KAN、ニューアルバムは遊びゴコロ満載。共作したASKAとの秘話も
2010年、めでたく芸能生活23周年を迎えたKANが、3月10日にアルバム『カンチガイもハナハダしい私の人生』をリリースした。このアルバム、一言で言うと刺激的で面白いものがいっぱい詰まっている。
◆KAN本人へのインタビューほか、『カンチガイもハナハダしい私の人生』特集
強烈な魅力を持った9つの作品たちが、1曲ごとに見せる別の顔。8ビートポップスからビッグバンドジャズ、ウェストコースト風ロック、シャンソンフランセーズ、さらにASKAとの初共作など、このアルバムでは、KANの幅広い音楽性を再確認させられる。
まず、実際に作品を頭から聴いてみることを強くオススメしたい。1曲目でリスナーの多くは間違いなく吹き出す。というのも、いきなり“Perfume”だからだ。
1曲目の「REGIKOSTAR~レジ子スターの刺激~」は、バグルスの大ヒット曲「ラジオ・スターの悲劇」へのオマージュかと思いきや、実際はKAN自身が大ファンのPerfumeを思いっきり意識したテクノポップ。「Perfumeカッコいいな、俺もこういうのやってみたい」という想いから生まれたというこの曲。とはいえ、ベースにあるのはKANのメロディーとKANらしい言葉遊びがふんだんに盛り込まれたKANの楽曲であり、これに、Perfumeの特徴的な音作りとヴォーカル処理、アレンジを施している。あえてたとえるなら、KANの楽曲をPerfumeがカヴァーして、そのカヴァーバージョンを今度はKANがなりきって歌っている、そんな曲。コアとなる部分はKANであり、そこにPerfume的な要素をこれでもかと加えているのだ。だからこそ余計に面白く、聴いていてとても楽しい。そして聴けば聴くほど「才能のある大人が本気で音楽で遊ぶというのはこういうことか!」と、感動すら覚えてしまう。
アルバムリリース前から話題になっていた作品といえば、ASKAとの初共作の作品「予定どおりに偶然に(with ASKA)」だろう。アーティストの先輩として最も尊敬し、台北公演を観るためにわざわざ台北まで出かけていくほど(そしてそれを自分のサイトのコラムで熱く語るほど)のASKAファンでもあるKANが、そのASKAと共作した1曲。「私の人生において特別に重要な経験」「23年の芸能生活で、ついに私は本気を出してしまいました。」とKANが語るように、KANの音楽的才能とASKAを好きな気持ちが炸裂している。
ASKAを意識したKAN節とASKA節、さらにKANの遊びゴコロが垣間見えるメロディーと複雑な楽曲展開。KANの名曲「CLOSE TO ME」を彷彿とさせるストリングスやASKAのソロ曲「HELLO」を口ずさみたくなるアレンジ、さらにザ・ビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」を意識したパートが次々に顔を出す。さらに“with ASKA”とあるとおり、ヴォーカルもKANがメインというわけではなく対等。“美味しいフレーズ”をASKAに譲っている箇所も見られ、「KANさん、自分の作品なのにASKAさんにサービスし過ぎなんじゃないの?」と、余計な心配までしてしまいそうになる。
そんな楽曲だけに、いたるところにASKAらしいフレーズと歌い方が散りばめられており、中でも<科学は正しいと言う迷信の…>という、どこかで聴いたことのある歌詞には、思わず仰け反ってしまうASKAファンも多いことだろう。いずれにしても、これらは、KANがASKAファンであるからこそ実現した作品であることは確か。逆に言うと、KANでなかったら、ここまでの作品は作れなかったといえるだろう。ASKAファンならば、「よくぞやってくれた!」と、KANに最大限の感謝と賛辞を贈りたくなる。
そのほかにも、『カンチガイもハナハダしい私の人生』には聴きどころが詰まっている。ピアノの塩谷哲をはじめ、22人ものアーティスト、ミュージシャンを投入したビッグバンドジャズナンバー「小学3年生」は、あたかも小学3年生のKANがビッグバンドを従えて天真爛漫に、やんちゃに歌っているような錯覚を覚えるし、KANが愛する芸術の都・パリを彷彿とさせる「オー・ルヴォワール・パリ」では、KANが実際に2年5ヵ月暮らしたパリの趣きをやっと表現できたという、愁いを帯びたシャンソンを聴かせる。「ピーナッツ」では、ギルバート・オサリバンのサウンドのようなノスタルジックで優しいKANのメロディーに癒される。ちなみにこの曲では、TRICERATOPSの吉田佳史がドラムを叩いている。
また、このアルバムにはDVDも付属。DVDには、今回のアルバムのレコーディングの様子を収めたドキュメント映像とアルバムのリード曲であり2月にシングルとしてリリースされた「よければ一緒に」のスタジオライヴの模様を収録する。ドキュメント映像では、KANの音楽に真摯に向き合う姿や、レコーディングの最中に挟まれるユニークな一面、さらにASKAに「ASKAさん褒めてください!」と譜面を見せてASKAに褒められるKAN、ふたりでヴォーカルレコーディングする様子などが満載。またサブ音声として収録されているオーディオコメンタリーには、映像の解説や当時の心境、さらに父親の会社の同僚の隣りの家がASKAの家だったというような昔話などをKAN自らが語っており、KANというアーティスト、そしてKANの楽曲制作を知る上で、興味深いものになっている。かなり濃厚な内容の映像となので、そのすべてを把握するためには、オーディオコメンタリーのON / OFFを切り替えながら何度も繰り返し見る必要があるのは言うまでもない。
総じて、『カンチガイもハナハダしい私の人生』という作品からわかること。それは、音楽というフィールドにおいて、KANは偉大なエンターテナーだ、ということ。そしてこれは、揺るぐことのない事実である。
◆KAN オフィシャルサイト
◆KAN レーベルオフィシャルサイト(PV映像など)
◆iTunes Store KAN(※iTunesが開きます)
◆KAN本人へのインタビューほか、『カンチガイもハナハダしい私の人生』特集
強烈な魅力を持った9つの作品たちが、1曲ごとに見せる別の顔。8ビートポップスからビッグバンドジャズ、ウェストコースト風ロック、シャンソンフランセーズ、さらにASKAとの初共作など、このアルバムでは、KANの幅広い音楽性を再確認させられる。
まず、実際に作品を頭から聴いてみることを強くオススメしたい。1曲目でリスナーの多くは間違いなく吹き出す。というのも、いきなり“Perfume”だからだ。
1曲目の「REGIKOSTAR~レジ子スターの刺激~」は、バグルスの大ヒット曲「ラジオ・スターの悲劇」へのオマージュかと思いきや、実際はKAN自身が大ファンのPerfumeを思いっきり意識したテクノポップ。「Perfumeカッコいいな、俺もこういうのやってみたい」という想いから生まれたというこの曲。とはいえ、ベースにあるのはKANのメロディーとKANらしい言葉遊びがふんだんに盛り込まれたKANの楽曲であり、これに、Perfumeの特徴的な音作りとヴォーカル処理、アレンジを施している。あえてたとえるなら、KANの楽曲をPerfumeがカヴァーして、そのカヴァーバージョンを今度はKANがなりきって歌っている、そんな曲。コアとなる部分はKANであり、そこにPerfume的な要素をこれでもかと加えているのだ。だからこそ余計に面白く、聴いていてとても楽しい。そして聴けば聴くほど「才能のある大人が本気で音楽で遊ぶというのはこういうことか!」と、感動すら覚えてしまう。
アルバムリリース前から話題になっていた作品といえば、ASKAとの初共作の作品「予定どおりに偶然に(with ASKA)」だろう。アーティストの先輩として最も尊敬し、台北公演を観るためにわざわざ台北まで出かけていくほど(そしてそれを自分のサイトのコラムで熱く語るほど)のASKAファンでもあるKANが、そのASKAと共作した1曲。「私の人生において特別に重要な経験」「23年の芸能生活で、ついに私は本気を出してしまいました。」とKANが語るように、KANの音楽的才能とASKAを好きな気持ちが炸裂している。
ASKAを意識したKAN節とASKA節、さらにKANの遊びゴコロが垣間見えるメロディーと複雑な楽曲展開。KANの名曲「CLOSE TO ME」を彷彿とさせるストリングスやASKAのソロ曲「HELLO」を口ずさみたくなるアレンジ、さらにザ・ビートルズの「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」を意識したパートが次々に顔を出す。さらに“with ASKA”とあるとおり、ヴォーカルもKANがメインというわけではなく対等。“美味しいフレーズ”をASKAに譲っている箇所も見られ、「KANさん、自分の作品なのにASKAさんにサービスし過ぎなんじゃないの?」と、余計な心配までしてしまいそうになる。
そんな楽曲だけに、いたるところにASKAらしいフレーズと歌い方が散りばめられており、中でも<科学は正しいと言う迷信の…>という、どこかで聴いたことのある歌詞には、思わず仰け反ってしまうASKAファンも多いことだろう。いずれにしても、これらは、KANがASKAファンであるからこそ実現した作品であることは確か。逆に言うと、KANでなかったら、ここまでの作品は作れなかったといえるだろう。ASKAファンならば、「よくぞやってくれた!」と、KANに最大限の感謝と賛辞を贈りたくなる。
そのほかにも、『カンチガイもハナハダしい私の人生』には聴きどころが詰まっている。ピアノの塩谷哲をはじめ、22人ものアーティスト、ミュージシャンを投入したビッグバンドジャズナンバー「小学3年生」は、あたかも小学3年生のKANがビッグバンドを従えて天真爛漫に、やんちゃに歌っているような錯覚を覚えるし、KANが愛する芸術の都・パリを彷彿とさせる「オー・ルヴォワール・パリ」では、KANが実際に2年5ヵ月暮らしたパリの趣きをやっと表現できたという、愁いを帯びたシャンソンを聴かせる。「ピーナッツ」では、ギルバート・オサリバンのサウンドのようなノスタルジックで優しいKANのメロディーに癒される。ちなみにこの曲では、TRICERATOPSの吉田佳史がドラムを叩いている。
また、このアルバムにはDVDも付属。DVDには、今回のアルバムのレコーディングの様子を収めたドキュメント映像とアルバムのリード曲であり2月にシングルとしてリリースされた「よければ一緒に」のスタジオライヴの模様を収録する。ドキュメント映像では、KANの音楽に真摯に向き合う姿や、レコーディングの最中に挟まれるユニークな一面、さらにASKAに「ASKAさん褒めてください!」と譜面を見せてASKAに褒められるKAN、ふたりでヴォーカルレコーディングする様子などが満載。またサブ音声として収録されているオーディオコメンタリーには、映像の解説や当時の心境、さらに父親の会社の同僚の隣りの家がASKAの家だったというような昔話などをKAN自らが語っており、KANというアーティスト、そしてKANの楽曲制作を知る上で、興味深いものになっている。かなり濃厚な内容の映像となので、そのすべてを把握するためには、オーディオコメンタリーのON / OFFを切り替えながら何度も繰り返し見る必要があるのは言うまでもない。
総じて、『カンチガイもハナハダしい私の人生』という作品からわかること。それは、音楽というフィールドにおいて、KANは偉大なエンターテナーだ、ということ。そしてこれは、揺るぐことのない事実である。
◆KAN オフィシャルサイト
◆KAN レーベルオフィシャルサイト(PV映像など)
◆iTunes Store KAN(※iTunesが開きます)
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