いきものがかり、初のベスト・アルバム『いきものばかり』特集
いきものがかり
初ベスト・アルバム『いきものばかり』2010.11.3 on sale
INTERVIEW
「自分たちで何が成長したかはわからないです。ただ、歌詞を書く時に何を主眼とするのかという変化はやっぱりある」
山下:ライヴ映えする疾走感のある、いきものがかり王道の前向きな曲です。でも意外とサビの歌が難しいんですけどね。僕自身も譜割りがよくわかってなくて、歌いながら決めていった感じです。
吉岡:ライヴで盛り上がる曲にしようということでテンポを上げて、そこからさらに上げたので、仮歌の時点ではあんまり口が回らなくて、大丈夫かなとか思ったりしたんですけど、すごく楽しく歌えました。最後はさらに転調していくので、すごいカロリー使って歌ってます(笑)。アルバムの中で一番最後に録音した曲ですね。
吉岡:やっぱり初々しいなとは思いますけど、「SAKURA」の頃から、目指していく方向はたぶん一緒だったと思うんですよ。もともと路上ライヴをやっていて、立ち止まってくれる人がどういう曲を聴きたいんだろう?とか、こういう曲だったら共感してくれるんじゃないか?とか、そういう曲を書いていこうと思っていたので。だから歌も、自分の気持ちをかみしめるというよりは、聴いてる人に気持ちを重ねてもらえるのはどういう歌なんだろう?って、デビュー前から考えていたので。向かっていく先は、昔も今も変わってないと思います。
水野:自分たちで何が成長したかはわからないです。ただ、特に歌詞を書く時に何を主眼とするのかという変化はやっぱりあって。僕らは、聴いてくれる人たちが主人公になれる曲を最初は書こうと思っていて、自分の個人的感情の吐露はうまく排除して、とにかく広がるようにという意識のもとに曲を作っていた時期があって。ただ、とはいえ、どうしても自分が作るものなので、だんだんと自分というものが出てきて。たとえば「なくもんか」とか「帰りたくなったよ」は、個人的感情がないといえば嘘になるし、自分の思い描いている誰かが必ずそこには投影されているし。歌詞を書く時に誰を主人公にするのか、誰の気持ちを歌うのかというところでは、揺れ動いてきたし、今も揺れ動いてます。でもどっちにしても、どうやったら曲が多くの人に広がっていってくれるのかな?というところでの迷いなので、そこは変わってないです。「気まぐれロマンティック」の時に求められるのは個人的感情ではないと思うし、それは女子高生の子たちの恋心だったり、歌詞以外の曲のノリの良さだったり、そういうことはいろいろ考えながらやってきたんだなと思いますね。こうしてベストを聴いてみると。
山下:あと、曲を作る時には、面白いものを作りたいという気持ちが僕にもリーダーにもあるんで、その先にあったのがたとえば「じょいふる」とか。同じものばかり書いていたらつまらないから、遊び心は大事にしたいですね。いきものがかりには歌謡曲っぽい曲調がありますけど、あれもある意味遊び心で、自分たちは60年代や70年代の歌謡曲が好きだけど、たぶん僕らの曲を聴いてくれてる中学生とかは知らないだろうし、彼らからしたら新鮮に聴こえるかもしれない。で、上の世代の年配層の方からすると懐かしく聴こえるとか、それはあえてやってるところでもあります。
山下:これしか書けないというのもあるし、あんまり最近歌謡曲ってないから書こうみたいな感じもあるし。あと路上をやっててわかったのは、結局みんな好きなんですよね、歌謡曲が。日本人の琴線に触れるというか、歌謡曲らしいコード感やメロディが何かあって、みんな好きなんだなって気づいたから、うちらもそういう曲を書くのが楽しいし、そこは一つの核としてありますね。
水野:歌謡曲のあり方にはすごく憧れていて、たとえば山口百恵さんとか、若い子も見てたし、お父さんお母さんも、おじいちゃんおばあちゃんも、全員がテレビの前で見ていたみたいな、ああいうあり方にはすごく憧れます。だから僕らもできればそうなりたいし、ライヴにもいろんな世代の人が来てくれるようになってほしいし、曲もそうなってくれたらいいなと思うんですよね。
吉岡:ライヴでも、子供さんとお父さんお母さんが一緒に来てくれて、手をつないで歌ってたりするんですよ。そういうのはすごくうれしくて、お祭りの会場みたいだなって思います。この間も、70代の人が来てくれたりして、本当にありがたいなって思います。リーダーも言ったように、路上ライヴを思い出すというか、忘れてないというか、あの時の感覚があるから、自分たちの曲で立ち止まってもらえるようなグループになりたいという気持ちがずっとありますね。これからも、家族三世代でライヴに来れるようなグループになっていけたらいいなって思います。
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