YUKI、時間をかけて紡ぎだされた珠玉の楽曲たち『うれしくって抱きあうよ』特集

ポスト

YUKI 前作『Wave』以来3年半ぶり、待望の5thアルバムが完成

時間をかけて紡ぎだされた珠玉の楽曲たちる

暗闇を怖がらないような、楽しかったね、と言って終わる夜がいいなと思ったんです

――リード・シングル曲にもなっている「うれしくって抱きあうよ」は、歌詞の言葉一つひとつがすごく独特ですよね。

YUKI:私がよくTVで観ていた、80年代の男性作詞家の人が書いたら、こういう感じかなと思って書きました。それは自分でも新しくて、面白かったですね。でもやっぱりYUKI節も入ってしまっているんですけど(笑)。この曲をシングルにしたいなと思った時に、こういうサウンドの曲をやりたかったということもあったけど、歌詞のほうでも生々しいものとか、コミュニケーションを歌いたかったんです。

――「うれしくって抱きあうよ」という歌詞は、具体的にどんなイメージで作られたんですか?

YUKI:イメージは、都会、アーバンです。そういうものって、私は今までどちらかというと苦手だったんですけど、最近好きになってきている自分がいて。それで歌詞もこういうふうになったのかもしれないですね。これは都会に住む恋人たちの憧れというか、ふたりはまだ若くて、恋が始まったばかりで、嬉しくってどうしようもない感じです。それが、後半にいくにしたがって盛り上がっていくイメージです。

――この曲は、テンポがすごく軽やかで気持ち良くて、この新鮮なリズムによって歌もちょっと違って聴こえてきます。

YUKI:今回は新しいリズムが多いんですけど、実はこういうリズムの曲は今までやったことがなかったので、すごく歌入れは難しかったです。あと、歌のキーが低いんですよね。でも、そういうところで響く声で歌うことができたのも勉強というか、修業になりました。レコーディングでもみんなとグルーヴに乗るように歌えて、すごく楽しかったです。

――「同じ手」という曲は、シンプルなアレンジで歌詞がまっすぐに届いてきますね。この曲を聴いているとすごく安らぐというか、優しい手に包まれている感じがします。

YUKI:これは温かいたくさんの手に支えられているイメージです。ご先祖様とか、いなくなっていった大切な人たちに自分は守られているなと思うことが、この曲になりました。今回のテーマは“手触り”なんです。温もりや人から出ているエネルギー、人から出ている温かい気持ちとか思いやりというのは年々感じられるようになってきていますね。

――そして、最後の曲の「夜が来る」は、星がキラキラときらめいて終わる感じというか、ちょっとファンタジー映画を見終わったような気持ちになります。

YUKI:音は、夜に映写機で星が写っているような、少しファンタジーな感じのイメージで作りました。今回、“今”というものがだんだん自分の中でクローズアップされてきた時に、人が生まれてから死ぬまでなんて本当にあっという間で、24時間くらいの短さに感じるのではないかと思ったんです。だったら最後は、“今日もすごく楽しかった、だから明日も遊ぼう”で終わりたい。子どもの頃は夜がすごく怖かったから、その暗闇を怖がらないような、楽しかったね、と言って終わる夜がいいなと思ったんです。この曲から1曲目の「朝が来る」につながるように終わっているので、是非リピートで聴いてほしいですね。

――このアルバムは、聴いているとすごく楽しくて、すごく幸せな気持ちが残ります。

YUKI:幸せな気持ちが残るのが嬉しいですね。それで月並みだけど、明日も頑張ろうとか、もっと強くなってやるとか、そんなふうに思ってもらえるのがいちばん嬉しいです。

――今年はライヴもあるんですよね?

YUKI:せっかくオリジナル・アルバムができたので、全国ツアーをやろうと思っています。今年は色々な人に会って、色々と新しいこともやっていきたいですね。もう少し攻撃的にというか、もう少し新しい場所に自分を置こうと思うんです。それはハードなことだと思いますけど、そのハードな中に自分を置いて、自分を許すところは許しながら、でも高めていきたいんです。今年はそれがバランスよくできるといいなと思っています。

――今は、やりたいことが明確に見えているんですね。

YUKI:今はすごく見えていますね。このアルバムをもっとたくさんの人に聴いてもらいたいと思うと、やるべきことが見えるんです。ライヴでこの曲たちを歌って、アルバムを持っていない人にも、こんなにいい曲が入っているアルバムだったら欲しいなと思ってもらえれば嬉しいですね。

取材・文●矢隈和恵

この記事をポスト

この記事の関連情報