LA-PPISCHのMAGUMI、「桜を見るたび、上田現を思い出して」

ポスト
2008年3月9日に他界した元LA-PPISCH(レピッシュ)のキーボーディスト、上田現のトリビュート・ライヴ<キコエルカイ>が、5月5日に日比谷野外大音楽堂にて開催された。

降り止まない雨に観客が身体を寄せ合う中、雨音を切り裂くかのように「上田現のテーマ」が鳴り響き、トップバッターのPOLYSICSが登場。参加者の中では最年少の彼らを、オーディエンスは温かく迎えた。締めの1曲ではゲスト・ギタリストとして参加した杉本恭一と共に、トリビュート・アルバム『Sirius~Tribute to UEDA GEN~』から「歌姫」のカヴァーを天に捧げた。

続いて登場したのは、2009年でデビュー20周年を迎えるモンスターバンド、東京スカパラダイスオーケストラ。トリビュート・アルバムから「-6m」を披露した彼らは、縦ノリ、横ノリと自由自在にグルーヴを操り、限られた時間ながら素晴らしいパフォーマンスを見せた。

代表曲「お祭り」でスタートした上田現のソロ・プロジェクトを支えたパーマネントマネージメントバンド“ELE(イレ)”は、ゲスト・ヴォーカルに伊藤ふみお、元ちとせを迎え、ライヴの冒頭でLA-PPISCHのMAGUMIが趣旨を説明した際に言った「上田現フェスティバル」という言葉通りの選曲でステージを展開した。

全身真っ白な衣装に身を包んだ伊藤ふみおは、上田現が提供した「君の横顔」、トリビュート・アルバムから「夢のブランコ」を披露。上田現との思い出を丁寧に語る姿からは、純粋でまっすぐな上田への愛情を感じさせた。続いて登場した元ちとせは、上田現の名前を広めた彼女の代表曲「ワダツミの木」のほか、「羊のドリー」「ハイヌミカゼ」を歌唱。会場は波の音に耳を傾けるかのように、静かに彼女の歌声に酔いしれた。

最後に演奏された「ファウル」では、奥村大がワンコーラスを歌った後、上田現の声と演奏を同期させるという奇跡のアンサンブルを行ない、オーディエンスを驚かせた。

トリのLA-PPISCHが登場すると同時に客席は総立ちとなり、大歓声が上がる。ライトに照らされて美しく光る雨粒さえも、まるで演出のひとつのように見えた。ライヴでは、上田現が作詞作曲を手掛けた曲はもちろん、ギターの杉本恭一による楽曲も存分に演奏され、LA-PPISCHならではのパフォーマンスでオーディエンスの心と体を温めた。

さらに、ゲスト・ヴォーカルとして宮沢和史が登場し、トリビュート・アルバムから「タンポポ(Toys II)」を熱唱。初期の代表曲「リックサック」後に演奏された「HARD LIFE」では、TAKUYA(ROBO+S)がギタリストとして参加し、会場をさらに盛り上げた。

「上田現が愛した桜を見るたびに、彼の存在を思い出して欲しい」と披露された「さくらさくら」では、そんなMAGUMIからのメッセージをオーディエンスはかみ締めながら聴いているかのように見えた。「ハーメルン」で再びビートを加速した後は、“筋肉少女帯 with 水戸華之介”名義でトリビュート・アルバムに収録された「サイクリング」をLA-PPISCHと水戸華之介で演奏。本編ラストは、ライヴ定番曲「美代ちゃんの×××」で締めくくられた。

「プレゼント」「パヤパヤ」の2曲が披露されたアンコールでは、セッティングの間にMCとしてお笑い芸人のダイノジ、まちゃまちゃが登場。「パヤパヤ」では出演者全員がステージに登壇し、各アーティストが楽曲の持つエネルギーを最大限にぶちまける中、上田現に捧げるフェスティバルは幕を閉じた。

◆上田 現 オフィシャルサイト
◆杉本恭一 アルバム『Electric Graffiti』発売記念<REC 虎の穴>
この記事をポスト

この記事の関連情報