吉岡聖恵(vo)単独インタヴューで大いに語る

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いきものがかり ドラマ『ホタルノヒカリ2』主題歌 ヴォーカル吉岡聖恵の作詞/作曲による初のシングル「キミがいる」2010.8.4リリース

吉岡聖恵 単独インタヴュー なりたい自分を目指しているけど、ちょっとつまづくこともある。そんな自分に対して自分の口で“いいじゃん”って言ってあげる、ある種の自分肯定ソング。

INTERVIEW

曲を持っていったとき、男子2人とも“いい曲だね”みたいなことを言ってくれて。歌を褒められたときとは違った種類の嬉しさがありました。

――なるほど。楽曲自体は、緩やかな幕開けから一気に軽快に展開していく。まずそこに、ちょっと意外性を感じてしまいました。

吉岡:狙い通りですね(笑)。といってもすごく狙いすましたわけじゃなく、あくまで素直に作った結果なんです。同じメロディを違ったテンポで聴かせる展開になっているので、その両方に合うメロディというのをすごく考えて。ただ、自分の曲のなかではここまでアップというのはめずらしいし、アルバムのなかにはいくつかあるにしても、シングルでここまで軽快なリズムとメロディの曲というのは初めてと言ってもいいんじゃないかな。同時に、一杯一杯じゃない感じというか、ちょっと余裕があって、張り詰めない楽しさがある感じというのを心掛けたつもりなんですけど。

――これまでのシングルの曲しか知らないような人たちは、ちょっと驚くかも。

吉岡:そうかも。しかもここのところバラードが続いてたし。でも、とにかくシングル曲を自分が作るっていうこと自体が初めてだったし、それ自体、いきものがかりにとって新しいことでもあるんじゃないか、と。この曲を誰が作ったか全然知らないままに聴いた人が、“あ、いい曲だね。いきものがかりらしい曲だね”と言ってくれたりしたら私としては嬉しいし、正直、自分の曲が男子たち(水野、山下)の曲とどう違うのか客観的にはよくわからないですけど、絶対どこか違うんだろうなとは思うんで。

――吉岡さん自身、“私が作るからには、2人が書かないようなものにしなくちゃ”という意識で作ったわけじゃないんですよね?

吉岡:そういう意識はなかったです。むしろ当初は“いきものがかりらしい曲を作らなきゃ”と思ってたんですよね。でも、当然ながら2人と同じものは作れないし、真似してもしょうがないし。もちろん私自身、2人からの影響は絶対受けてると思うんです。今まで彼らの曲をめちゃくちゃたくさん歌ってきたわけだし、2人の曲とずっと向き合ってきた私が作るんだったら、それがいきものがかりらしい曲にならないはずはないし。そう思えたとき、なんかすごく素直に作れるようになって。結果、曲を持っていったとき、2人とも“いい曲だね”みたいなことを言ってくれて。なんか、歌を褒められたときとは違った種類の嬉しさがありましたね。

――今回のハードルを超えて、もっと作りたいという欲求も膨らんできたのでは?

吉岡:どうだろう? でも、“もっと作れるかも”みたいな気持ちにはなりましたね。できそうな気になってる、というか(笑)。ただ、まだまだ自分自身にとっての“曲作りの基準”みたいなものができてないと思うんです。逆に、男子が作ってきてくれた曲を歌うことに慣れてしまってるから、そっちのほうが歌いやすい部分もあるんです。彼らのほうが私のことをよく知ってるというか、自分で作った曲のときのほうが“あれ? どこで息継ぎしよう?”みたいなことがあったり(笑)。自分の音域とかも計算して作れてないし。でも、むしろ自分自身のことを研究しすぎずに作ったほうがいいのかな、とも思うんです。

――ちなみに、男子チームからの影響として自覚している部分というと?

吉岡:やっぱりそれは、聴いてくれてる人との関わり方というか。“共感してもらえるんじゃないかな?”と想像しながら書くこと、ですね。そこは多分、いきものがかりの根本的な核になってる部分でもあると思うんですけど。もちろん“自分はこう思ってるから、こう書く”というのもあっていいんですけど、“自分はこう思ってるけど、みんなはどう思うかな?”という部分がどこかにないと。そこで、“あ、わかる!”と言ってもらえるようでありたいな、と思うんです。しかも自分たちの場合、そういうことをすごく自然にやってこれてるんじゃないかと思えるんで、そこは大事にしていきたいな、と。

――さて、このシングルの発売後もツアーはずっと続いていくわけですが、9月には日本武道館公演も控えているし、11月にはアリーナ・ツアーも決まりました。とくに横浜アリーナのステージに立つことに関しては、感慨深いものがあるんじゃないですか?

吉岡:やっぱり、神奈川で始まって、ずっと神奈川で活動してきた3人としては嬉しいですよね。実はインディーズ時代、横浜アリーナと道路を挟んだ反対側のライヴハウスでよくやってたんですね。で、当時そこにいたスタッフさんや仲間たちと“いつか……”とか言いながら眺めてた場所なんです、あのアリーナは。そうやって横目でチラチラ見てた場所でやれるのは素直に嬉しいし、しかもそこに、ちっちゃい子たちからお爺ちゃん、お婆ちゃんまで集まってくれたりしたら、すごいことができるんじゃないかと思うし。ただ、もちろんアリーナならではのスペシャル感とかお祭り感も必要にはなってくるでしょうけど、基本的には今やっているツアーと同様に、そのままの3人を、そのままの状態で観てもらえるようなものにしたいなって話してるんです。凝った味付けはせずに、塩と醤油だけで(笑)。憧れの場所に立つのであっても、これまで1県1県まわってきた自分たちのまま、気負わずにやりたい。そこで、普通に届けたい。それが今の正直な気持ちですね。

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