T.O.K.、ますますキャッチー&メロウに進化した『アワ・ワールド』リリース&祝来日 大特集
ベイ・C:それには3つの理由があるんだ。一つは、この4年間にいろんな世界をツアーでまわって、いろんな出会いを経験した。その経験がアルバムの内容に反映されているからってこと。2つ目は、今回はレゲエだけでなく、ヒップホップからテクノまで、世界のさまざまなビートを駆使したアルバムだってこと。そして最後が、オレたち4人には「火(FIRE)」「空気(AIR)」「水(WATER)」「地球(EARTH)」というそれぞれの役割がある。この4つの要素が加わることによって、T.O.K.という唯一無二の世界ができるってことを伝えたかったんだ。
フレックス:刺激になったのは、毎日の経験だね。例えば、人間関係のなかで生まれる愛やピースフルな気持ちとか…あらゆることが、アルバム制作の刺激になっている。結果、みんなに共感してもらえるというか、日常に寄り添うような曲ばかりが収録されているんだ。そもそもT.O.K.は、限定したリスナーに音楽を発信するのでなく、できるだけ多くの人の心に届くものを作ることを目的に活動しているんだからね。
アレックス:オレ達の音楽って、人生そのものなんだよ。出会ったすべてのものから刺激を得ている。だから、もちろんファンの子の反響とかも曲作りに役立っているし、その他の要素からも影響を受けているんだ。特定の何かから影響を受けて曲を作ることは、オレ達にはできないんだよ。
グレイグ・T:でも、どんな曲もファンの子の心を揺さぶるために音楽を作っているんだけどね。
アレックス:何かサプライズなことをやろうとか、奇をてらうことは今回しなかったんだ。そういうのは1stでやり尽くしたよ。今はキャリアを重ねて、どういう音が自分達に合うのか大体わかってきたし。だから、とにかく自分達の力を最大限に生かすことだけを考えていたよ。
アレックス:オレ達は、いろんな音楽から影響を受けているんだってことを知ってほしくて、テクノを取り入れてみたよ。でも、オレ達なりのフィルターを通して、ダンスホールの美しさをとらえたような仕上がりになったと思うんだ。
クレイグ・T:ダンスホールには制限がないんだよ。それにテクノっぽい音って、ダンスホールのなかに元々あったものだし。取り入れるのは自然なことだね。
クレイグ・T:だろ(笑)? これはある女性スタッフが、この曲のデモを聴いて“何だかアフタヌーン・ポルノスターみたいな音楽ね”って、つぶやいたんだ。
アレックス:そう、ジョーク交じりでね(笑)。
ベイ・C:でも、その言葉を聞いた瞬間ピンときたんだ。この言葉以外にタイトルは考えられないってね。
ベイ・C:オレ達の音楽って、たいてい即興で生まれたものばかりなのさ。今回だってそう。何かリディムが鳴っていると、それが自然に行くべき方向へ導いてくれるんだ。オレ達はそれに従うがままなのさ。
アレックス:たまには、何か方向性を見つけて音楽を制作をすることもあるんだけど。レコーディングの最初の段階から、ガチガチにカタチを決めて曲作りをすることはないね。自由なアイデアを入れられる隙間を、必ず作っておくんだ。
全員:その通り!
フレックス:先にパーティ・チューンとかを聴かせるアルバムなんて、もう飽きちゃっただろ? また、前半に盛り上がる曲ばかりを構成してしまうと、そういう曲しかやらないアーティストだと思われがちになってしまう。オレ達はいろんな要素を持ったユニットであることを知ってほしいから、今回はアッパーな曲とメロウな曲をバランスよく配置してみたのさ。
フレックス:これは単なる偶然なんだよ。しかも、2曲とも“死”をテーマにしていながらも、それとは関係のないストーリーだからね。「ギャングスターズ…」は、ストリートで目立ってやるって話だし、「ダイ・フォー・ユー」は恋愛ソングさ。好きな子のためだったら、死ぬことだって恐れない気持ちを伝えているんだ。
ベイ・C:一見すると、これらは正反対なテーマについて歌っているみたいだけど、実はどちらともオレ達の音楽への思いがこもっているんだ。「ダイ・フォー・ユー」は、オレ達らしい音楽を作るためなら死すらいとわないという思いがね。
クレイグ・T:また「ギャングスターズ…」に関しては、何十年経ってオレ達の肉体が滅びようとも、魂をこめて作った音楽ならば、それは滅びはしないってことも伝えているしね。
全員:いつでも、どこでもさ。最高の気分を味わえると思うよ!
取材・文●松永尚久