増田勇一のライヴ日記 DIR EN GREY@新木場STUDIO COAST
エイミー・マンを観た翌日は、当然のごとく新木場STUDIO COASTに居た。いよいよ開幕を迎えたDIR EN GREYの2009年2回目の国内ツアー、その初日のステージを観るためである。<TOUR09 FEAST OF V SENSES>は、先頃の徹底的な国内行脚と欧州ツアーをもって完結したということなのだろう。今回は<TOUR09 ALL VISIBLE THINGS>と銘打たれている。
◆増田勇一のライヴ日記 DIR EN GREY@新木場STUDIO COAST ~写真編~
このツアー・タイトルを直訳すると「目に見えるものすべて」という意味になるが、それはすなわち“万物”ということ。“All visible things are vain”というのは“色即是空”の英語表現に相当するものだったりもする。さらにこの“色即是空”という言葉が「凱歌、沈黙が眠る頃」のなかに顔を出す事実を把握できている読者も少なくないに違いない。だからどうの、というわけじゃないし、僕自身もこのツアー・タイトルに込められたものについて正確に理解できているわけではないのだが、タイトルこそ変わってはいても、依然として今回のツアーが『UROBOROS』を基本軸とするものであることに変わりはないのだろう。しかしこの夜のライヴを観て僕が何よりも感じたのは、むしろこのツアー・タイトルをストレートに解釈したときの意味合いだった。
目に見えるものすべてが真実。つまりはそういうことである。
例によってツアー序盤の原稿ゆえに具体的なセット・リストについては触れずにおく。ただし、おそらくはすでにあちこちで話題になっているはずだが、あの「アクロの丘」と「Schweinの椅子」が披露された事実だけはお伝えしておこうと思う。「アクロの丘」は、言うまでもなく、1999年1月にリリースされた3枚のメジャー・デビュー・シングルのうちのひとつ。これまでも彼らのライヴでのサプライズ曲登場には何度となく絶句させられてきたが、今回の驚きはまさに過去最大級と言ってもいいのではないだろうか。ちなみに終演後、Dieと会話しているなかで、「おそらく最後にこの曲を演奏したのは2004年の日比谷野音」という言葉が飛び出してきたのだが、帰宅後、資料をひっくり返してみると、確かに同年10月24日、日比谷野外音楽堂でのライヴではこの曲が披露されている。Dieの記憶力の確かさと、自分の物持ちの良さに感心してしまった。
しかし重要なのは、「アクロの丘」や「Schweinの椅子」が演奏されたという事実の意外さではなく、実はそうした楽曲たちに違和感がなかったこと。言い換えればこのバンドの過去には何も否定すべきものがないということだろう。そう、目に見えるものすべてが、五感を通じて伝わってくるもの全部が、ひとつ残らず真実なのである。
とはいえ、意外性とかサプライズといったものも、幾度も重ねていけば定番化してしまうことになる。それを経験的にもよく理解しているはずのDIR EN GREYが、毎晩同じようなセット・リストで演奏するようなことはないだろうし、仮に曲順自体が似通っていたりしても、その日にしか味わえない何かをきっとまた彼らは提供してくれるに違いない。だからこそ僕は、「1回観ればそれで満足」というわけにいかないのである。
というわけで、今夜も僕は同じ場所で、DIR EN GREYを観る。明日の更新は、とりあえずお約束せずにおくが。
増田勇一
◆増田勇一のライヴ日記 DIR EN GREY@新木場STUDIO COAST ~写真編~
▲2004年10月24日、日比谷野外音楽堂公演の際のセットリスト。当時のツアー・タイトルは<THE MANIPULATED LIFE>。 |
目に見えるものすべてが真実。つまりはそういうことである。
例によってツアー序盤の原稿ゆえに具体的なセット・リストについては触れずにおく。ただし、おそらくはすでにあちこちで話題になっているはずだが、あの「アクロの丘」と「Schweinの椅子」が披露された事実だけはお伝えしておこうと思う。「アクロの丘」は、言うまでもなく、1999年1月にリリースされた3枚のメジャー・デビュー・シングルのうちのひとつ。これまでも彼らのライヴでのサプライズ曲登場には何度となく絶句させられてきたが、今回の驚きはまさに過去最大級と言ってもいいのではないだろうか。ちなみに終演後、Dieと会話しているなかで、「おそらく最後にこの曲を演奏したのは2004年の日比谷野音」という言葉が飛び出してきたのだが、帰宅後、資料をひっくり返してみると、確かに同年10月24日、日比谷野外音楽堂でのライヴではこの曲が披露されている。Dieの記憶力の確かさと、自分の物持ちの良さに感心してしまった。
しかし重要なのは、「アクロの丘」や「Schweinの椅子」が演奏されたという事実の意外さではなく、実はそうした楽曲たちに違和感がなかったこと。言い換えればこのバンドの過去には何も否定すべきものがないということだろう。そう、目に見えるものすべてが、五感を通じて伝わってくるもの全部が、ひとつ残らず真実なのである。
とはいえ、意外性とかサプライズといったものも、幾度も重ねていけば定番化してしまうことになる。それを経験的にもよく理解しているはずのDIR EN GREYが、毎晩同じようなセット・リストで演奏するようなことはないだろうし、仮に曲順自体が似通っていたりしても、その日にしか味わえない何かをきっとまた彼らは提供してくれるに違いない。だからこそ僕は、「1回観ればそれで満足」というわけにいかないのである。
というわけで、今夜も僕は同じ場所で、DIR EN GREYを観る。明日の更新は、とりあえずお約束せずにおくが。
増田勇一
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