ロニー・ウッド、とてつもないオーラに極上のロックンロール
スラッシュやレッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリー、ZZトップのビリー・ギボンズ、フェイセズのイアン・マクレガンなど豪華なゲスト(お友達)を迎え、9年ぶり7枚目となるソロ・アルバム『I Feel Like Playing』をリリースしたロニー・ウッドが、10月19日、ロンドンの小劇場Ambassadors Theatreでライヴを行なった。公式収容人数450人(!)という会場の大きさだけでなく、とくにツアーが予定されていないいま、ワン・オフとなる超レアな公演となった。
◆ロニー・ウッド画像
Ambassadors Theatreは通常、パーカッションをフィーチャーしたダンス・パフォーマンス『Stomp』を上演中。この夜1晩だけロニーに明け渡されたため、ステージには雑多なNYのストリートをイメージした『Stomp』のセットがそのままに。でも、これがロニーとその音楽がかもすラフでバッド・ボーイ的な雰囲気にピッタリだった。
ロニーとバンドは、なぜか『Sex And The City』シリーズの“ミスター・ビッグ”ことクリス・ノースの紹介でステージに登場。『I Feel Like Playing』収録の「Thing About You」でショウをスタートした。
63歳になったロニーだが、スリムなブラック・ジーンズにタンクトップ、シルバーのアクセサリーをじゃらじゃらと一寸のスキもない“ロックンローラー”の風貌に、とてつもないオーラを放っていた。プレイせずとも、すでに極上のロックンロールが聴こえてくるようだ。
ロニー自身、レジェンドの1人なのだから当然といえば当然だが、アクの強いメンバーだらけのローリング・ストーンズでは影が薄くなりがち。だが、主役の今夜は、デンジャラスでセクシーで、クールで渋い彼の魅力が全開となった。途中、女性ファンから“セクシー・オールド・マン!”とのかけ声が上がったが、まさにその通りだ。
サウンド的にもストーンズやフェイセズとはひと味違う、よりブルージーでグルービー、ルーツに迫るロックをプレイ。さらにビッグバンドにいるときには見られない、自由で泥臭いパフォーマンスを披露し、ロニー・マニアをうならせた。なによりロニー自身、“I feel like playing(プレイしたい気分)”だからプレイしてるんだとばかりにリラックスし、ショウをエンジョイしているようだった。
この夜のバック・バンドの顔ぶれは、ジョン・レノンやピンク・フロイド、エリック・クラプトンらとの助っ人として知られるベテラン・セッション・ドラマー、アンディ・ニューマーク、ギターにSaint Judeのアダム・グリーン、キーボードにアンディ・ウォレス、サイド・ヴォーカルに20年以上に渡りストーンズのレコーディングやツアーに参加しているバーナード・フォーラー。それにロニーの息子であるジェシーがベースにジョイン。ミカ・パリスとベヴァリー・ナイトがパワフルな歌声でバック・ヴォーカルをつとめたほか、ステレオフォニックスのフロントマンであるケリー・ジョーンズや『Stomp』のキャストがゲスト出演した。また、『I Feel Like Playing』の収録トラックだけでなく、フェイセズの「Debris」「Around The Plynth」「Stay With Me」やブルースのスタンダード「Night Time Is The Right Time」をプレイ。ストーンズの「Jumping Jack Flash」で締め、セクシー・オールド・マンの本領を発揮した。
この夜のセットリストは以下の通り。
・Thing About You
・100%
・Why You Wanna Go And Do A Thing Like That
・Lucky Man
・I Gotta See
・Spoonful
・Sweetness My Weakness
・Forever
・Tell Me Something
・Fancy Pants
・Debris
・Night Time Is The Right Time
・Around the Plynth
・Stay With Me
・Jumping Jack Flash
ロニーはこの夜、アイドル並に2公演を行なったが、オーディエンスの中には両公演とも鑑賞する崇拝者やはるばる遠くから訪れたらしい人々も少なくなく、コアで熱心なロニー・マニアがいることを証明。また、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーのダフ・マッケイガンやセックス・ピストルズのグレン・マトロックの姿も見られた。
Ako Suzuki, London
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