-異種格闘技対談-Ring【round2】第15回/真鍋昌平(漫画家)
-異種格闘対談-Ring【round2】第15回
真鍋昌平(漫画家) / 逹瑯(Vo) ムック
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真鍋:サブカル系の雑誌で読んだんですけど、食えないバンドマンがホスト化してるって。それはホントなんですか?
真鍋:海外にもよくライヴに行かれていますよね。やっぱり海外のライヴも楽しいですか?
逹瑯:楽しいですよ。でも、長い時間飛行機に乗んなきゃなんないのはしんどい(笑)。でも、待っててくれる人たちがいるって思えたり、ライヴでのみんなの歓声を聴けると思ったら、そのしんどさも解消されるんで。
真鍋:海外でもムックはすごい人気ですけど、積極的に海外に進出しようと思ったんですか?
逹瑯:ヴィジュアル系っていうシーン自体が日本独特のモノで、海外ですごく流行ったんですよ。昔はその流行に乗っかるのが嫌だったんですけど、行けるときに行っとかなくちゃいつ行けるか分からないし、経験のひとつとして1回は行っとくか、っていうノリで行ったのが最初だったんです。やっぱり海外のノリって音で感じてくれるというか、すごくダイレクトなノリだったんですよね。ウチの場合は海外のメタル・バンドとかと一緒にやったりもしているんで、そのノリがすごくてカルチャー・ショックを受けたんです。それが本当にいい刺激になって、バンドに革命が起きたんですよ。すげぇ勉強になりましたね。ムックのお客さんもすごく柔軟で、最近ではウチらも海外っぽいライヴをするようになっていることもあって、お客さんも本当に手放しで楽しんでるノリを作ってくれるんですよ。すごくいいお客さんがついてくれてるなって、すごく感じます。
真鍋:いいですね。やっぱりバンドはライヴやってるときが1番楽しいんですね。
逹瑯:いや、でもそこは人それぞれだと思いますよ。音源製作してスタジオにこもってるときが1番好きっていうミュージシャンもいますからね。
真鍋:そうなんですか。
逹瑯:はい。その感覚は俺には分からないですけどね(笑)。
真鍋:ライヴするときって緊張しないんですか?
逹瑯:緊張ももちろんしますけど、ライヴ中にその緊張がキレてアドレナリンが一気に溢れ出る瞬間があるんですよ。そのときはもぉ半端なく楽しいですね。自分たちがコツコツスタジオで作っていた曲たちが、ライヴで生でお客さんに届いてその反応が直に返ってくるって、もぉ半端なく楽しいんですよ。嬉しいし。たまらないですね。漫画も読んでくれた人の反応とか気にならないですか?
真鍋:なりますね。
逹瑯:それをダイレクトに感じられる瞬間がライヴなんですよ。
真鍋:なるほど。
逹瑯:あ、武市まん喋った。今日初めて喋ったんじゃない? あまりにもおとなしいから今日はいないのかと思った(笑)。
真鍋:あ、いえ、こちらこそホントすいません、僕が質問攻めにしてたので(笑)。しかも僕、早口だから、入る隙間がなかったですよね、すいません(笑)。
逹瑯:あははは。個人名で(笑)? いいね、それ(笑)! ぜひ! つか、バンドマン題材で描いたらそうとう面白いと思いますよ。ホント、ダメなヤツいっぱいいますからね(笑)。
真鍋:あははは(笑)。そんなにダメな人、多いんですか(笑)?
逹瑯:ダメなヤツ多いですよ(笑)。ねぇ?
真鍋:女の人に食べさせてもらってるとかっていう話を聞いたことがあるんですけど、そういう方もいらっしゃるんですか?
逹瑯:まぁ中にはいるでしょうね。そういうヤツは何が本業なのか分からないですよね。何のためにバンドやってんのか分からない。でもほんとに、上の世代には怖い人たちがいっぱいいるし、若い世代には何考えてバンドやってんのか分からないヤツらもいっぱいいるし。ネタの宝庫ですよ。
真鍋:サブカル系の雑誌で読んだんですけど、食えないバンドマンがホスト化してるって。それはホントなんですか? いまホストの漫画描いているんで、そこもいろいろと調べたんですけど。食えないから女の人に貢いでもらってるホストもいて、そういうバンドマンも中にはいるって書いてあったんです。
逹瑯:どうなんですかね? 聞く話だと、全然売れてないバンドでもすげぇリッチな生活してるヤツがいるらしいですからね。でも、だとしたら、音楽で売れていい生活したいとかっていうハングリー精神がなくなってくると思うんですよね。っていうか、そもそも志が違う気がするというか。
真鍋:たしかに。そういう人は、さっき逹瑯さんが言ったみたいに、ライヴでの喜びとかそういうのは必要ないのかもしれないですね。音楽はただの飾りというか。そもそも根本が違うんだろうな。
逹瑯:うん。でしょうね。あと、いまの若いバンドを見ていて思うのは、バンドがどう見えるかより、まずは自分がどう見えるかってことしか考えてないんですよ。つまり自分を作ることばっか考えてる。だからだんだんダメになっていくと思うんですよ。
真鍋:なるほど。協調性がないと。
逹瑯:そうですそうです。バンドって本来そこじゃねぇだろっていう。自分のことしか考えてないヤツが多過ぎるんですよね。やっぱ30歳くらいでバンド続けてて、バンドで食っていけてるヤツらって、それができてるヤツらだと思うんですよ。
真鍋:この対談読ませてもらってそれは思いましたね。みなさんしっかりしてるなって。本音で話しながらも、ちゃんとエンタテイメントになってるなって。
逹瑯:そこだと思うんですよね。無意識ながらもそこをちゃんと意識していられる人たちが残っていく世界なんじゃないかなって。
真鍋:たしかに。そこは漫画家も同じだと思いますね。
逹瑯:ところで、真鍋さんが漫画を描かれていて、1番楽しい瞬間とか嬉しい瞬間って何なんですか?
真鍋:物語の話が思いついた瞬間とか、シーンを思いついた瞬間とか。この描写を見開きで見せたら面白いんじゃないかって見えたときですね。
逹瑯:最初から漫画家になりたかったんですか?
真鍋:僕は小学生の頃に『ドラえもん』を読んで、そこからずっと漫画家になりたくて。
真鍋:1話って読んだことあります?
逹瑯:どんな内容なんですか?
真鍋:いきなり机の中から、未来からやってきたドラえもんが現われるっていうとこにまず衝撃を受け。そこから“オマエは将来こんだけ不幸になるんだぞ”っていう未来図をのび太くんに見せるんです。それは、大好きなしずかちゃんとは結婚できず、ジャイアンの妹と結婚して、すごく子だくさんで貧しい生活を送るという、不幸が連続な未来図だったんです。
逹瑯:へぇ〜そうなんだ! でもでも、いくらジャイ子(ジャイアンの妹)と結婚しても、そんだけたくさん子供がいるってことは…。
逹瑯:そうそう(笑)、その数以上に愛し合っただろうし(笑)、子供がたくさんいるってことは幸せなことだろうから、不幸の連続でもないような気がするけどね(笑)。
真鍋:たぶんそこは、生活苦っていう意味で子だくさんっていう設定にしてあったんでしょうね。子供ってお金かかりますからね。
逹瑯:あぁ、なるほどね。
真鍋:で、自分の子孫がドラえもんを未来から派遣してくるんですよ。その設定ってすごく面白くないですか? 自分の子孫が先祖の中身を変えることで未来を変えようとしてるっていうとこがすごく面白くて惹かれたんですよね。
逹瑯:ってことは、ジャイアンの妹と結婚して子供をたくさん産んで、その中の1人がそうしたってことですよね? ってことは、のび太がジャイアンの妹と結婚したことは無駄じゃなかったってことですよね。その子が産まれていなかったら、派遣されてくることもなかったんだろうから(笑)。
真鍋:たしかに(笑)。
逹瑯:そんなとこから始まったんですね。なるほどなぁ〜。
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