「深夜高速」

鈴木：　基本的にオレ達は、転調する曲を作らないんですよ。そういうのって小賢しい！　って思ってしまう。この曲は、バンドのシンプルな姿勢が最も顕著にあらわれたものかな。コードを3つくらいしか使ってないので。

マエカワ：　いろんなアーティストにカバーしてもらったことで、この曲のすごさがわかりましたね。

「吐きたくなるほど愛されたい」

マエカワ：　これぞ鈴木圭介というべき曲。彼の陰な部分が、うまく表われた傑作ですね。

鈴木：　この曲が2番目に人気があるなんてびっくり。

「恋をしましょう」

鈴木：　昔からライヴのハイライトで演奏していた曲。人気があってうれしいですね。

マエカワ：　この曲は演奏してて飽きないんだよね。いつだって楽しい気分にさせてくれる。

「はぐれ者讃歌」

鈴木：　フラカンって基本的に、過去とか忘れて突き進んじゃえ的な曲が多いんですけど、実はそういうのってあまり好きじゃないんです。現実を抱えて、音楽を楽しんでほしい。この曲は、自分の背負った嫌なことも忘れたくない、という気持ちを歌にしたものです。でもそういった痛みを抱えながらも、前へ進んでいく感じが、最後のメジャーコードに表われているのかな。

「東京タワー」

鈴木：　この曲を作った当時は、生きていくだけで精一杯だった。そんな時に見た東京タワーと、自分の抱える寂しさとが、重なってできたものです。

マエカワ：　これは、自分達の代表曲だと胸を張って言えるもの。これからもずっとこの歌とともに、生きていくんだと思う。

「孤高の英雄（ヒーロー）」

鈴木：　これは実は一番最初にギターを使って作った曲なんです。

マエカワ：　最初は鈴木と竹安（G）の二人がアコースティック・ライヴをやることになり、それ用に作った曲なんです。それが20年経った現在も歌い、多くの人の支持を得ているなんて、感慨深いですね。

「真冬の盆踊り」

マエカワ：　音頭を取り入れた楽曲を作ってみたいと考え、出来たのがこれ。ブギーの要素も加わって、メチャクチャ楽しい仕上がりになったと今でも思っています。

「夜明け」

鈴木：　これを作った時は、バンドの状態が斜陽ぎみで。その切ないテンションが見事に表われていますね。

マエカワ：　調子が悪い時にこれを聴くと、頑張ろうぜって気分にさせてくれます。

「冬のにおい」

鈴木：　今回のベスト盤のなかで、最も好きな歌詞がこれ。巷には夏を盛り上げる曲はあるけど、冬を楽しくさせるものって少ないと思う。オレは断然冬が好きだから、そういう曲を作ってみたかった。この曲では、自分の冬へのこだわりを、うまく表現できたと思う。

「この胸の中だけ」

マエカワ：　歌詞にファンタジーが入っていて、面白いですね。また自分達と同世代のリスナーから、これは泣けたという反響が多くて、うれしかった。

鈴木：　40歳近くになると、過去の自分に胸を張れる生き方をしているのか？　って思うことがあるんです。それを自分のなかにある石ノ森章太郎先生や藤子不二雄先生のようなマンガの世界を使って表現したって感じですね。

「元気ですか」

マエカワ：　これも『この胸の中だけ』同様、ファンタジーが入った曲だよね。うまい具合にランキングされたなぁって思った（笑）。

鈴木：　オレ、ファンタジスタだからね（笑）。これは未来のオレだけじゃなく、別れてしまった彼女に対しても“元気ですか？”と問いかけている曲ですね。

「俺たちハタチ族」

マエカワ：　イントロの前に“俺たちハタチ族！”って宣言しているところがいいよね。こういう曲は、なかなか作れないと思う。

鈴木：　タイトルは『オレたちひょうきん族』の影響を受けています。でも歌っている内容はマジメだし、また音もゴリッとしたガレージ・ロックなんですよ。ちょっと抜けている感を出すのが、オレたちのロックンロールなんですよ。

「発熱の男」

マエカワ：　これからやっていくぞ！　っていう決意表明をしている曲。とても力がありますね。

鈴木：　そう。不安な部分もあるんだけど、とりあえず行くしかねーだろ!?という気持ちを表わしていますね。

「サヨナラBABY」

鈴木：　これは自分のなかでの『スタンド・バイ・ミー』へのオマージュが最も表われたもの。世界で一番好きなんですよ『スタンド・バイ・ミー』が。この曲のコードがあれば、1,000曲くらい作れるかも（笑）。

マエカワ：　メロディがすごくいいんです。普遍的で。

「脳内百景」

マエカワ：　メロディアスでないし、泣ける感じでもないし、聴く人にとっては“何これ？”って思う人がいるかもしれない。でもすごくグルーヴがいいんですよ。

鈴木：　歌詞に“よそいきのチョッキ”ってフレーズを入れた、自分を褒めてあげたい（笑）。

「虹の雨上がり」

鈴木：　ライヴでこの曲をやると、不思議な盛り上がりをみせますね。大好きなコード進行で、演奏しているとグッときます。

マエカワ：　うん、エヴァーグリーンな感じがするよね。

「YES,FUTURE」

マエカワ：　インディーに移籍後初アルバムに収録されている曲。他の収録曲がメロディアスなものが多かったから、勢いがドカンとくる曲が欲しくて作りました。また歌詞が強烈ですね（笑）。

鈴木：　タイトルはフューチャーだけど、歌詞は全然未来的じゃない。むしろクレームが殺到。作った当時、謝罪したことを思い出します（苦笑）。