声を亡くしたテノール歌手ベー・チェチョルが“奇跡”の熱唱

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ここ数年、テレビ番組などでも紹介され、アマゾンのクラシック・チャート1位にもなった韓国人テノール歌手ベー・チェチョルが、この秋にニューアルバムの発表とそれに伴うジャパン・ツアーが行なわれることが決まった。

ベー・チェチョルは、世界を舞台に活躍中の2005年、甲状腺ガンが発覚し手術の結果、声帯と横隔膜の両神経を切断され、右肺の機能も失うに至った。医師からは歌を諦めるよう勧められたが、彼を日本デビューさせた音楽プロデューサーが奔走、その手術費の一部を彼の歌声を愛する日本のオペラファンなどがサポートした。そしてリハビリの結果、2008年ついに医学界の奇跡と言われる復帰となった。その時点ではまだオペラを歌うほどの回復ではないため、賛美歌や聖歌を歌ったCD、舞台ではあったものの、聴く人の心を感動で染め上げる「歌声」を披露した。

執刀医は、この復帰を「医学的にみて奇跡としかいいようがない」とコメント。その後も、オペラ界への復帰を目指すベー氏の舞台を何度か観ているうちに「ベーさんの演奏会が終わった後、その歌に触れた私たちの心が何かに癒されたように軽やかになっている。私はそのことこそが、ベーさんの歌声の奇跡だと思います」と言うコメントに変化した。「奇跡を越えた“奇跡”!」それは「感動」という言葉に置き換えられたのだ。

そして遂に、この夏にレコーディングしたニューアルバムではオペラの楽曲を取り上げることになった。それが新作『この清らかな住まいよ』だ。これは有名なオペラ作品『ファウスト』の中で披露される美しい名曲のタイトル。10月のジャパン・ツアーで初披露されることだろう。

当のベー氏は「私と日本をつないでくれた神様の心を思うとき、私にはしなければならないことがあると思います。日韓にとって節目となる今年、私の歌声が両国の新しい友情の100年を築く礎となることと祈っています」とコメント。

2010年は日韓併合から100年の年。次の100年を目指し「奇跡の歌声」のストーリーはまだまだ続く。

『この清らかな住まいよ』
VFCR-0005~6(2枚組み)¥3,675(tax in)
2010.10.8 RELEASE
発売:ヴォイス・ファクトリイ 販売:星光堂

<ベー・チェチョル テノール リサイタル>
10月8日(金)大阪 いずみホール
10月11日(月・祝)福岡 西南学院大学チャペル
10月14日(木)仙台 青年文化センター コンサートホール
10月16日(土)名古屋 三井住友海上しらかわホール
10月20日(水)東京 Hakuju Hall(白寿ホール)

◆ヴォイス・ファクトリイ
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