Miss Mondayのもとに集結した、奇跡のコラボレート

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Miss Monday feat. Kj from Dragon Ash,森山直太朗,PES from RIP SLYME

奇跡のコラボ・シングル「The Light」特集

降谷くんの音楽経験のなかで得た知識、テクニックを凝縮させたような“切り札的な曲だ”と言ってくれた

――「The Light」は、久しぶりのリリースになりますね。

Miss Monday:13ヶ月ぶりです。時間をかけたというか、かかったというか(笑)。

――しかもプロデュースはKj(Dragon Ash)、フィーチャリングにはKj、森山直太朗、PES(RIP SLYME)という、アッと驚くメンバーが大集結してます。どんなきっかけでこの曲ができたんですか。

Miss Monday:もともと、以前から降谷くん(Kj)とは一緒に曲を作ってみたいと思っていたんです。これは私が勝手に思っていたことですけど、降谷くんと私には共通点があると思っていたんですね。私はヒップホップという枠の中でも、レゲエとかもっと歌もの寄りのものとか、枠にはまらないところで自由にやってきた人間だし、降谷くんは降谷くんで、ロックという畑の中でもかなりミクスチャー寄りで、ヒップホップも、ドラムンベース、ラテンもやるし、せつない胸キュンの歌ものもやるし、自由に音楽をやっているところにシンパシーを抱いていたんです。

――初対面はいつですか。

Miss Monday:2006年の夏ですね。<湘南音祭>に遊びに行ったときに、楽屋で初めて会ったんですけど、“いつか一緒にやりたいね”という話をしたんです。その後あらためてお願いをして、実際に制作に入ったのが2007年の12月くらいかな。最初に降谷くんと私が話したことは、“スペシャルなものをやりたい”ということだったんです。特に「The Light」は、彼の音楽経験のなかで得た知識、テクニックを凝縮させたような“切り札的な曲だ”と言ってくれたので。

――それは最高の言葉ですね。

Miss Monday:彼にとって、とっておきのトラックを自分にくれたわけだから。その愛情に対して、120%で返さなきゃ駄目でしょ!みたいな感じがあって、お互いのテンションはすごく上がってましたね。その中で、二人で制作するのもいいけど、せっかくだから二人が尊敬しているアーティストにも声をかけて、さらにスペシャルなものを作りたいというふうに話が盛り上がって、森山直太朗くんとPESくんの名前が挙がったんです。

――年齢が近いんですよね、4人とも。

Miss Monday:降谷くん以外は同い年です。32歳。特に意識したわけではなくて、自分たちにとってカッコいいと思える人たちがたまたま同世代だったという感じですね。

「The Light」には、それぞれの希望のイメージと、それぞれの光の強さ、闇の強さがあるんだなと感じました

――詞のテーマを決めるのは、どんなふうに?

Miss Monday:テーマは、私から提案したんです。“明けない夜はない”というコとが言葉は、今の時代にこそ必要なメッセージなんじゃないかな?とイって思って。それに3人も賛同してくれて、各々がそのテーマで書いていきました。50代なら50代、10代なら10代のモノの捉え方があるように、私たちの世代にしか書けないことがあると思うんですよ。ちょうど私たちの世代は、ずっとガムシャラに突っ走ってきて、ふと自分がやってきたことに疑問を感じたりとか、そういう年齢の世代なんじゃないか?という気がするんですよね。でも、だからこそ、自分が描いた夢や希望に向かって自分と誠実に向き合ってやっていけば、必ず願いは叶うものだと信じていたいので。自分の歌詞のパートに関しては、“せめて諦めないことぐらいは出来るんじゃない?”って、自分に言い聞かせるつもりで書いていった感じですね。

――聴き手を選ぶ曲ではないですけど、特にちょうど30代になる頃の世代にとっては、すごくリアリティのあるテーマだと思います。

Miss Monday:“希望”についてどう思うか?ということを、各々の温度感で語ってもらえたなと思います。たとえば降谷くんは、人生自体を楽しんじゃってるところがあるんですよね。自分が右往左往したりしている時に感じる苦悩さえも、人生の中で考えると“充実と呼ぶんだぜ”と言えるところは本当に彼らしいと思うし、たくましくて素敵だなと思います。PESくんのヴァースは、本当に言いようのない優しさと包容力があるんですよね。それは経験を重ねた人でなければ持てないものだと思うし、歌詞の世界観も、私のイメージで言うと、女の子が一人ポツンといて、“私、どうしよう”と思っている時に、“大丈夫だよ”という強い言葉と共に大きく包んであげるような、あったかい気持ちになれる歌詞なんですよね。直太朗くんは、美しい風景を1枚のスナップ写真に切りとるような、繊細な情景を表した歌詞を書いてくれたと思います。今回の彼の歌には、祈りに近いものを感じるんですね。私の想像の世界では、教会のステンドグラスから光が差し込む中で、懺悔をしつつ祈っているようなふうにも感じ取れるし。「The Light」には、それぞれの希望のイメージと、それぞれの光の強さ、闇の強さがあるんだなと感じました。

――それはきっと、Kjの作ったトラックと、Mondayさんの発案したイメージの強さがそうさせたんだと思いますよ。たとえばPESくんがこれほどストレートな言葉使いで“希望”を歌うのは、RIP SLYMEでは聴いたことがないですから。

Miss Monday:私も歌詞を読んだ時に、こういう言い方をするのも変ですけど、“すごく考えてくれたんだな”と思いました。彼は基本的に、フリーキーなフロウのカッコよさがあって、そっちのイメージが強いじゃないですか。私もそれはすごい好きだし、トラックの中を自由に泳ぐフロウは天下一品だなと思うんですよね。そんな彼が、「The Light」にああいう言葉を書いてくれたということは、すごくうれしいです。そういえば、こんなことがあったんです……歌詞のテーマを決める時に、「こういうテーマにしたいんですけど」って、私が書いた歌詞をクリアファイルに入れてみんなに渡したんですね。そしたら本番のレコーディングの時に、PESくんが“Mondayを見習って歌詞を書いてきました”とか言って、歌詞をプリントアウトしてクリアファイルに入れて持ってきたんですよ(笑)。照れくさいけど、うれしかったですね。

4人で作り上げた曲なので、アンカー担当として、聴いてもらう人に最高の形で届けられるようにやっていきたい<

――みんな、“この曲はスペシャルなものにしなきゃ”という思いがあったんですね。

Miss Monday:1+1が10になったり、50にもなったりしたような気がしますね。みんなが「The Light」というテーマについてそれぞれの角度で語ってくれて、それがダイヤモンドみたいな多面体になって、より強い光を放つようになったと感じます。

――ミュージックビデオもシンプルでカッコいいです。

Miss Monday:監督は中井泰太郎くんといって、私がメジャーデビューした時の曲「MONDAY FREAK」のビデオを撮ってくれた人なんです。私が“この曲は希望を歌っているんです”と説明したら、彼から返ってきた答えは、“余分なものは排除したい”ということだったんですね。暗闇の中に光がさしていて、そこで歌っている人間像をちゃんと表現したいということで、すごくいい作品に仕上がっています。カット割りがなくて、ちょっと間違えると撮り直しになるので、大変だったけど楽しかったですね。撮影の時に、みんな面白いこと言うんですよ。特に直太朗くんがムードメイカーになって面白いことを言って、それに対して降谷くんが茶々を入れて、PESくんがそれを受けてコソッとふざけたことを言って、私はただ笑ってるだけで(笑)。その様子はメイキング・ビデオにしたので、ぜひBARKSで見てほしいです。もちろん本編も(笑)。

――2009年、いい年の始まりになりましたね。

Miss Monday:すごく大事なスタートが切れたと思っています。「The Light」では、私は、みんながつなげてくれたバトンを受け継いだアンカーだと思ってるんですね。自分名義の曲だけれども、4人で作り上げた曲なので、アンカー担当として、聴いてもらう人に最高の形で届けられるようにやっていきたいです。そして今年の目標は、まず3月のワンマンライヴですね。東京と大阪でやるんですけど、今回はターンテーブルのショーを2時間ガッチリやろうと思ってます。一番大事にしたいのは、曲の持っている感情をどうやったら伝えられるのか?ということ。歌心というかラップ心というか、そこを見てもらいたいなと思ってるんですね。それが2時間やり切れたら、さらに新しい可能性というか、まだ自分が見たことのない景色が見えてくる気がするので。頑張ります!

取材・文●宮本英夫

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