レミオロメン、新しいレミオロメンが凝縮したセルフプロデュース・アルバム『花鳥風月』特集

ポスト
« 前のページ123次のページ »

レミオロメン 5thアルバム『花鳥風月』2010月3.3リリース

2本立てインタビュー特集 アルバム『花鳥風月』インタビュー + 映像作品「花鳥風月 Live Movie」インタビュー

映像作品「花鳥風月 Live Movie」インタビュー

アルバム『花鳥風月』は、音源を楽しむだけで終わらない。アルバムに収録された12曲をライヴ収録した映像も楽しめるアルバムなのだ。しかも、ただのライヴ映像集でもない、プロモーションビデオとも違う画期的な構成。1曲1曲の世界観に合わせた演出、美しい風景、ライティング・アーティスト集団とのコラボ等、見どころ満載でメンバーも大満足の仕上がり。撮影秘話も盛りだくさんだ。

――このアルバムにはDVDも付いているセットがあるんですよね。発売していないアルバムのライヴ演奏シーンをこんな風に見られることってないですよ。

神宮司治: 日本人では初めての試みらしくて。スケジュール的には大変だったんですよ(笑)。でもでき上がったらすごく良い作品になりました。CDだけではイメージがどこまで膨らむかわからないですけど、実際、目で見て、どういう風な演奏をするのか、どういう人たちが演奏をしているのかとか、そういったものを見ることができたら、さらにライヴに行きたくなったりするかもしれないですし、より僕らを身近に感じたりするのかなって。実像が見えるから。すごく画期的な映像作品です。

――そもそもこの映像作品を作った経緯は?

藤巻亮太: 2009年もすごくライヴが多かったので、ライヴバンドとしてのレミオロメンを伝える方法はないかなって思ったんですよね。ライヴDVDをリリースする以外でね。そうしたら新曲でやろうよってことになったんですよ。そうするとスケジュールはかなりタイトになっちゃうわけじゃないですか(笑)。だけど、今までもやったことがないし、やる価値はあるなって。どんなものになるかわからないけど、いつも信頼している監督と話を詰めて行って、じゃあやってみましょうと。ただライヴをするというだけでも良いけど、それだけじゃなく、監督の演出が一曲一曲にあったり、映像で流れを作ったりして。横浜のみなとみらいホールで2日間、地元山梨のフルーツ公園の野外ステージで1日収録したんですよ。12月に!

神宮司: マジ、寒かったです(笑)。

――ですよね。映像を見ていると、上着を着ている人の防寒具合が真冬仕様ですもんね。

神宮司: そう。お客さんは本気の防寒ですよ(笑)。

藤巻: 僕らは春みたいな衣装。

神宮司: Tシャツとジャケットでしたから。寒いったらないです。

――このアルバムの曲12曲を通してやったんですか?

藤巻: やりましたし、アングル違いで何回も。

神宮司: 一曲に対して、だいたい4回くらいかな?。

藤巻: そこからテイクを選んでミックスをちゃんとし直して。

神宮司: でも外の演奏は本当に大変で(笑)。手はかじかむし、ちょっと震えてましたよ。

――映像ではそんなところは感じさせないですよね。噴水を利用したライティングも綺麗ですし。

藤巻: あの噴水がクセ者なんですよ!

神宮司: そうだったよね。すごい冷たい風が吹いて来るんです。

――素敵なバスに乗って、会場に向かうところもあったりして、映画仕立てなところもあるし。

神宮司: あのバスは実際に東京から山梨まで、高速を走りましたからね。きっとめちゃめちゃ目立ったでしょうね。

――映画スター風にメンバーがバスから降りて来るのもかっこ良かったです。

神宮司: ああいう感じも珍しいですよね。お客さんの間を通って、ステージに上がって、それでスタートするのが「ありがとう」っていうのも良いですね。子供たちもいっぱい協力してくれて、最後の“ラララ”も一緒に歌ってくれて。

――「大晦日の歌」の映像が不思議でした。ステージ上に水面があって、子供が遊んでましたよね。あれはどうやって撮ってるんですか。合成?

前田: いえいえ、そういうシステムなんです。昔、ニルヴァーナが『NEVERMIND』を発売したときに、赤ちゃんが泳いでるジャケットだったじゃないですか。ニューヨークにいったとき、ヴァージンレコードに入ったら、それが床に映ってて、そこに入ると水面が動くんですよ。たぶん、それと同じシステムだと思いますよ。あとは東京モーターショーとか、そういうイベントで使ったり。

神宮司: 上にカメラみたいなのがついていて、それで映し出しているんですよ。

――本当に水があるみたいですよね。

神宮司: あの中を歩くと波紋が広がるんですよ。ちょっとしか歩けなかったですけど。

――どうやって撮ってるんだろうと思いました。不思議なシーンでした。

藤巻: 演奏していても“今、どこにいるんだろう?”って不思議な気持ちだったんですよ。気持ちよかったです。

神宮司: 実際に子供がステージに上がっているから、“ドラムマイクにぶつかるなよ!”ってヒヤヒヤしたりしたんですよ(笑)。

藤巻: でも撮ってる最中から夢が広がったよね。どういう作品が出来るんだろう?って。

――「Tomorrow」はキャンドルの灯りですか?

藤巻: あれは豆電球なんです。あのときたぶん、氷点下一度。

神宮司: カメラマンさんがあの豆電球踏んじゃって、ボンッて音がしたりして(笑)。

――普通のライヴでもできないような演出もあるから、映像作品ならではですよね。

藤巻: そうですね。ライヴに応用出来そうなのもあるから、アイデアはいっぱいいただきました。

神宮司: 次のツアーで何か使えたら良いですよね。それができたらまた面白いと思います。

藤巻: タイトなスケジュールだったけど、新曲をやっているっていう緊張感がバンド内にもあって、こなれてやるのと違う良さがあったんですよ。本当に直前までレコーディングしてましたからね。ツアーに出るときのリハともまた違う感じでしたよね。

前田: 面白かったですけどね。

――PV録るのとも違うし。

藤巻: そうなんです。生演奏ですから。

――お客さんもいるし。

全員:そうそうそう。

神宮司: 大変でしたね。明け方までやってましたから。

藤巻: 朝4時の「ロックンロール」とかヤバイっすよ(笑)。

――お客さんもいて朝4時!?

神宮司: そこはさすがにいなかったです。お客さんは10時、11時くらいで帰ってもらって、お客さんがいないシーンの曲を夜中に撮ったんです。

――苦労の甲斐ありますよ。1曲1曲の印象がさらに残りますよね。

藤巻: 聞いてくれている人がいた上での広がりの良さってあるじゃないですか。見て肉体感が伝わる良さもあるから、その両方が楽しめると思う。ぜひDVD付きを手に取ってほしいですね。

――そして、47都道府県を廻るツアーにつながっていくと。

藤巻: 地に足がついたアルバムができたし、しっかり届けたいなって思いがあるんです。一番ちゃんと届くっていうのは、ちゃんと全都道府県行くっていうことだろう、と。まだ行ったことない県もあったりするし。せっかく結成10周年というなら、こういう地道な活動も僕ららしいかなと思って、全都道府県まわろうってことになって、結果62本とか増えてしまいましたけど(笑)。北海道でも稚内でやりますし、東京も八王子がありますし。

――もう年末のスケジュールまで出てますよ。

神宮司: 12月のスケジュールが入ってますね(笑)。もう30歳はあっという間に終わりますよ。ヤバイなぁ~。今年のスケジュール全部埋まってますから。

藤巻: このアルバムの世界観をしっかり伝えたい。東京でやっても地方でやっても、何かしら感じてもらえるアルバムができたと思うから、届けていきたいですね。せっかくだから、今までやったことのない提案をしたり、アイデア出し合って色んなことを詰め込みたいです。

取材・文●大橋美貴子

« 前のページ123次のページ »
この記事をポスト

この記事の関連情報