中 孝介:地上でもっとも優しい歌声が紡ぐ“出会いと絆”の結晶
中 孝介
タイアップ曲を多数収録した 中 孝介最新ヒット・コレクション 『うがみうた~絆、その手に~』特集
地上でもっとも優しい歌声が紡ぐ “出逢いと絆”の結晶
インタビュー 02
――今回のミニ・アルバムのサブタイトルにもなっている「絆、その手に」という曲もまさしく、2008年に「絆」というシングルを出して、その楽曲との出逢いの発展形として生まれた曲のようですよね。
中孝介 : うん、まさに。「絆」という、すごく強い曲を2008年に出して、あれはもう本当にストレートに強い感情を込めた曲で、メロディも強いし、切迫した思いをぶつけた曲だったんですけど。それを受けて今回の「絆、その手に」は、改めて客観的に「絆」を見ているというか。そんなことを(作者の)江崎とし子さんと話しながら作りましたからね
――“君の力で 手繰り寄せて 新しい絆を その手に”っていう、その手繰り寄せるっていうところが肝だなと思いました。
中孝介 : はい。やっぱり自分から出逢いを手繰り寄せていかないと。活動する上で、それはいつも思うようになりました。で、出会って、コミュニケーションをとっていくなかで気持ちが少しずつ解き放たれていく。そのなかで絆というものがどんどん強くなっていくと思うし、人との絆によって支えられてる自分もいる。「絆」という曲ではそういうことを強く歌っていたんですけど、それを優しく眺めるように歌ったのが、「絆、その手に」なんですよね。
――「絆」のほうが男性的で、こっちはもう少し優しさもある。歌うにあたって意識したのは、どんなところですか?
中孝介 : Aメロ、Bメロは語りかけるように歌って、サビで一気にガツンと伝えようと。
――それは始めからスンナリいった?
中孝介 : いや、それがそんなことなくて、歌録りの段階から羽毛田(丈史)さんにピアノを弾いていただいて、そこで何度も歌い直しました。でも羽毛田さんのピアノ自体がすごくエモーショナルなものなので、僕もだんだん感情が入っていって。「大袈裟なくらい気持ちを込めて歌っていいんだよ」って羽毛田さんにいってもらえて、自分でもサビは特に入り込んで歌えたと思いますね。デビューしたての頃だったら、絶対この曲をこんなふうには歌えなかっただろうなって思います。
――昔だったら、どうだったと思う?
中孝介 : もっと淡々と歌っちゃってたかもしれない。(デビュー曲の)「それぞれに」とか聴き返すと、若いなって自分で思いますし(笑) 、声自体が若いんですけど、表現の仕方も若いというか。25歳のときに録った歌ですからね。僕ももう、今年30になるので。そりゃ、5年も経てば変わるよな~、っていう。
――インディーズの頃から数えてもう5年。メジャー・デビューから数えても、もう4年なんだね。早いなぁ。
中孝介 : ね?(笑) まあ、5年間歌わせてもらえたからこそ、変わっていけたことを感じられるんでしょうけど。その間にいろんな出逢いがありましたしね。
――始めの話しに戻って、去年はそんななかで小椋佳さんとの出逢いもあり、「愛燦燦」という名曲をカヴァーしました。
中孝介 : はい。この曲は小椋さんが美空ひばりさんに送った曲として有名で、僕も美空ひばりさんの歌を聴いていたわけですけど。本当に幅広い世代に届いている曲だけど、でも今の若い世代には知らないっていう人もいると思うので、やっぱりこういう素晴らしい曲は歌い継いでいかないといけないという気持ちもあって。自分自身、歌っていて「生きてることって素晴らしいんだな」って感じさせてくれる曲なんですよ。この世に生まれてきて、喜怒哀楽、いろんな感情があるけど、その全部をひっくるめて生きてることは素晴らしいんだっていう。
――中くんがこれから歌い続けていくなかで、歳を重ねるほどに深みが出るであろう曲ですよね。ずっと歌っていってほしい。
中孝介 : ありがとうございます。去年からインストア・ライヴとかでも歌ってたんですけど、「前から中さんが歌っていた曲みたいですね」って、多くの人にいわれて。嬉しかったですね。
――そして「支え合う関係」という曲は、小椋佳さんの書きおろしによる新曲ということで。
中孝介 : はい。お願いしたら快く書いてくださったのがこの曲なんです。恋人に限らず友達にも家族にも当てはまりますけど、この人がいてくれるから生きられるとか、自分はこの人に支えられてるんだなって、そう思える人っているじゃないですか? そういう相手を大事だと思う気持ち、支えられたり支えたりして生きていきたいと思う気持ちを大切にしていたいって、改めてそう思わせてくれる曲ですね。このアルバムのなかでは、「愛しき人へ」という曲も同じように大事な相手に対してそういうふうに思う気持ちを歌ったものなんですけど。
――確かにテーマが通じている。さらにいうなら、「明日の空」もそういう思いに繋がってますよね。すごくこう、曲と曲とか繋がり合ってるミニ・アルバムだなと思いました。
中孝介 : そうですね。
――で、以前の中くんの歌う曲って、「それぞれに」をはじめ、自分の歩く道を自分で見つめて、こう歩いていくんだっていうような曲が多かった気がするけど、ある時期からは誰かと一緒に歩いていくっていう方向性にシフトしていったような感じもします。
中孝介 : ああ、そうですね。うん。たぶん「花」あたりからだと思います。「花」は恋愛感情も家族愛も全部ひっくるめて究極の愛を歌った曲だったんですけど。それに通ずるのが、今回のミニ・アルバムでいうと「空が空」だったりもして。「花」という曲と出逢ったあたりから、自然にですけど、少しずつ意識が変わっていったところはあるかもしれない。
――あと、あたたかい曲、優しい曲が増えてきた気もする。今作は特にそういう曲が多いし。
中孝介 : うん。でも、そういうのもありつつ、真逆に行ったりもしたいですけどね。例えば女性から見た恋愛感とか、失恋の歌とか、そういうのも歌ってみたいし。これからいろんなタイプの曲を歌って、表現者としてもっと成長したいですね。だから、また次の作品に向けて新しい出逢いをしていきたい。さっきもいったけど、僕にとっては、楽曲との出逢い、イコール、人との出逢いですから。
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