SCANDAL特集:スキャンダルな赤裸々白書
SCANDAL スキャンダルな赤裸々白書 私たち、大人のオモチャなんかじゃない!
制服=戦闘服をまとってロック・シーンに現われた ガールズ・カレージ・バンド SCANDALのデビュー・アルバムがついに完成
INTERVIEW
「いわれてすごく辛かったのは「ホントに弾いてんの?」っていう言葉」(RINA)
HARUNA(Vo & G): 元々は、ヴォーカル&ダンス・スクールにそれぞれ行ってて。そのスクールの先生から、あるときいきなり「楽器やってみない?」っていわれて。知らない者同士だったんですけど、せっかく4人いるんだし、バンド結成しようかっていう流れで。だから元々は、バンドでデビューするという夢ではなかったんですよ。
MAMI(G & Vo): コードもなにも分からないのに、最初に4人で一緒に音をガシャーンッて出して。それが楽しかったんです。
TOMOMI(B & Vo): ダンスって、一人でも形になるじゃないですか? バンドって一人では形にはならなくて。4人で作る音で、初めて一つの音になる。みんなで一つの音を作ることって素敵やなぁって思うんです。ライヴ中のアイコンタクトやったり、MCの掛け合いも、一人じゃできない。みんなでやるのが気持ち良くて楽しい。それがバンドの魅力やなと思うし。それを聴いてくれた人も“楽しい”っていってくれるのって、音楽での会話やと思うんです。そういうのっていいなって、ライヴするたびに思いますね。
MAMI: ダンスって、体全体で表現できるじゃないですか? でも楽器は、音と体のある一部と顔の面積(一同爆笑)……面積!? あっ、顔の表情でしか表現できないので。そこは最初、難しかったですけどね。
TOMOMI: 大阪の友達や家族と離れてしまったり、東京では大人にいろんなことをいわれたり。ホント、何回も泣きましたし、何回も辞めようと思いました。……ま、「DOLL」(デビュー曲)ですね。この曲を書いたときって、そういう気持ちがすごいあったんです。自分はこうしたいのにできひん。そういう自分をDOLLに例えて書いたんですよね。
RINA(Dr & Vo): しかも大人たちは、いろんなコトいうから。この人はこういうし、あの人はああいうし、でもアタシの体は一つなんや!と。
TOMOMI: いろいろいわれて悔しいから、見返してやろうって気持ちも原動力になったし。
RINA: 辛いときに凹んで泣いて、それで辞めるのも簡単かもしれへんけど、それだとまず自分に負けてるみたいで嫌なんです。そういうことをいわれたから辞めるって“カッコ悪ぅ”って思うんです、自分は。そもそも誰のためにやってるん?って自分に問い掛けたら、“SCANDALの曲を聴きたい”ってライヴに来てくれるみんながすでにおるやん!って自分で自分にいう。
RINA: んで、いわれてすごく辛かったのは「ホントに弾いてんの?」っていう言葉。衣装もこう(制服)やし、そう見えるときもあるんかなって思うんですけど。
「制服はあくまでも衣装として着ているわけで、“勝負服”なんですよ。自分たちのなかの“戦闘服”」(MAMI)
RINA: バンドを組んだときは、全員中学・高校生で。学校終わりで制服のままスタジオに入ってたから、ステージに上がるときも普段と同じ学校の制服だったらちょっとは緊張ほぐれるんやない?って。だから、別に自分らでは“制服バンドや”とか思ってなくて。でも、そこもいろいろいわれて悔しいときもありますけど。
MAMI: 制服を着てるだけで“本気じゃない”って思われるんですよ。さっきの本当に“弾いてんの?”っていうのも含めて、適当にやってると思われがちなんですよ。
TOMOMI: あと、もう学生やないメンバーが3人いるので、卒業してんのに制服着て“色モンや!”みたいな。“コスプレ・バンドや”みたいな風に思われる。
HARUNA: デビューしたときも、私だけ卒業してたんですね。だから、あのときは切な過ぎましたね(苦笑)。
MAMI: 制服はあくまでも衣装として着ているわけで、“勝負服”なんですよ。自分たちのなかの“戦闘服”。そういう意識で着ているので、色物にとられるのはすごい悔しかったです。
RINA: でも、“勝手にいってたらいいんじゃない?”とも思ってました。ライヴを見ればわかってもらえると思ってたから。
HARUNA: そうなんですよ。色物だと思うのは勝手だけど、まずはライヴを見てからいってくださいって。
MAMI: だけど、そういうこといってくる人は、少なくとも私たちを見て興味を持ってるワケやと思わん?(笑)
RINA: そういう意味では“やりぃ!”やね(笑)。
HARUNA: どう思われても、存在を知ってもらえてるだけでまずは充分です(キッパリ)。
MAMI: 実は、「あんなに踊りながら弾けんの?」っていわれるんですけど、「ほんとーに弾いてんだってば!」と(笑)。
TOMOMI: 演奏はまだまだやけど、まだまだなりに伝えたいコトがあって、ああいうパフォーマンスを一生懸命やってるんで。それに対して「当てぶりちゃうん?」とかいわれると切ないですね。
HARUNA: はい、全然なかったです。みなさんフレンドリーに接してくれて。
TOMOMI: でも最初は自分たちも自信なんて一つもなかったので、対バンするのも怖かったんですよ。みなさん上手いじゃないですか? そういう人と一緒にやるのがすごい怖かった。他のバンドを観に来てるファンの人に物投げられたらどうしようとか、“帰れっ!”とかいわれたらどうしようとか考えてました。
全員: ないです(笑)。
RINA: そんなんされたら二度とステージに上がれないです。コワ過ぎて。でもな、物を投げる人がいたら“分かった。アンタらあたしらのこと気に入らんかったんやろ? でもあんた、こっち来てみ。人に物投げるって、人としてどうなん? 幼稚園のとき習ったやろ? 人に石とか投げたらアカンって”って、ライヴ後に説教しますけどね。(一同笑)
全員: わきゃきゃきゃきゃきゃ(笑)。
TOMOMI: そうなんですよ! そうなんですよ!
RINA: いや、ウチらメタルやないやん!!(笑)
TOMOMI: 最初はパフォーマンスとか全然分からなくて。アメリカ・ツアーに行くってなったときに、みんなでSAM41さんのライヴDVDを観て、ジャンプの練習を布団の上でしたりとか、頭の振りは1回後ろに倒してから振ったほうが大きく見えるとか。そういう研究をすごいしたんですよ。
MAMI: みんなで一斉に飛ぶとことか「これめっちゃヤバイよね!」って。それをひたすら練習したりしましたね。
HARUNA: あと、ダンスをやっていたとこもあって、音が鳴るとどうしても動きたくなるんですね。それもあるんじゃないかな。
HARUNA: 特にないです。とりあえず、1年間はみんなで同じ衣装を着て同じ髪型で、まず憶えてもらおうというのはありましたけど。
「爽やかなのが趣味じゃなかったので(笑)。ピチピチ系ではない」(HARUNA)
MAMI: ベスト盤という意味ではなくて、楽器を始めてから3年間、ベストを尽くしてきた楽曲を詰め込んで完成したアルバムなんです。ライヴだったりレコーディングのときに、“ベストを尽くす”というのが私たちの合い言葉なんですよ。
HARUNA: 体育会系のバンドなんで(笑)。
TOMOMI: 基本的に汗臭いバンドですね。
全員: うきゃきゃきゃきゃきゃ(笑)。
HARUNA: そういう爽やかなのが趣味じゃなかったので(笑)。ピチピチ系ではない。
MAMI: ライヴとかしてるときに“かわいい”より“かっこいい”って思われたいんで。だから、ガシガシいく系の音になったんだと思います。
TOMOMI: 歌詞もピチピチ系のかわいらしい感じよりも、自分たちがいま思っていることをリアルな言葉で書きたいなというのがすごいあるので。そこをそのまま入れると、挑発的なところもあるかもしれないですね。ま、SCANDALっていうバンド名ですから(笑)。
RINA: いい意味で期待を裏切りたいんです。こういう衣装だし、かわいい系のキャピキャピな音楽やってんのかな?って思った人に“カッコいい”っていわせるような自分らでいたい。
TOMOMI: 「恋模様」もそうですね。これはかわいい歌詞でありつつも、サウンドはガレージで。普通じゃなくて、ちょっと“毒”を刺したいんですよ。
RINA: 挑発的なほうがカッコいい気がする。自分たちが他のアーティストさんを見ていて、そういうほうがロックやなって思うからそうなっちゃうんかなぁ。
「普通はイヤだ、毒を刺したいって。やっぱ、キレイなままでおさまっていたくない」(TOMOMI)
TOMOMI: 自分たちの壁っていうか、そういうのを破りたい、普通はイヤだ、毒を刺したいっていうのにつながるのかな。やっぱ、キレイなままでおさまっていたくない。そういうところからきてるんじゃないですかね。
HARUNA: いまリハ中なんですけど。いい意味で期待を裏切りたいというのがあるので、普段のライヴとは違う、ちょっとサプライズ的な面白いコトができたらいいなと。
MAMI: インディーズの頃にずっと、大阪の城天でストリート・ライヴをやっていて。大阪城ホールに行く道の途中でライヴをやりながら「いつかあそこでやりたいよね」ってずっといってるので。大阪城ホールでライヴをやるのが、いま一番の夢です。
HARUNA: まったく考えてないです。
TOMOMI: これからどうするか決めてないからこそ、そこは自分たちでも楽しみですね。
MAMI: インディーズの頃に練習していたスタジオが、大人のお店ばかりが入ったビルのなかにあって(照笑)。
RINA: エロエロ!!(笑)
MAMI: そのなかでひときわ輝いていたお店の看板に“SCANDAL”というのがあって。“おっ!”って。
TOMOMI: “このSCANDALでいいやん!”て、ノリでつけたんですけど。それまでは名前がなかったから、スタジオの人からも“バンドちゃん”って呼ばれてましたからね(笑)。
HARUNA: デビューのときにスタッフさんに「本当にこれでいいの?」って確認されたんですけど、自分たちも思い入れがあったので。
TOMOMI: いまSCANDALをネットで検索すると、トップには絶対大人系の変なのが出てくるんですよ。そこのトップに私たちSCANDALが出てくる、それぐらい大きくなりたいな。
取材・文●東條祥恵
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