ムック、母校凱旋ライヴでシニカルなエール

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10月9日(土)、ムックがYUKKE(B)の母校である茨城県立小川高校の文化祭に出演した。同校は廃校になることが決まっており、3学年揃っての文化祭は2010年が最後ということで、OBであるYUKKEの元へ出演のオファーがあり、ムック側も快諾。今回のスペシャルなライヴが実現することになった。そのライヴ・レポートが到着したのでお届けしよう。

◆<毘沙門祭×ムック-さよなら小川高校、そしてありがとう->画像

2010年10月9日。彼らはこの日、地元である茨城に帰って来ていた。ベースのYUKKEの出身校である茨城県立小川高校の文化祭『毘沙門祭』でライヴをやるためである。母校でのライヴとは、誰もが夢見るモノ。YUKKEにとっても、願ってもないことであっただろう。が、しかし、この日のライヴには<毘沙門祭×ムック-さよなら小川高校、そしてありがとう->というタイトルが付けられていたのだ。なんと、残念なことに、小川高校は、2012年をもって閉校することになったという。3学年揃っての最後の文化祭となる今回、恩師からYUKKEに、是非、文化祭でライヴをやってほしいという連絡が入ったことから、このライヴが実現した。

特別な想いを抱いてのライヴとなったこの日のライヴは、この場所で聴けたことに深い意味を感じた、特別なライヴとなった。

14時半の開演時間を少しまわってライヴはスタートした。歓声がすごい。1300人という消防法ギリギリまで人を入れてのライヴ。体育館にはパイプ椅子が並べられ、9ブロックほどに仕切られ、客席が作られていた。在校生は中央ブロックのほんの一部に納まってしまうほどの人数だ。そんな1ブロックを、ムッカー(ムックファン)達が取り囲むように席は作られていた。地方からわざわざこのライヴのために集まったムッカーのために臨時バスまで出たと言うとこからも、ムックがいかに愛されているバンドかが伝わってくる。ムッカー達の声援は、いつも以上に熱かった気がする。初めてライヴを見て戸惑う生徒に、ムックの魅力を伝えるかのように、いつも以上な盛り上がりをみせていたのだ。

始まりは「フォーリングダウン」。デジタル要素をふんだんに取り入れた最新シングルである。そこから続けられたのは「アゲハ」。ここ最近のムックをガッツリと見せていくのか???と思いきや。“そこ”は裏切らなかった。地元ならでは、この日ならではの、“そこ”を聴くために、はるばる遠方から足を伸ばして来たムッカーは、絶叫にも近い歓声を上げた。毎回、いい裏切りで驚かしてくれる彼ら故、たまに付いて行くのが必死だが、ここぞという時に、“さすが。解っていらっしゃる!”というツンとデレのデレを絶妙に見せてくるのである。そんなあたりが、深く愛される理由だろう。これを書いている私自身、彼らのそういう人間っぽさに、たまらなく惹かれているのだ。

◆「フォーリングダウン」PV
◆インタヴュー映像

途中、「ファズ」を挟むも、久しぶりに聴いた「謡声」や「最終列車」を織り交ぜつつ、「昔子供だった人達へ」「パノラマ」「家路」「前へ」と、彼ら自身が10代20代と、胸に沸々と滾らせて来た想いを届けた。その唄達には、30代になった彼らが唄うからこその重みが宿っていたのだった。

アンコールは「つばさ」。改めてこのメロに、そして歌詞に泣いた。この曲は、今から5年前にリリースされたアルバム『鵬翼』のラストを飾っている曲だ。“ムックの音が変わった”そう言われた時期でもあった。たくさんの葛藤を胸に、彼らは自分達が信じたムックを貫き通した結果、今を掴んだ。ここに集まったムッカーはもちろんのこと、近い未来、学校という規則に縛られた狭い世界から巣立っていく在校生達に贈られた最高のプレゼントだったと思う。ステージで唄う4人と、そこに声を重ねるムッカー達の姿を、身動きせずに見つめていた在校生達の姿がとても印象的だった。きっと、彼らはこの日、何かを胸に感じ取ったに違いない。これから広がる彼らの未来に、4人は心からこの曲を届けたことだろう。

この日のMCは卒業生であるYUKKEを中心に進められたのだが、やはり母校が無くなってしまう寂しさもあってか、ついついしんみりとした内容になりがちであった。しかし、そこに逹瑯がチャチャを入れ、「昔は学校の先生にムカついたこともあったけど、今、自分が31歳になってみて、まだまだ子供だと思うから、みんなも、“先生もまだまだ子供だからしょうがないな”って、自分たちが大人になって見守ってあげて下さい」と、逹瑯らしいシニカルなメッセージを贈った。アンコールでは、小川高校の制服で登場し、リーダーのミヤに至っては、地元から昔の制服をわざわざ探して持って来ていた。その驚くべき変形学ランに全員が大爆笑。いやはや。人間、何ごとも経験。経験の多い人間こそが、人の痛みや悲しみ苦しみを理解し、人に幸せを与えられる人間になれるのだと思う。

ムックは今、多くの人に、幸せを与えられるバンドになった。そう感じた。

10月30日、31日の日比谷野外音楽堂からは、アルバム『カルマ』を引っさげての22カ所23公演で行なわれる全国ツアー<MUCC Tour 2010“Chemical Parade”>を控えているムック。「ファズ」(2007年10月リリース)から始まった彼らの新たなる風を取り入れた進化と、『カルマ』でも見せてくれた“ディスコ・サウンドとデジタル・サウンドとヘヴィロックの融合”という、“現在(いま)のムックの音”“をライヴでどう見せてくれるのか、実に楽しみである。

文●武市尚子
写真●尾車寿一

<毘沙門祭×ムック―さよなら小川高校、そしてありがとう―>
01. フォーリングダウン
02. アゲハ
03. 謡声
04. 昔子供だった人達へ
05. ファズ
06. 最終列車
07. パノラマ
08. 家路
09. 前へ
10. 名も無き夢
11. 流星
12. フライト
<アンコール>
13. つばさ

New Single
「フォーリングダウン」
2010年9月22日発売

New Album
『カルマ』
2010年10月6日発売

シングル/アルバムのリリースに合わせて握手会開催
<ムック SHAKE HAND PARTY ―シングル・アルバムW購入者特典 握手会―>
10月6日 東京 TOKYO DOME CITY ラクーアガーデンステージ(ラクーア1F)
10月10日 大阪 阪急西宮ガーデンズ
10月11日 名古屋 アスナル金山
10月17日 福岡 キャナルシティ博多
※シングル「フォーリングダウン」とアルバム『カルマ』に「握手会参加券」封入

<MUCC Tour 2010“Chemical Parade”>
10月30日(土)日比谷野外大音楽堂
10月31日(日)日比谷野外大音楽堂
11月03日(水)水戸 LIGHT HOUSE
11月06日(土)札幌 PENNY LANE24
11月09日(火)青森 Quarter
11月11日(木)山形 MUSIC昭和Session
11月12日(金)仙台 darwin
11月14日(日)郡山 HIPSHOT JAPAN
11月17日(水)名古屋 Electric Lady Land
11月19日(金)大阪 umeda AKASO
11月23日(火)長野 CLUB JUNK BOX
11月25日(木)神戸 CHICKEN GEORGE
11月27日(土)高知 CARAVAN SARY
11月29日(月)広島 CLUB QUATTRO
12月01日(水)鹿児島 CAPARVO HALL
12月03日(金)熊本 DRUM Be-9
12月05日(日)福岡 DRUM LOGOS
12月07日(火)京都 FANJ
12月09日(木)岐阜 club-G
12月11日(土)新潟 LOTS
12月14日(火)千葉 柏 Drunkard's STADIUM
12月16日(木)東京 吉祥寺 CLUB SEATA
12月21日(火)沖縄 桜坂セントラル
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チケット料金 ¥5,250 (税込・ドリンク代別)
※日比谷野外大音楽堂は¥5,800(税込)
◆チケット詳細&購入ページ

◆ムックオフィシャルサイト
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