スクウェア・エニックスがTipsを披露「Sound Forge Pro 10」発売

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Sony Creative Softwareとフックアップは、オーディオ編集/制作ソフトウェア「Sound Forge Pro 10」を発表した。「Sound Forge Pro 10」は、オーディオ編集とマスタリングのあらゆる作業を自由にコントロールできる、効率的で信頼性の高いソフトウェア。マスタリングツールやノイズ除去ツールを備え、オーディオファイルをスピーディかつ正確に作成、編集するメディアのプロフェッショナルにとって必要不可欠なツールとなっている。新バージョンでは、イベントベース編集への対応、elastique Proタイムストレッチ&ピッチシフトプラグインやiZotope64-bit SRC、およびMBIT+Ditherプラグインを搭載し、より強力なソフトウェアになった。

9月17日に行われた製品発表会ではスクウェア・エニックスのスタッフによるSound Forge Pro 10を使ったゲーム制作現場での作業を紹介するデモンストレーションも行われ、同ソフトの強力な機能をアピールした。

Sound Forgeは波形編集ソフトの代名詞ともいえる存在で、現在もバージョンアップが続けられている音楽制作ソフトとしては最も歴史の長いソフトウェアの1つだ。当初はSonic Foundry社により開発・販売が行われていたが、現在はソニーブランドのソフトウェアとして、Sony Creative Softwareからリリースされている。また、国内販売はSonic Foundry時代から現在までフックアップが行っている。

従来はモノラルあるいはステレオファイルを直接編集するスタイルだったが、現在ではマルチトラックの編集やマルチチャンネルオーディオ(Dolby Digitalなど)の編集、プロジェクトファイルによる作業状態の管理といった機能もサポート。また、ASIO/VSTへの対応が図られたほか、別売だったCDマスタリングソフト「CD Architect」やノイズリダクションプラグイン「Noise Reduction」を標準搭載するなど多岐に渡る音声関連処理機能を備えるようになっている。

「Sound Forge Pro 10」の新機能は広範囲に及ぶ。その中でも最も作業効率向上に寄与しそうなのがイベントベースの編集だ。

作業は非常に簡単だ。編集対象となる複数の箇所でリージョンを設定(分割点を指定)、イベント編集モードに切り替えれば、分割したリージョンをそれぞれ「イベント」として扱うことが可能になり、イベント単位での各種エフェクト・編集処理ができるようになる。エフェクトを適用する際に対象となる箇所をいちいち範囲指定するといった作業からは開放されるわけだ。

リージョン分割はショートカットキー1発で行えるので、イベントの作成は非常に簡単。イベントを左右にドラッグすれば発音タイミングの位置が簡単に修正できるし、イベントを重ねるように配置すれば自動的にクロスフェードが適用される。クロスフェードのカーブには多数のプリセットが用意されるのもポイント。もちろん、イベント単位でボリューム調整もワンタッチだ。同社のVegasやACIDなどのDAWソフトのようなクリップ単位の編集ができるようになったといえばわかりやすいかもしれない。

また、イベントをウィンドウの外へドラッグすれば新たにウィンドウが作成され、そのイベント部分のみを編集できるので、長尺ファイルの一部分のみ別ファイルとして書き出す作業も手間はない。CDをディスクアットワンスで焼く際にもこのイベントを1トラックとして扱うことができるので、別途CD Architectを使用しなくとも簡単にトラック分割作業が行えるのも便利だ。これらの編集状態はプロジェクトを保存することで、いつでも再現可能となっている。

再生速度や音程の変更には新たにサードパーティのZplane elastiqueタイムストレッチおよびピッチシフトプラグインが用意された。従来のタイムストレッチ機能と異なり、速度を遅くしても音が途切れたり不自然になったりということがない、非常に音質変化の少ない結果が得られる。このプラグインはDirectX対応なので、DirectXプラグイン対応のほかのDAWソフトウェアでも利用可能なのもうれしい。

ビット深度/サンプリングレート変換には、iZotope MBIT+Dither、iZotope 64-bit SRCが新たに搭載される。iZotope MBIT+ditherは、心理音響方式を採用したMBIT+によってノイズが聞こえにくくなり、高品質のサウンドとスムーズなフェードが得られる。一方、iZotope 64-bit SRCは、192kHzからCD品質の44.1 kHzに変換するなどのサンプルレート変換に使用するもので、ハイブリッドのローパス フィルタ設計を採用しているため、オーディオのリサンプリングにおいて、エイリアシングを起こさずに、音源に忠実な高品位のサウンドを実現する。膨大な音声ファイル処理が必要となるゲーム制作の現場でも非常に重宝される機能になるだろう。

昨今の音楽制作の現場では最終的な音質・レベル調整を行うマスタリングという作業が重要視されるようになっているが、Sound Forge Pro 10では200ドル相当の最新マスタリングツールをバンドルすることで対応している。こちらもiZotope提供によるものだ。

iZotopeは世界有数のオーディオ・マスタリングツール・メーカーであり、今回バンドルされる「Mastering Effects Bundle 2」にはMastering EQ、Mastering Reverb、Multiband Compressor、Mastering Limiter、Stereo Imager、Harmonic Exciterという6種類のプラグインが含まれている。これらのプラグインを使ってより本格的なオーディオ編集とマスタリングが可能となっている。

ソフトウェアサンプラー/音源で使用されるライブラリの編集機能も新たに追加された。DLS、GigaStudio/GigaSample(.gig)、SoundFont(.sf2)の読み込み、処理、保存が可能。バンク、楽器、ノート範囲、サンプル情報をすばやく表示することができるほか、サンプルにエフェクト編集処理を直接追加することが簡単にできるようになっている。

ユーザーインターフェイス面では、複数レイアウトの保存、再現ができるカスタマイズ可能なウィンドウレイアウトがより柔軟性を増している。フローティングウィンドウがドッキング可能になったほか、データウィンドウの最大化時にタブ表示が可能になるなど、効率的に作業を進めるための細かい機能アップがうれしい。また、操作手順を画面入りで説明してくれるチュートリアルが新たに搭載されたことで、初めてSound Forgeを使うユーザーでもすぐに操作に慣れることができるようになっている。

9月17日に行われた発表会では、「ファイナル・ファンタジー」や「ドラゴン・クエスト」シリーズなどでおなじみのゲームメーカー「スクウェア・エニックス」のスタッフによるSound Forgeを使ったデモンストレーションが行われた。デモでは新機能に加え、ゲーム制作現場におけるSound Forgeによる作業の一部も公開されたのだが、こちらも非常に興味深い内容となっていた。最後にデモの」内容も簡単に紹介しておこう。

スクウェア・エニックスでは、ゲームタイトルにおけるSE(効果音)、BGM、VOICE(セリフ)などの音声の編集・音質処理・出力において、広範囲でSound Forgeが使われているという。昨今のタイトルでは、1ゲームあたり10万ファイルにも及ぶ音声ファイルの処理が必要となるのだが、Sound Forgeの自動処理が非常に役立つことが紹介された。

たとえば、長時間の録音済み音声ファイルの処理では、「オートリージョン」により無音部分を検出して領域を分割、無音部分をトリミングして、ノイズを消すエフェクトを適用して、個別にWAVファイルを出力する。これらの作業を自動化することで、数千のファイルを一気に処理するのだ。とくに余分な無音部分を削るオートトリムという機能は、容量に制限のあるゲームにおいては非常に重宝するのだという。また、音圧を調整するコンプレッサーをはじめ、イコライザー、リバーブ、リミッターといったエフェクトを自動処理で適用することも多いそうだ。

このほか、ゲーム機用の特殊なファイル形式を吐き出すオリジナルのソフトウェアとの連携も紹介された。上記の自動処理との併用により、各種エフェクト適用後に別ソフトに編集結果を渡してファイル出力するという処理が可能なので、膨大な専用ファイル形式の処理も手間はないとのこと。すべての処理をバッチ処理できるSound Forgeの魅力がダイレクトに伝わるエピソードだ。

また、5.1チャンネルが主流となったゲームの環境音などでも、マルチチャンネルのまま編集できるSound Forgeの機能が威力を発揮する。容量削減のために短い部分をループ再生するのが環境音の編集では一般的だが、その際のスタート&エンドポイントの処理がSound Forgeでは非常に手軽にできる。さらに、オープニングムービー用の音声の最終調整の場面では、サブウーファーで再生されるSEのある部分だけ音を大きくしたい、背後から聞こえる靴音をちょっと音量を下げたいといった要望にも、波形を見ながら一瞬で編集が完了するので即座に対処できるとした。

Sound Forge Pro 10はこのように豊富な機能を備えるほか、数々のオーディオフォーマット、ビデオフォーマットの入力・出力に対応する点でも人気が高い。新バージョンでは広範囲で効率よく作業ができるようになっており、楽曲制作はもちろん、ゲームや映像の分野でもより広く活躍してくれる強力なツールに仕上がっている。

<動作環境>
・Microsoft Windows XP(SP2 以降)またはWindows Vista(SP2 以降)
・1 GHz 以上のプロセッサ
・300 MB 以上のハードディスク空き容量(プログラムのインストール用)
・512 MB 以上のRAM
・Windows 互換サウンドカード
・DVD-ROM ドライブ(インストール用)
・サポートされているCD-R ドライブ(CD書き込み用)
・Microsoft DirectX 9.0c 以降
・Microsoft .NET Framework 2.0

<対応ファイル形式>
●読み込み:AA3※、AAC、AIF、ASF、AU、AVI※、CDA、DIG、DLS、DV、FRG、GIF、GIG、IVC、M2A、M2P、M2T、M4A、M4B、MMV、OGG、MOV、MP1、MP3、MP4、MPEG、MPEG-1 およびMPEG-2 ビデオ、Sony MXF※、PCA、QT、RAW、SD、SFA、SF※、SND、TIF、VOB、VOX、W64※、WAV※、WMA※、WMV
●保存:AA3※、AC3※、AIF、ATRAC※、AU、AVI※、DIG、DLS、FRG、GIG、IVC、M1A、M1P、M2A、M2P、M2T、MMV、MOV、MP1、MP2、MP3、MP4、MPA、MPEG、MPEG-1、MPEG-2 ビデオ、Sony MXF※、OGG、PCA、RAW、RM、SF2、VOX、W64※、WAV※、WMA※、WMV※※サポートされているマルチチャンネル形式

◆Sound Forge Pro 10
価格:57,750円(通常版)
   39,900円(アカデミック版)
発売日:2009年9月25日

◆フックアップ
◆Sony Creative Software

◆BARKS 楽器チャンネル
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