思った。
KENTA:すげぇ深い部分までいったんだね。
MOMIKEN:めちゃめちゃ神経すり減らして。メッセージソングってこんなに大変なんだって。
IKE:この曲はそこがシビアだったね。でもSPYAIRとしては新しいきっかけになってる曲。今、この時代に生きる人として、そのときの思いをこうやってとどめておけたっていうのは、俺らにとっては価値がある。きっと十年後に歌ったら思い出せるし、聴いた人も、この時に聴いていた人もこの時に立ち戻れるだろうし、そういう意味で本当にいい曲が作れたなって。
UZ:本当は他の曲を入れる予定だったんですけどね。震災のあと曲を作って、これをどうしても入れたいって。曲作ってレコーディングしてリリースされるまでが最短ですよ。リアルタイムにやっていけたので、一番、今の気持ちが伝えることができたと思います。こういうバラードだと、俺は打ち上げ花火ドッカンみたいな、ゴージャスなバラードが好きなんですよ。でも、そういうものじゃなくて、聴いているうちにジワジワとあったかくなるようなメロディってあるじゃないですか。線香花火のようなメロディ。そういう曲のほうが実際染みたりするんですよね。そこを目指して作ったのがこの曲。
IKE:言ってたもんね。素朴なものを作りたいって。
UZ:そう。なるべく俺たちの人間性が出るように、他の楽器はストリングスとか入ってますけど最低限にして。人間がやっているって感じを表に出して、こういうアレンジにして。で、MOMIKENがこういう歌詞をのっけて。
KENTA:みんなで歌いました。
IKE:みんなで作った曲です。震災のときにそれぞれの中で明確になったと思うんですけど、一人一人が出来ることってそんなに多くはなくて。たいがい一つくらいですよね。だから、この曲は、大事な記念品なんです。これを早いタイミングでみんなに聴いてもらえるのは嬉しいです。
UZ:今の状況でCDを出せるって、すごく幸せな環境ですよね。CDにしないで、ただ自分で作るのも楽しいですけど、音楽って聴いてもらったら育って行くじゃないですか。
IKE:誰か聴いてくれないと何も起こらないからね。それをわかって俺らは出しているから。この曲を聴いて、いい方向に向かってくれたらいいなぁって思うじゃないですか。それは3曲ともに。だから、みんなに届くのが楽しみです。
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