nicco、ついにCDリリースへ
2009年、12月某日、渋谷のライブハウスでnicco(ニコ)に出会った。
フェンダーUSAのアコースティックギターをエンドースされているインディーズのシンガーソングライターとして、気になっていたアーティストだった。ジャスマスターを片手に歌う彼女の声は、ライブハウスの隅々まで響き渡った。
飾らぬ歌詞、虚飾のない立たずまい。媚びもしなければ変に力みもしない。まっすぐに伸びる歌声は穢れなく、心地よく心臓を貫いた。歌いたいことを歌うだけだが、無責任に歌い放つわけでもなく、多感な女性として悩みや辛さも抱えているだろう表情が見え隠れする。でもniccoはそんな意識もないのだろう。しみったれた空気も皆無。押し付けがましさもなし。ニュートラルな物腰でステージ中央に立っている姿に、じわじわとひきつけられていくオーディエンスの様子が折り重なっていく。そこには、他人に何も強要しないパンクの源泉が彼女の身体から流れ出ているように見えた。
薄い茶色まで脱色された髪、透き通るような白い肌、顔をクチャッと崩してふりしぼるサビのメロディ、確信させてくれたのは、天性のタイム感と極上のリズム感でもあった。
そんなniccoがついにデビューするという。J-WAVEのラジオ番組『RADIO×SPIDER』、雑誌『MySpace From JP.』、MySpaceの3社が、未来のブレイク・アーティストの登竜門として発足させたインディー・レーベルSPIDER RECORDS。6組選出されたレコメンド・アーティストのうち、このレーベルの第一弾としてCDデビューするアーティストがniccoに決定したのだ。
リリース決定が発表されたのは2月5日(金)ニコの日に東京渋谷eggmanで行なわれたnicco本人主催のイベント<ニコフェス'10>だった。パンパンにお客さんが入ったこのイベント中、niccoはライヴのMCで緊張しながらも「ありがとうございます!遂にCDをリリースします!」とリリース決定を発表。オーディエンスからは暖かい拍手喝采が沸き起こった。
さらに、この日22:00からのJ-WAVE「RADIO×SPIDER」内でも、SPIDER RECORDS第一弾リリースの決定が発表され、生放送中にライヴ後のniccoに電話をつなぎ、喜びの声を放送していた。2月12日(金)の放送では、niccoをスタジオに呼んでのトークも決定しているという。
リリース日程はまだ発表となっていないが、今後のniccoに是非注目してほしい。なお、SPIDER RECORDSからの寸評は下記のとおり。
●第一弾CDリリース・アーティスト審査寸評
当初5組の予定が6組になるほどクォリティの高いレコメンド・アーティストたちです。第一弾CDリリース、アーティストを選ぶ審査は難航、紛糾しました。その上でniccoを選んだのは、ライヴで観た際の楽曲の幅の広さが理由です。nicco以外のアーティストたちはすでに明解な世界観を作り出していますが、niccoは「自分のイメージに捕われず、書きたい曲をじゃんじゃん書いて、唄えるだけ唄ってやる」という勢いがライヴで観た楽曲には感じました。
オンエアされた「委員長」はティーンネイジャーの妄想を唄ったプチ・スキャンダルな曲なんですが、MySpaceプロフィールやライヴでは「おやすみベイビー」という素直なラヴソングやアッパーなロックンロールもありました。とにかく振り幅が大きい。しかし、そのヴァラエティ豊かな楽曲群に共通しているのは、フツーの女の子の頭の中を見ているということです。niccoの唄は、まさに「女の子そのもの」。まだまだライヴは荒いし、成長の途中ですが、2010年代の女の子たちを代表するアーティストになってくれると思います。
◆niccoマイスペース
◆J-WAVE「RADIO×SPIDER」マイスペース
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