「ドキュメンタリー 頭脳警察」公開記念イベント11月11日編
7日間ぶっ続けの、映画「ドキュメンタリー 頭脳警察」公開記念イベント5日目は、ムーンライダーズの鈴木慶一とPANTAが登場。日本のロック史に残る名盤PANTA&HALの『マラッカ』をプロデュースした鈴木慶一とPANTAの40年近い関係とは如何に?
◆「ドキュメンタリー 頭脳警察」公開記念イベント11月11日編 ~写真編~
2009年11月11日(水) 場所:シアターN渋谷
ゲスト:PANTA(頭脳警察)×鈴木慶一(ムーンライダーズ)
◆ ◆ ◆
まずはふたりの出会いにまつわるエピソード。1971年の三田祭事件の真相が…。
PANTA「昔、鈴木慶一とは敵対関係にあると思い込んでいました。はっぴいえんどなどとは全く違う組織だと」
鈴木慶一「すり込まれてましたね。やはり三田祭事件のことが大きかったんでしょう」
PANTA「三田祭という慶応大の学園祭で頭脳警察が遅刻してしまって、ライブ時間がないと言われたので帰ろうとしたら、駐車場でTOSHIが「このまま帰るのか?」と。それもそうだと踵を返したところ、ステージサイドで黒ヘル軍団が腕組んではちみつぱいの演奏が終わるのを待ち構えてた」
鈴木慶一「はちみつぱいは何だろうと思いつつ無事演奏は終わって、次がはっぴいえんど。そこへ頭脳警察が乱入した」
PANTA「自治体がふたつあったことが原因だったんだけど、この事件には後日談があって、『あの騒ぎを鎮めたのは俺だ』と言ってるのが遠藤賢司、『あの騒ぎで一番被害を被った』と言っているのが吉田拓郎」(場内笑)
そんな関係だったふたりが、フライングドッグの平田国二郎氏というプロデューサーの仲介で再会。
鈴木慶一「会いに行くときは恐かった。リハ見てるだけで恐かったもんだからすり込まれてて。けれど実際会って話し出したら恐怖心は5分で吹っ飛びました。“どうも”と言ったときの笑顔で、あれ?いい人じゃんと」
そして話は名盤『マラッカ』に。
鈴木慶一「PANTA&HALが出来上がったサウンドを持っていたから、それをどうするかというのが難しかった。頭脳警察より複雑な音楽をやっていたので、その複雑さをどうやってシンプルにするかと」
PANTA「当時フュージョン、テクノの嵐が吹き荒れていたから、意識したのはハードじゃなくて“ハードネス”ということ。そこを力説していた」
鈴木慶一「音のハードじゃなくてね」
PANTA「それと古代の中近東、アラブからの流れをシルクロードにしようかオイルロードにしようか迷っているんだけどどう思う?と慶一に聞くと、“それはマラッカでしょう!”と」
鈴木慶一「海が向いているんじゃないかと思ったんだな」
PANTA「“マラッカ”というキーワードで慶一と強く結ばれて良かったなと思います」
出会い、そして名盤誕生の裏話が聞けたところで最後は本作について。
鈴木慶一「すごくシンプルにPANTAとTOSHIは付き合ってるなと。この映画は、PANTAとTOSHIの付き合い、PANTAと菊池琢己の付き合い、このふたつが浮かび上がっている。それが一緒になったのが今の頭脳警察。面白い三角形だなと思う」
また、鈴木慶一はミュージシャンのパブリックイメージという点に注目したとのこと。
鈴木慶一「ステージは荒っぽいイメージがあると思うんだけど、映画ではいい人なところばかり映っていて、いいのかなと(笑)。TOSHIはもっといい人に映ってる」
この発言に場内大ウケだ。
鈴木慶一「この映画はロックっぽさで埋め尽くされていないよね。ロックっぽくないところが垣間見えるときにすごくドキッとする。パブリックに出ないPANTAの別の面が映り込んでる」
PANTA「パブリックイメージを守ろうと思ったらカッコつけなきゃいけないけど、そんなのどうでもいいから」
鈴木慶一「カッコばかりつけてると大変。憂鬱になっちゃうよね。その点、俺たちは楽でいいね(笑)。かつての頭脳警察はカッコつけなければならなかったけど、どうでもいいと思えてきた?」
PANTA「薄らいできたね。それよりもロックって楽しいぜって感覚でやってる。時代が移り変わる中でいろいろな奴が戦線離脱していく。そんな中、ふたりでやってられるだけでいいんじゃないかと。初期衝動で好きだったものを今でもやってられる。こんなに幸せなことはない。この幸せを思いっきり享受しなければなと思います。だからピリオドが打たれるまでやってもいいんじゃないかと」
ロックの大人っぽさをじわっじわっと感じた数十分。更に同じ劇場で公開中の『あがた森魚ややデラックス』の竹藤佳世監督とあがた森魚が登壇。あがた森魚の「PANTAは歌が上手いよね」発言に場内爆笑。竹藤監督も「今日はヘルメットと鉄パイプは持って来なかったんですが、気持ちだけ乱入ということで」とやや挑発。続いてメディアアーティストの八谷和彦も引っ張りだされ、「僕は普段のPANTAの方をよく見ているので、映画を見てこんなにかっこいい人だったんだ!と思いました」と場を盛りたてた。
『ドキュメンタリー 頭脳警察』
出演:PANTA /TOSHI/菊池琢己(guitar)/中谷宏道(bass)/中山努(keyboards)/小柳"CHERRY"昌法(drums)ほか
監督:瀬々敬久
プロデューサー:石毛栄典
企画:須田諭一
撮影:西久保弘一ほか
整音:有元賢二
助成:文化芸術振興費補助金
製作・配給:トランスフォーマー
(2009年 / カラー / 第1部:107分 / 第2部:103分 / 第3部:104分 / デジタル上映 / DV / ステレオ )
(c)2009 Transformer,Inc.
11月7日より シアターN渋谷ほか 全国順次公開
◆『ドキュメンタリー 頭脳警察』オフィシャルサイト
◆「ドキュメンタリー 頭脳警察」公開記念イベント11月11日編 ~写真編~
2009年11月11日(水) 場所:シアターN渋谷
ゲスト:PANTA(頭脳警察)×鈴木慶一(ムーンライダーズ)
◆ ◆ ◆
まずはふたりの出会いにまつわるエピソード。1971年の三田祭事件の真相が…。
PANTA「昔、鈴木慶一とは敵対関係にあると思い込んでいました。はっぴいえんどなどとは全く違う組織だと」
鈴木慶一「すり込まれてましたね。やはり三田祭事件のことが大きかったんでしょう」
PANTA「三田祭という慶応大の学園祭で頭脳警察が遅刻してしまって、ライブ時間がないと言われたので帰ろうとしたら、駐車場でTOSHIが「このまま帰るのか?」と。それもそうだと踵を返したところ、ステージサイドで黒ヘル軍団が腕組んではちみつぱいの演奏が終わるのを待ち構えてた」
鈴木慶一「はちみつぱいは何だろうと思いつつ無事演奏は終わって、次がはっぴいえんど。そこへ頭脳警察が乱入した」
PANTA「自治体がふたつあったことが原因だったんだけど、この事件には後日談があって、『あの騒ぎを鎮めたのは俺だ』と言ってるのが遠藤賢司、『あの騒ぎで一番被害を被った』と言っているのが吉田拓郎」(場内笑)
そんな関係だったふたりが、フライングドッグの平田国二郎氏というプロデューサーの仲介で再会。
鈴木慶一「会いに行くときは恐かった。リハ見てるだけで恐かったもんだからすり込まれてて。けれど実際会って話し出したら恐怖心は5分で吹っ飛びました。“どうも”と言ったときの笑顔で、あれ?いい人じゃんと」
そして話は名盤『マラッカ』に。
鈴木慶一「PANTA&HALが出来上がったサウンドを持っていたから、それをどうするかというのが難しかった。頭脳警察より複雑な音楽をやっていたので、その複雑さをどうやってシンプルにするかと」
PANTA「当時フュージョン、テクノの嵐が吹き荒れていたから、意識したのはハードじゃなくて“ハードネス”ということ。そこを力説していた」
鈴木慶一「音のハードじゃなくてね」
PANTA「それと古代の中近東、アラブからの流れをシルクロードにしようかオイルロードにしようか迷っているんだけどどう思う?と慶一に聞くと、“それはマラッカでしょう!”と」
鈴木慶一「海が向いているんじゃないかと思ったんだな」
PANTA「“マラッカ”というキーワードで慶一と強く結ばれて良かったなと思います」
出会い、そして名盤誕生の裏話が聞けたところで最後は本作について。
鈴木慶一「すごくシンプルにPANTAとTOSHIは付き合ってるなと。この映画は、PANTAとTOSHIの付き合い、PANTAと菊池琢己の付き合い、このふたつが浮かび上がっている。それが一緒になったのが今の頭脳警察。面白い三角形だなと思う」
また、鈴木慶一はミュージシャンのパブリックイメージという点に注目したとのこと。
鈴木慶一「ステージは荒っぽいイメージがあると思うんだけど、映画ではいい人なところばかり映っていて、いいのかなと(笑)。TOSHIはもっといい人に映ってる」
この発言に場内大ウケだ。
鈴木慶一「この映画はロックっぽさで埋め尽くされていないよね。ロックっぽくないところが垣間見えるときにすごくドキッとする。パブリックに出ないPANTAの別の面が映り込んでる」
PANTA「パブリックイメージを守ろうと思ったらカッコつけなきゃいけないけど、そんなのどうでもいいから」
鈴木慶一「カッコばかりつけてると大変。憂鬱になっちゃうよね。その点、俺たちは楽でいいね(笑)。かつての頭脳警察はカッコつけなければならなかったけど、どうでもいいと思えてきた?」
PANTA「薄らいできたね。それよりもロックって楽しいぜって感覚でやってる。時代が移り変わる中でいろいろな奴が戦線離脱していく。そんな中、ふたりでやってられるだけでいいんじゃないかと。初期衝動で好きだったものを今でもやってられる。こんなに幸せなことはない。この幸せを思いっきり享受しなければなと思います。だからピリオドが打たれるまでやってもいいんじゃないかと」
ロックの大人っぽさをじわっじわっと感じた数十分。更に同じ劇場で公開中の『あがた森魚ややデラックス』の竹藤佳世監督とあがた森魚が登壇。あがた森魚の「PANTAは歌が上手いよね」発言に場内爆笑。竹藤監督も「今日はヘルメットと鉄パイプは持って来なかったんですが、気持ちだけ乱入ということで」とやや挑発。続いてメディアアーティストの八谷和彦も引っ張りだされ、「僕は普段のPANTAの方をよく見ているので、映画を見てこんなにかっこいい人だったんだ!と思いました」と場を盛りたてた。
『ドキュメンタリー 頭脳警察』
出演:PANTA /TOSHI/菊池琢己(guitar)/中谷宏道(bass)/中山努(keyboards)/小柳"CHERRY"昌法(drums)ほか
監督:瀬々敬久
プロデューサー:石毛栄典
企画:須田諭一
撮影:西久保弘一ほか
整音:有元賢二
助成:文化芸術振興費補助金
製作・配給:トランスフォーマー
(2009年 / カラー / 第1部:107分 / 第2部:103分 / 第3部:104分 / デジタル上映 / DV / ステレオ )
(c)2009 Transformer,Inc.
11月7日より シアターN渋谷ほか 全国順次公開
◆『ドキュメンタリー 頭脳警察』オフィシャルサイト
この記事の関連情報
岡田徹(moonriders)が生前、佐藤奈々子に託した最後の楽曲リリース
moonriders、「moonridersアンコールLIVEマニア・マニエラ+青空百景」リリース
【ライブレポート】ムーンライダーズ、<EBISU JAM 2023>最終日に登場。90年代ファンハウス在籍時代のレア楽曲披露
【ライブレポート】ムーンライダーズ、岡田徹を悼むライブ開催「みんな一緒に歌えるよ!」
ムーンライダーズ、45周年記念ライブ<“THE SUPER MOON”>が映像作品化
ムーンライダーズ、ニューアルバムがアナログ化。<moonriders LIVE>開催も発表
大滝詠一の未発表曲、鈴木慶一とのデュエットで音源化
ムーンライダーズ、レコードの日に合わせレコード盤発売&クリスマスにライブ開催
<ベルウッド・レコード 50周年記念コンサート>あがた森魚、六文銭ら出演9組が発表