Creature Creature、渋谷O-EASTで衝撃的なステージを披露

ポスト
ヴォーカリストMorrieのソロ・プロジェクトであるCreature Creatureが、6月20日に渋谷O-EASTで約2年半ぶりのライヴを行なった。

この衝撃的なステージを、どのような言葉で表現したらいいのだろう? 通常のロック・コンサートというイメージで会場に足を踏み入れた観客は、そのあまりに凄まじい音のせめぎあいに唖然としたのではないだろうか。複雑に絡み合う4つの楽器、一筋縄ではいかない難解なリズム、独特の響きを放つ音の重ね方とコード進行。そして、変幻自在に艶のある声と詩的な歌詞を操る圧倒的存在感を持ったMorrieの歌声。プログレッシヴ・ロック、インプロビゼーション・ジャズ、前衛的な現代音楽、彼のルーツともいえるヘヴィメタルと、幾多の音楽的要素を内包し、そのどれとも違うCreature Creatureの世界を綿密に構築している。

◆Creature Creature、渋谷O-EAST~写真編~

ライヴは、新曲の「真空」からスタートした。ステージを覆う幕が開くと、黒い衣装に身を包んだMorrieがマイクの前に立っている。変則的なギターのアルペジオにのせて、深く厚みのある声が会場に響き渡る。2曲目も新曲の「Cluster」。イントロで激しく目つぶしが瞬く中、ヒステリックなギターが唸りを上げる。最初のMCで、彼は「新曲、ガンガンいきます」と宣言。その言葉通り、この日に演奏した楽曲の半分近くは新曲だった。

2006年8月にリリースされた1stアルバム『Light & Lust』には、Morrie以外に、tetsu(L'Arc~en~Ciel)とMinoru(ex.THE MAD CAPSULE MARKETS)という2人のソングライターの楽曲が収録されていた。しかし、今回の新曲は、すべてMorrieが作曲した作品。従来の曲もかなり手が加えられていたし、今回のCreature Creatureのライヴは、よりMorrieの個人的趣向が色濃く表現されたものだったといえるだろう。

バックアップ・メンバーは、Hiro(G/ex-La'cryma Christi)、Shinobu(G/ex-Guy's Family)、Hitoki(B/ex-黒夢)、Sakura (Dr/S.O.A.P、ex-L'Arc~en~Ciel)という強者揃い。リハーサル期間はそれほど長くなかったと聞くが、Creature Creatureの複雑で難しい楽曲を、見事に「1つのバンドの音」として昇華していた。力強いビートと手数の多いスタイルで、頻繁に変わるリズムをしっかりと支えたSakura。的確なリズムキープとアグレッシヴなベースラインと、二つのアプローチで楽曲に多彩な味付けをしたHitoki。高度なテクニックを要するアルペジオやカッティングで、楽曲の骨格を堅実に維持したShinobu。Morrie自身が「ソロイストに」と熱望したHiroは、得意のメロディアス且つアバンギャルドなフレーズを炸裂させて、Creature Creatureの世界観をより明確にしていた。

そして、その中心に位置するMorrieは、ロングトーンとヴィブラートを多用した独特の歌唱法、シャウト、ファルセットと、さまざまな声で楽曲を彩っていく。彼にとって「声」は楽器の1つであると同時に、歌詞の世界を表現し伝えるための手段でもある。その二つの絶妙なバランスが、「孤高のヴォーカリスト」「唯一無二の表現者」という彼に対する多くの賛辞を生み出すのであろう。

Morrieの音楽的キャリアのスタートとなったDead Endは、アルバムを1枚出すごとに大きく変貌していくバンドだった。そして、さらに変化し続けたソロ活動を経て、Creature Creatureもやはり進化を続けていると確信した今回のライヴだった。

2回のアンコールを終え、客電がつき、機材の片づけが始まっても、鳴り止まぬ拍手と歓声に、ツアーTシャツを着てステージに再々登場したMorrie。「やりたかったけど、もう片づけちゃってるみたいで、ごめんね。全然予定してなかったんで。ありがとう!」といい、満員の観客にめずらしく笑顔を見せた。進化の過程を惜しげもなく披露したCreature Creatureの未来は、どこへ向かっているのだろう。非常に楽しみであり、興味深いところである。

文:大島暁美
写真:緒車寿一

<シモーヌと逆鱗>2009.6.20 SHIBUYA O-EAST
01.真空
02.Cluster
03.MABOROSHI
04.ゾーン
05.Black Hole
06.星憑き
07.秘苑
08.Sexus
09.Es
10.風の塔
11.COSMOS BLACKNESS
12.Automatic
13.パラダイス
14.RED
15.SWAN
16.春の機械
ENCORE-1.妖
ENCORE-2.千の闇夜に

◆Creature Creature 公式サイト
この記事をポスト

この記事の関連情報