デーモン閣下、GIRLS' ROCKシリーズの集大成ベストアルバム『GIRLS' ROCK Best』リリース大特集
デーモン閣下 新録2曲を含む全14曲収録『GIRLS' ROCK Best』2010.1.20リリース
女性シンガー、往年のヒット・ソングの数々をハードロック/へヴィメタルにアレンジしたGIRLS' ROCKシリーズの集大成ベストアルバム
デーモン閣下がスウェーデンハードロック界の雄であるアンダース・リドホルム(ザ・コード、ex.グランド・イリュージョン)のアレンジで女性ヴォーカルの楽曲をカバーした『GIRLS' ROCK』の集大成である『GIRLS' ROCK Best』が1月20日にリリースされる。選曲は各アルバムから4曲ずつ人気楽曲を集め、さらに新録の「魅せられて」と「赤いスイートピー」を加えた。『GIRLS' ROCK』シリーズを振り返ると共に、ベストアルバムについてデーモン閣下に話を訊く大特集をどうぞ。
デーモン閣下: 自分はそれほど感じていないけど、そういう感想をよくもらうね。アレンジャーがスウェーデン人で、その曲が日本でどういう経緯で生まれて、どんな層に受けて、極端な話を言えば、その人が歌っていなければヒットしなかったって曲もあったりするわけじゃない? 音楽にはそういう背景ってあると思うんだけど、そういう先入観とはまったく関係ないアレンジにしてくるんで、意外とその曲の核心をついたところがクローズアップされるんだよね。もともとバラードだった曲を元気よく味付けしている曲があったり、その逆もあったり。そういう指定はアンダースに“この曲はバラードにしたら面白いと思うんだけど”って言ったりもするんだけど。例えば、曲のなかで表現されている女の子が、自分の本音を見せないで、本音をカモフラージュしてごまかして、本当はとても淋しいのに本人はカラ元気いっぱいということをその歌で表現したのに、“この歌、カラ元気だな。本当は淋しい歌なんだから、淋しくしちゃえ!”っていうことはあえてやったりしているね。
デーモン閣下: それがカバーの面白みでもあるね。“お前の本音はコレだろう!”って(笑)。だから本人に感想を聞きたいんだよね。冒涜するつもりはないっていうのは伝えられている気がしているけど。例えば『そばかす』には、オリジナルにイントロに変な逆回しの声が入ってるんだけど、あれも再現したし。機械に入れて、“これはこういうことになってるんだ!”って、自分で再現したからね。
デーモン閣下: 発想が演劇に近いかもね。演劇って、一番最初は脚本を描いた人が生きているときに初演されるけど、名作と呼ばれるもの何年も何年もやっていくうちに、そもそも作った人は死んじゃって、最初に演出しちゃった人も死んじゃってって、そういうものを現代になってもやっているけど、まったく新しい解釈でやったりするじゃない。そういう発想に近いかな。
デーモン閣下: 「魅せられて」はすごく有名な曲なのに、カバーしているのをあまり聞いたことがない。カバーして気がつく、その曲の不思議な部分っていうのが今まで何曲もあったんだけど、「魅せられて」はサビが変わってる! この曲、どうしてそんなに売れたんだろう? って、カバーをしてみて思うんだよね。口ずさもうとしても半端なメロディで終わっちゃう(笑)。「赤いスイートピー」も、すごくよく知っている曲なのに、いざ唄ってみると、細かいところがわからなかったりする。こんなに明るいロックを我が輩は歌ったことが余りない。何しろずっとやっていたのは聖飢魔Ⅱっていう闇と悪のグループなので、滅ぼしたり破壊したりする曲ばかりで、あまり明るい曲はない。こういうメジャー進行の"これから生まれたばかりの私たちの恋はどうなっちゃうのかしら?"っていう歌だから、きわめて珍しいよね。ポジティブなロックという点では面白いものになったと思う。
デーモン閣下: このライヴは、博覧会的に、我が輩が今まで向き合って来た音楽、歌っていうものを取り上げてみようと言う試みだった。選曲も『GIRLS' ROCK』シリーズのものも入るけれども、それ以外にソロで出したもの、聖飢魔Ⅱ時代のもの、およびCDにはなってないけど、ミュージカルに出演したときに唄った歌を盛り込んで、いろんな側面を見ることが出来るっというのがステージの主旨。デーモンがよくわかるステージがDVDになっている。デーモンとはどんな歌を唄って、どんな風にステージを進めるのか。そういう博覧会というか展示会のようになっていることは確かだな。
デーモン閣下: このベストとDVDが出たあとは、シフトを聖飢魔Ⅱにチェンジするから、聖飢魔Ⅱがメインの活動になる。25年、結構長いことをやってきたっていう風にも思うし、25年経ってもこのくらいの感じなのか、と。円熟したと感じるところはあるし、まだまだ未熟だと思うところもあるね。
デーモン閣下: うむ。楽しみにしていてくれ。
取材・文●大橋美貴子
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