BIGMAMAが見せた、ロックバンドの秀逸なクラシカルアプローチ

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バイオリンを擁するロックバンドといえば、何を思い浮かべるだろうか。デイヴ・マシューズ・バンド? イエローカード? やはり往年のカンサスか、P.F.Mか いまやX JAPANも、当てはまるかもしれない。

◆BIGMAMA画像

フィドルをフィーチャーさせたカントリー系/ジプシー系バンドはここでは対象外として、ハードなロックサウンドにバイオリンを融合させた名曲・佳曲は多く存在する。ギターと敵対するバイオリンとのサウンドバトルや、ロックテイストに身を焦がすバイオリンの調べに、斬新な刺激がロックの歴史に華を添えてきた。そしてそこには、往々にしてクラシカルニュアンスを力ずくで封印してきた数奇なロック・バイオリンの歴史が流れていたりもする。

そんな中で、BIGMAMAが作り出したアルバムが実にいい。むしろ斬新、愉快なほどに心地よい作品を作り上げた。それが、ロック×クラシックをテーマに制作された自称出世作『Roclassick(ロックラシック)』。何の捻りもなく、敢えてそのまま付けられたアルバムタイトルの通り、収録されている全ての楽曲は、クラシックの名曲・名フレーズを元に作品を制作したものだ。

3rdアルバム『and yet it moves~正しい地球の廻し方』の発表から1年、BIGMAMAの最新作『Roclassick』は、7曲入りのコンセプトアルバムとなった。収録されている全ての楽曲には、絶対どこかで聴いた事がある超有名なクラシックの名曲・名フレーズが元となっている。

今回のコンセプトアルバムに、そもそもバイオリンの存在が大きく関係していることは間違いないだろう。しかし、彼らはこれまでのように、ロック・サウンドに融合を図るアプローチではなく、バイオリンが本来最も得意とするメロディーを奏でるところに、バンドの方が大きく歩み寄っていったところに、その革新性がある。「8ビートに乗っけてカノンを弾いてみなよ、きっと気持ちいいよ」そんな屈託のない発想だったかもしれない。ただ、チープなロックアレンジでクラシカルフレーズを乗せて楽しんでいるだけの作品ではないところが、BIGMAMAの良質なパンク精神だ。

基本はバンドサウンド、もちろん楽曲の中心はボーカルであり、そのメロディーだ。そこに不思議なほどしっくりと著名なフレーズが楽曲を補佐するように登場する。本当の意味でのロックとクラシックメロディの融合であり、普遍のメロディという人類が生んだ共有財産をリスペクトとともに取り入れた、素晴らしき作品の誕生となった。

なお、彼らは楽曲制作のみならず、収録されている全ての楽曲において、ミュージックビデオと絵画(B1サイズ)をそれぞれ制作、立体的なコンセプトを明確に形にして表現している。

是非一度耳にしていただきたい作品だ。

『Roclassick』
2010年10月6日(水)発売
●CDのみ
RX-038 2,100円
●CD(ボーナストラック入り8曲収録)+DVD
RX-039 2,940円
【CD】
1.走れエロス (ヴィヴァルディ『春』)
2.虹を食べたアイリス (ベートーヴェン『運命』)
3.テレーゼのため息 (ベートーヴェン『エリーゼのために』)
4.英雄を抱いてマリアは眠る (バッハ『フーガト短調』他)
5.ツルギが無い (ハチャトゥリアン『剣の舞』)
6.荒狂曲“シンセカイ" (ドヴォルザーク『交響曲第9番"新世界より"』)
7.計算高いシンデレラ (パッヘルベル『カノン』)
8.チャラララーンの歌 *ボーナストラック(RX-039のみ収録)
【DVD】
1.走れエロス (ヴィヴァルディ『春』)
2.虹を食べたアイリス (ベートーヴェン『運命』)
3.テレーゼのため息 (ベートーヴェン『エリーゼのために』)
4.英雄を抱いてマリアは眠る (バッハ『フーガト短調』他)
5.ツルギが無い (ハチャトゥリアン『剣の舞』)
6.荒狂曲“シンセカイ" (ドヴォルザーク『交響曲第9番"新世界より"』)
7.計算高いシンデレラ (パッヘルベル『カノン』)
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