[クロスビート編集部員リレー・コラム] 荒野編「ファイフ・デンジャーフィールド」
先行シングル「She Needs Me」にノックアウトされ、2009年末から心待ちにしていたファイフ・デンジャーフィールドの初ソロ作『Fly Yellow Moon』がやっと到着。ポール・マッカートニーにも認められた作曲センスは、彼が在籍する個性派グループ、ギリーマッツのアルバム2枚で証明済みだが、本作ではシンガー・ソングライター的な方向性でポップ・マニアぶりを発揮、ひと皮むけた印象だ。
ジャクソン・ファイヴからボブ・ウェルチまで手掛けた故ジーン・ペイジを髣髴させる華麗なストリングスは、ファイフ自身による編曲。ソウルフルで取っつきやすいのにどこかねじれた、今様のモダーン・ポップに感涙を禁じ得ない。バーナード・バトラー(G)、ノイゼッツのジェイミー・モリソン(Dr)などクセ者の参加も英国ロック好きには見逃せないところだ。
公式サイト(www.fyfedangerfieldstore.com/)で販売されている500セット限定のデラックス盤も凄い。アルバム本編に加え、ボーナスCD、LPレコード、16ページのブックレットとポスターをセット。印象的な写真はディヴァイン・コメディのジャケットも撮っていた写真家、デヴィッド・ロビンソンの作品だ。
ボーナスCDもやけにやる気で、ひねくれサーフ・ポップ「Headache」、泣けるフォーキー・チューン「Let's Start Again」など、こんな形で出すのがもったいない名曲揃い。購入者は先に2曲ダウンロードできるという配慮もニクかった。音楽不況の昨今、マニア心を懇切丁寧にケアするこんな作戦も大いにありでは?
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