増田勇一の欧州日記(5)
DIR EN GREYの<TOUR09 FEAST OF V SENSES>欧州編は、去る6月27日、スウェーデンのイエテボリにて開催のメタル系大型フェス<METAL TOWN>への出演をもって終了。一行はその後、“北欧での休日”を楽しんでいるわけではなく、すでに日本への帰還を果たしている。で、実のところ僕自身は6月12日の<DOWNLOAD>でのステージを観た翌日には帰国していたのだが、ずっと途絶えていた欧州日記の“つづき”を、これからお届けしたいと思う。どうして更新が止まっていたのかといえば…ま、いろいろあるわけですよ。帰国早々、国内出張が入ったりとか、ちょっとまだここには具体的に書けない別件プロジェクトが動き始めたりとか、他の原稿との兼ね合いとか、あれこれとオトナの事情というやつが。
そんなことはともかく、話のつづきを。前回は一行がオランダのアムステルダムで2日間の貴重なオフを過ごしたことをご報告したが、かつて僕がこの街に初めて訪れたときに印象深かったのが、自転車の多さとコロッケの自動販売機。今回も相変わらず、その両者がやたらと目についた。
この国の人たちが自転車を多用することはよく知られているはずだけども、実際、アムステルダムの街は自転車移動がちょうど良いサイズだったりもするし、観光客にもレンタサイクルを利用する人が少なくない。そしてコロッケの自販機というのは、FEBOというチェーン店がいちばん有名で、その看板をいたるところで目にする。自販機とは言っても、もちろんちゃんと店があって、マンションの郵便受けみたいに並ぶガラス扉のケースの外側からコインを挿入すると、その裏側で調理されたばかりの揚げたてコロッケを取り出せるという仕組み。
種類も豊富で、クリームコロッケみたいなのもあればメンチカツ的なものも、チーズの入ったものもある。ちょっと小腹がすいたときには最適だし、これを片手に歩いている人も少なくない。実際、メンバーたち数名も食していた。
コロッケ以上に“食べ歩き”をよく見かけたのがフライドポテト。これもいくつかチェーン店があるのだが、特徴はとにかく量が多いことと、ケチャップではなくマヨネーズ系のソースが一般的だということ。ちなみに筆者は某メンバー2名とSサイズをシェアして、それでもかなり腹一杯。美味しいのだけどもちょっと飽きる、というのが正直なところ。そんなことを言いつつ、翌6月10日のユトレヒトでも懲りずにふたたび食してしまったのだが。
そのユトレヒト公演は、今回のツアーにおける最初の単独ライヴ。当日の午後、会場に到着した途端、「マスダサ~ン」と呼ぶ耳慣れぬ声が聞こえ、誰かと思って振り返ってみると、開場待ちの集団のなかにいたドイツ人の女性3人組。
「どうして僕が増田だと知っているのか?」と訊くと、彼女たちはちょっと考えた末に「DIR EN GREYの大ファンだから」と日本語で回答。「ファンだからなんでも知っている」というわけだ。
さらに、会場界隈をうろついていると、仲睦まじく運河沿いを歩いていた初老の夫婦に、いきなり「写真を撮らせてください」と声をかけられてビックリ。理由を尋ねると「あなたは今夜あそこでライヴをやるバンドの関係者ですよね? うちの娘が今、あの行列に並んでいるんです。あなたと一緒に写真を撮って、あとで見せてやりたいんで」という答えが。もちろん断る理由もないから、近くの教会を背景にして記念撮影することになったのだが…うーん、なんだかこの街、これから数時間後に始まろうとしているライヴの混沌感とは似ても似つかない牧歌的な空気が漂っている。実はこのユトレヒト、うさぎのミッフィーちゃんの故郷(というか、作者の地元にして本拠地)だったりもする。しかしもちろん、DIR EN GREYのライヴは、そうした緩やかな空気の流れとは無関係のものとなったし、会場の『TIVOLI』は、この夜、ユトレヒトの街から完全に浮き上がった異空間となった。
というわけで、実際のライヴについては、また次回。
増田勇一
▲人気チェーン店、FEBOの店内。ちっこいハンバーガーみたいなのもあります。こうしていいろいろと並んでいると、なんとなく全種類制覇してみたくなってしまうから不思議なもの。 |
この国の人たちが自転車を多用することはよく知られているはずだけども、実際、アムステルダムの街は自転車移動がちょうど良いサイズだったりもするし、観光客にもレンタサイクルを利用する人が少なくない。そしてコロッケの自販機というのは、FEBOというチェーン店がいちばん有名で、その看板をいたるところで目にする。自販機とは言っても、もちろんちゃんと店があって、マンションの郵便受けみたいに並ぶガラス扉のケースの外側からコインを挿入すると、その裏側で調理されたばかりの揚げたてコロッケを取り出せるという仕組み。
▲見ただけで腹一杯のポテト。これを喰いつつビールを呑む生活を続けていれば、風車小屋体型になるのは時間の問題か。 |
コロッケ以上に“食べ歩き”をよく見かけたのがフライドポテト。これもいくつかチェーン店があるのだが、特徴はとにかく量が多いことと、ケチャップではなくマヨネーズ系のソースが一般的だということ。ちなみに筆者は某メンバー2名とSサイズをシェアして、それでもかなり腹一杯。美味しいのだけどもちょっと飽きる、というのが正直なところ。そんなことを言いつつ、翌6月10日のユトレヒトでも懲りずにふたたび食してしまったのだが。
そのユトレヒト公演は、今回のツアーにおける最初の単独ライヴ。当日の午後、会場に到着した途端、「マスダサ~ン」と呼ぶ耳慣れぬ声が聞こえ、誰かと思って振り返ってみると、開場待ちの集団のなかにいたドイツ人の女性3人組。
▲ユトレヒトののどかな風景。会場の『TIVOLI』も、運河沿いの可愛らしい街並みのなかにあった。 |
▲昼間から『TIVOLI』の前に行列をなすファン。やはりなんとなく、女性ファンのほうが来場が早い。そして実は「他の国から観に来たファン」が、昼間に用事がなくて先頭グループを形成していることが多い、という説も。 |
さらに、会場界隈をうろついていると、仲睦まじく運河沿いを歩いていた初老の夫婦に、いきなり「写真を撮らせてください」と声をかけられてビックリ。理由を尋ねると「あなたは今夜あそこでライヴをやるバンドの関係者ですよね? うちの娘が今、あの行列に並んでいるんです。あなたと一緒に写真を撮って、あとで見せてやりたいんで」という答えが。もちろん断る理由もないから、近くの教会を背景にして記念撮影することになったのだが…うーん、なんだかこの街、これから数時間後に始まろうとしているライヴの混沌感とは似ても似つかない牧歌的な空気が漂っている。実はこのユトレヒト、うさぎのミッフィーちゃんの故郷(というか、作者の地元にして本拠地)だったりもする。しかしもちろん、DIR EN GREYのライヴは、そうした緩やかな空気の流れとは無関係のものとなったし、会場の『TIVOLI』は、この夜、ユトレヒトの街から完全に浮き上がった異空間となった。
というわけで、実際のライヴについては、また次回。
増田勇一
この記事の関連情報
【ライブレポート】PIERROT×DIR EN GREYの“月戦争”「ピエラーも虜も関係ねえんだよ!」PIERROTワンマン公演開催も発表
【レポート】ライブフィルム『DIR EN GREY LIVE FILM 残響の血脈』、メンバー全員が揃った初舞台挨拶
ライブフィルム『DIR EN GREY LIVE FILM 残響の血脈』、メンバー全員登壇の舞台挨拶実施決定
DIR EN GREY × PIERROT、7年ぶり<ANDROGYNOS>ライブ映像をYouTubeプレミア公開
DIR EN GREY、今秋公開ヨーロッパツアーライブフィルムのタイトル&ポスタービジュアル解禁
DIR EN GREY × PIERROT、7年ぶり<ANDROGYNOS>を10月開催
DIR EN GREY、4年ぶりヨーロッパ公演のライブフィルム2024年秋に劇場公開
【俺の楽器・私の愛機】1589「初7弦」
【レポート】DIR EN GREYのShinyaソロプロジェクト・SERAPH、天から大地へ