m-flo、膨大な作品群を徹底解明する「活動10周年記念」大特集
INTERVIEW
VERBAL: 僕は☆Takuとは高校のときからバンドを組んでたんですけど、大学時代から、音楽を続けるというのはあきらめていたんです。大学でちょっと仕事をして、そのあと大学院に行ってたんですよ。その冬休みのに☆Takuと会ったんですけど、そのときに☆Takuはもう音楽の仕事を始めていました。“あるリミックスの仕事がきたんだけど、これにラップ乗っけてよ”って頼まれて、ノリでやろうかとなったのがm-floを始めるきっかけにもなって。だから最初の2枚のアルバムは、学費を稼いでは学校に戻って、ツアーやってはまた学校に戻って、って感じだったんで、こんなに長く続けようという意識ではなかったっですね。
VERBAL: 大学院はアメリカだったから、日本に帰ったときに凝縮して活動するという感じでしたね。でもやるからには、中途半端にやりたくなくて。僕も音楽が好きだから、好きなことを納得いくまでやるっていうのは徹底していた。当時は、とにかくライヴの本数が凄かったんですよ。1ヶ月30公演くらいするようなハチャメチャなクラブツアーをやっていたりして。当時、☆Takuが曲を作って、DJは別の人がやってたんですけど、そのときに一緒に回っていたDJが倒れたり。すごくタフだった。タフとはいえ楽しかったですね。
VERBAL: それぞれが考えていたと思うんですけど、☆Takuは確実にダンスミュージックが好きで、DJとしても活動していて、“こういう音楽がなんでもっと日本で流行らないんだ”みたいなことを彼なりのベクトルから考えていて。僕も“こういう音楽ってカッコいいじゃん”って思ってデビューのときから挑んでいました。僕としては、ヒップホップ畑でアングラ上がりで、J-POPの畑にカッチョいいラップで挑んでやる! みたいな感じで、当時は若気の至りでそう考えてたんですよ(笑)。でも挑んだ先がみんなウェルカムだったんですね。“m-floカッコいいじゃん!”ってみんな言ってくれて。その当時から自分の考え方も変わっていきましたね。僕たち、やっぱり他の人とは違うことをしていたから。どこにも当てはめられることはやってないから、もう突き進んでいくしかないのかなって。音楽のビジョンというのも、ここから構築されて固まっていったんです。だんだん自分たちは他と違うんだって気付いたし、自分は自分らしくするしかないんだってことに気付いていった。
VERBAL: この盤は☆Takuの誕生日にリリースされたんですよ。チャートを見て、ビックリしましたよね。3位m-flo……誰だよ、m-floってって!(笑)。
VERBAL: もともとLISAからは“私はソロをやるからね”ってことは言われていたんですよ。いずれはソロになるんだろうなと思ってたけど、忙しくなってきた頃に“私ソロになるから”っていきなり言われた。個人的にはアクセル・ローズが抜けたガンズ・アンド・ローゼズみたいな気持ちでした(笑)。ショックっていうよりも、僕はまだこのときも学生だったから、“ま、いっか。学校戻るか”みたいな軽い気持ちでした。そんな時期に、プロデュース的な仕事が何かの間違いで転がり込んで来て。プロデュースなんかしたこともなかったけど、やっていくうちにavex内にレーベルを立ち上げさせてもらったり。逆にLISAが脱退したことがきっかけで、☆Takuも僕も一回プロデュースワークに専念して、“Loves”のアイデアが湧くことになったと思うんですよ。それまでずっとドタバタだったし、2002年みたいなクリエイティヴなことをする時間っていうのが僕たちには必要だったんでしょうね。
VERBAL: Lovesというのは、計43組と一緒に曲を作ってきたわけです。こんな短期間でそんな多くの人たちと曲を作るのは、音楽版ブートキャンプみたいなもんなんですよ。“初めまして! じゃあ曲作りましょう”って。しかもうちらの曲の作り方はいい意味で効率が悪いっていうか。どういうのが唄いたいのかってところからスタートするから、ブランドに例えれば、カスタムオーダーのものが40何点もある……みたいな。これ売れなかったらどうするの? みたいな感じだったので。マス・プロデュースなグループじゃないから、そこが大変なんだけど、そのおかげで培った経験っていうのは大きいですね。僕もそのおかげで、ステージングがどんなシチュエーションでも対応できるようになったっていうか。☆Takuも普通のJ-POPとは違う感じでライヴが作れるから、手応えも感じただろうし。
VERBAL: どうですかねー(笑)。☆Takuとはあまり真面目な話をしないので。僕たち、浮かんだらやるって感じなんですよ。とりあえず、m-floに関しては、浮かぶのを待つというか。☆Takuも海外のアーティストのリミックスとかプロデュースとかに没頭しているし、僕自身も動いたりしているし。お互い良いタイミングでアイデアを持ち寄ったら、Lovesみたいな破壊力のあるプロジェクトができるのかなと。
VERBAL: そういうことにしておいてください(笑)。でも両日ともにゲストがたくさん出てくれます。
取材・文●大橋美貴子
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