<1000say presents 9UE! 9UE! 9UE!>、その未来は明るい

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大阪にて行なわれたライヴ・フェス<MINAMI WHEEL>でのライヴも大盛況に終えた1000say。自主企画イベントとなる<1000say presents 9UE! 9UE! 9UE!>を、11月21日に下北沢CLUB QUEで開催した。The_AIU、kuh、1000sayによるライヴ・アクト、1000say「HOLY RAIN」のビデオクリップなどを手がけるスギモトトモユキによるDJ+VJが加わった、鉄壁の布陣によるこのイベントだ。

◆<1000say presents 9UE! 9UE! 9UE!>画像

トップバッターは、元ジェッジジョンソンのギタリスト池橋壮一を中心に、2010年10月に結成されたThe_AIU。記念すべき初ライヴということもあって、序盤はバンドもオーディエンスも様子を探るような感じで進んでいった。しかし、PCトラブルによる思わぬ演奏中断によって引き起こされた生音のみでの演奏や、メンバーのむちゃぶりによるヴォーカル・アユ・ラトゥナのMC(しかも日本語でのMC!)によって、一気に会場全体の空気が和らいだ。

ライヴに先立って無料配信されていた楽曲「Loser」を含め、エレクトロ+オルタナティヴなギターサウンドというフォーマットに、存在感たっぷりの歌がしっかりと絡みつき、The_AIUというバンドのカラーは初ライヴにして、明確に浮かび上がっていた。クールなたたずまいで歌う姿と、はにかみながらキュートにMCをするアユは、この先より輝きを増していくことだろう。ライヴ終了後、あちらこちらの女の子オーディエンスから“可愛かった”との声が上がっていた。

セカンドバッターのkuhは、ダンサブルかつタイトに奏でられるエレクトロ要素たっぷりのギターサウンドで、フロアをダンスフロアに変貌させた。1000sayとの馴れ初めを語り、ライヴで演奏されることがほとんどないという、ディズニー・カヴァー・アルバム『Disney Rocks!!』に収録されていた「Under The Sea」を楽器のパート・チェンジを行ない披露。そして、会場を爆笑の渦に巻き込んだ誕生日にまつわるMCのあとに放たれた、ライヴ初披露となる新曲。と、レア曲が次々と放たれた今回のライヴ。足を運んだファンにはヨダレもの、見逃したファンは後悔必至のライヴ。初めてライヴを観たオーディエンスも、その完成度の高い楽曲と演奏にノックアウトされたはず。

そして、満を持して1000sayの登場。事前に“新曲をまとめて披露する”との宣言通り、ツイン・ヴォーカルが炸裂する新曲「HANE(仮)」でライヴはスタート。アッパーな楽曲とは反比例するような緊張感漂うステージング。1000sayにしては慎重すぎるスタートに見えた。しかし、3曲目に早くも投下されたアンセム「LOSTMAN」で、演奏もステージングもアグレッシヴに変化。フロアの盛り上がりも一気に上昇した。

MC後、披露されたのが、kuhと共に参加した『Disney Rocks!!』に収録された「Whole New World」。続けて披露された、ヘヴィ・メタルなギター・リフと暴走列車のようなスピード感を身につけた新曲「LOVE ABC」。APIとNONによる重心低めのリズムに、MICHELLEによる尖りまくったシンセ音。記号化されたようなMANのヴォーカルに対して、キラキラ感たっぷりのAPIの歌うキャッチーなメロディ。ライヴで見せる攻撃型の1000sayが集約されたようなこの新曲に、オーディエンスは熱狂した。

グラウンド・ビートなリズムとピアノの旋律が印象的な新曲「WONDER」では、MICHELLEによるスペーシーなサウンドにのせて、APIはハンドマイクでしっとりと歌い、MANはシンセサイザーやミキサーを駆使しながら、ヒップホップなヴォーカルも披露。1000sayの新たな一面を垣間見れる瞬間だった。その後、ライヴでおなじみの「CANARY -KAZE NO TANI Remix-」、APIのキュートな歌声を堪能できる「FREEZE」へとなだれ込み、オーディエンスも笑顔でハンドクラップなどのリアクションをみせ、会場の一体感は増すばかり。ギターもベースも弾かないという変則的な編成で披露されたこの3曲では、エレクトロ・バンドとしての側面を見せ、弦楽器を使用しなくとも1000sayのカラーはまったくブレないことを証明した。

ラストにキラー・チューン「HOLY RAIN」を奏でて、両手を挙げて歌いあげるオーディエンスの盛り上がりは頂点に達し、本編が終了。あっという間のステージに、即座にアンコールを求める声があがり、メンバーがステージに再登場。すると、NONの掛け声とともに「HAL-002」が奏でられ、続けて、「WARM HEART」を披露。シューゲイザー的な轟音サウンドを響かせ、ギター・バンドとしての本領を発揮。そして、ノイズとディレイ音が鳴り響くなか、メンバーはステージから去っていった。

MICHELLEがステージ奥に位置するなどステージでの立ち位置の変化、MANがシンセサイザーを導入など、目に見える変化も遂げた1000say。また披露された新曲3曲により、ファンの想像をはるかに超える1000sayの新しい世界の完成が、しっかりと約束されたと感じずにはいられなかった。

エレクトロ+ギター・ロックというスタイルの3バンドの共演によるこのイベント。同じ趣向性の音を鳴らしつつも、個々のオリジナリティが、その共演バンドによってより際立つものになっていた。そして、エレクトロなギター・ロックにはまだまだたくさんの可能性があり、その未来は明るい。それをバンドの肉体的な生演奏によって体感させてくれるイベントであった。

text:千田 正樹
photo:木目田 隆行

<1000say presents[9UE!9UE!9UE!]>
2010年11月21(日)
@下北沢CLUB QUE
出演:1000say、kuh、The_AIU、<DJ+VJ>スギモトトモユキ
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