「“このメス豚めが！”って若杉さんが思うんですか？　この俺でも思わないのに!?」逹瑯
「はい。わりと頻繁に」若杉

――若杉さんご自身はメタルのライヴとかはあんな感じだとか、リサーチしたんですか？

若杉：いや。あんまりリサーチしすぎると先入観が入ってリアルになり過ぎちゃうというか、頭が固くなっちゃうと思ったんで、そういう下調べもなく、なんとなくこんな感じのイメージかなって感じで。

逹瑯：クラウザーさんのメイクも？

若杉：はい。思いつきで。

逹瑯：あのクラウザーII世のメイクって、すごいですよね。あれすると、誰でもクラウザーさんになれちゃう。昔、ウチのローディが辞めちゃう最後の日に、1日あのメイクでいさせたことあったんですよ。俺がメイクしたんですけどね（笑）、我ながらかなりいい出来だったんですよ！

若杉：あはははは。

逹瑯：“このメス豚めが！”っていうのもイメージだったんですか（笑）？

若杉：はい。完全に（笑）。

――普段、“このメス豚めが！”って思うことあります？

逹瑯：あはははは。若杉さんが？

――うん。

逹瑯：あははは。そんなこと思わないでしょ、普通（笑）。だって、この俺だってそこまでは思ったことないよ（笑）。

若杉：ありますよ（ボソッと）。

逹瑯：えーーーーっ!?　あるんですか!?　普段!?　“このメス豚めが！”って？　若杉さんが？　思うんです？　この俺でも思わないのに!?　若杉さんが？　思うんです？

若杉：はい（きっぱり）。わりと頻繁に。

逹瑯：あははは（大爆笑）。すげぇー！　なんかイメージ変わった、一気に（笑）。

――ところで。KISSのジーン・シモンズさんの登場には驚きましたね。

逹瑯：あれはすごかったよね。映画がしまった感じしたよね。

若杉：実は、最初、オジー・オズボーンさんはどうだっていう話があって。

逹瑯：へぇ～！　そうだったんだ（笑）。メタルはもともと好きだったんですか？

若杉：いや、聴く、程度でしたね。

逹瑯：どんな音楽が好きなんですか？

若杉：昔はブルーハーツさんとか好きでしたね。BOOWYとか。中学の頃はバンド・ブームだったんで。クラスの男子はバンドやってましたからね。

逹瑯：その頃から若杉さんは漫画を？

若杉：ひたすら描いてましたね（笑）。

逹瑯：嫌にならないです？

若杉：ならないですね。いままで一度も嫌だって思ったことないんですよ。

逹瑯：すげぇ。辛いと思ったこともないんですか？　理想と現実は違い過ぎるとかで苦しんだりとか。

若杉：いや、ないですね。なかなかプロになれなかったんで、“やっとなれた！”っていうので、嬉しくてたまんなかったし。今もすごく楽しいし。アシスタント時代とか、一生懸命自分でストーリー考えて見てもらってたんですけど、なかなか掲載にならなかったから、“いつかは！”っていう気持ちでずっと描いてましたからね。そのときも辛くはなかったですね。大好きだったんで、漫画描くのが。

逹瑯：へぇ～。

――まさにインディーズ時代的なね。

逹瑯：だよね。

若杉：いやいや、そんなカッコイイもんじゃないんですよ（笑）。

――そういう時代って何年くらいあったんですか？

若杉：東京に来て5年間くらいはずっとそんな生活でしたね。アシスタントをずっとやってましたから。

――ミュージシャンって、憧れの存在がいたりするものですけど、若杉さんも憧れの人がいたんですか？

若杉：そうですね。『ゴリラーマン』が大好きだったんで、『BECK』を描いてるハロルド作石さんに会ってサインを頂いたときは相当嬉しかったです。

――若杉さん、ご出身は大分ですよね？　上京されるきっかけとなったのは？　“もう、とにかく行こう！”って感じだったんですか？

若杉：その時にアシスタントをしてた担当の人に、東京に来て絵の勉強してみない？　っていわれたんですよ。

逹瑯：一回はチャレンジしてみたいですよね、東京出て。なんかチャンスがあるんじゃないかって思いますもんね。

若杉：ですよね。でも、僕、上京したの遅くて、25歳の時だったんですよ。

――反対されませんでした？

若杉：されませんでしたね。しょがないかって思ってたみたいで（笑）。

逹瑯：長男ですか？

若杉：そうです。だから未だに、ゆくゆくは帰ってこいっていうオーラは出されますけどね（笑）。

逹瑯：でも、漫画家さんだったら地元にいてもできるんじゃないですか？

若杉：たしかにそうなんですけどね。なんか、直接会って相手を見て話さないと話した気がしないんで、僕はやっぱり東京じゃないとダメかなって。

逹瑯：今、スカイプとかもあるじゃないですか。

若杉：そうですね。スカイプあればいいですね、地元でも（あっさり）。

――え？　随分あっさり（笑）。

若杉：あははは。でも、やっぱり何かと便利ですからね、東京にいた方が。

逹瑯：たしかにね。でも、漫画家さんのすごいところは、本当に同じ登場人物のいろんな表情やいろんな状態を何度も絵にできることだと思うんですよね。絶対に得意不得意とかあると思うんですよ。右利きだったら右向きの顔が得意とか、このキャラは描きやすいけど、このキャラは描きにくいとか。そういうのないんですか？

若杉：ありますよ。僕は女性が描きにくいというか、難しいですね。

逹瑯：解る！　特徴無い感じというか、綺麗な人だったりイケメンだと描きにくいですよね。

若杉：ですね。裸とかも苦手だし、筋肉の動きを表現する絵とか、やっぱり難しいんですよね。

逹瑯：ですよね！　筋肉は難しい。

――そんなとこまで見てるの!?

逹瑯：うん（笑）。『SLAM DUNK』の井上雄彦さんってめちゃめちゃ絵上手くないです？

若杉：はいはい。上手いですよね。尊敬しますよね。あの筋肉の動きとかは本当にすごいと思いますからね。僕はデッサンとかやってきた訳じゃないんで、絵が得意というより、やっぱり漫画なんですよ。

――いや、でも、漫画こそ難しいんだと思います。個性というか特技ですよね。私は芸術大だったので、クロッキーとかデッサンを死ぬ程やらされましたけど、漫画は一切描けないですから。

若杉：あぁ、たしかに、そういうものかもしれないですよね。でも、やっぱり基礎って大事だなぁって思うというか。いつか暇になったらデッサンしてみたいなぁって思ってるんですよね。ゆっくりできる休みがあったらしてみたいなぁって。

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