中島美嘉、自分の“声”を信じて進む確信に満ちた「ORION」『VOICE』大特集

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中島美嘉 シングル「ORION」11.12リリース 5thアルバム『VOICE』11.26リリース記念大特集

歌に対する強い思いを卓越した声の表現力に乗せて

小さいときから、自分で言い出したことは必ず最後までやった

  

――2008年は自分のために時間を使いたいって言ってましたよね。

はい。今年に限らず、しばらくは納得できるまで自分磨きをしようかと思っていて。ボイストレーニングもそうだし、もっと身体を鍛えて、持久力もつけたいし。きちんとやれば、それだけ自分に返ってくるっていうのがようやくわかってきたので…。とはいっても、歌はやっぱり難しいんですけどね。“これだけやっても、まだこんなもん!?”って思っちゃったりもするし。

――いやいや、さっき話した「ORION」のボーカルもそうだけど、確実に成果が現れていると思います。レコーディングもニューヨークだったんですよね?

アルバムの新曲はそうですね。向こうでレコーディングすると、歌のことだけに集中できるんですよ。日本にいると、どうしてもいろんな仕事が入ってきちゃうでしょ。そうすると時間がなくなってきて、“この曲はどうしても、今日中に録らなくちゃいけない”っていうことも起こってくる。ニューヨークでは、そういうことが少ないんですよ。じっくり時間をかけられるし、“今日は無理みたいだから、明日にしよう”っていう判断もできるんですよね。あとね、普通のことが普通にできるっていうのも、私には大きくて。

――どういうこと?

地下鉄でスタジオに行って、終わったら地下鉄で帰る、とか。それだけでもかなり気分転換になるんですよね。本当の意味で初心に返れるというか。

――なるほど。確かに日本では無理ですね、それは。

向こうにいても、たとえば日本の食材が売ってるスーパーとかに行くと“中島さんですよね? 最近よくいらっしゃいますけど、こっちに住んでるんですか?”なんて言われちゃうけど(笑)。でも、日本ほどではないですからね。あとね、私のことをぜんぜん知らない人がフツーに話しかけてきたりもするんですよ、逆に。地下鉄に乗ってると、いきなり“その靴、かわいいね”って言われたり。そういうのもね、気分がいいんですよ。

――それも自分磨きの成果かもしれないですね。ニューヨークでひとり暮らしをするっていうのも、大変な決断だと思いますけど…。

そうですか? それもまあ、直感みたいなものなんですけどね。私は10代のときからずっと、自分の直感だけを信じて生きてきたところがあるので。母がよく言うんですよ。あなたは小さいときから、自分で言い出したことは必ず最後までやった。誰が何を言っても聞かなかったって。

 

――アルバムに入っている「TRUST YOUR VOICE」はまさにそういうテーマを持った曲ですね。自分の声を信じて生きてほしい、っていうメッセージが強く伝わってきて。

うん、ここまで強く(メッセージ性を)出したのは初めてかもしれないですね。でも、本当にそう思うんですよね。いまはいろんな情報があるし、まわりの人もいろんなことを言うだろうけど、最後は自分で決めなくちゃいけないから。

――なるほど。このアルバムには中島さん自身の考え、生き方が強く反映されているし、そういう意味でも『VOICE』というタイトルはぴったりですね。中島さんの声そのもの、というか。

最初、“TRUST YOUR VOICE”っていうタイトルにしたいっていうアイデアがあったんですよ。でも、いままではずっとワンワード(『TRUE』『LOVE』『MUSIC』『YES』)できてるから、“じゃあ、『VOICE』はどう?”って。

――自分を磨く2008年を経て、2009年はどんなふうになりそうですか?

2009年は働きますよ!

――今年も働いてないわけじゃないんですけどね(笑)。こうやってアルバムもリリースするわけだし。

まあ、そうなんですけどね。でも、今年はかなり自分のために時間を割いたから、それを返していかないきゃなって。きっとツアーもやるだろうし、その後もがんばっていこうと思ってます。“ニューヨークでボイトレやってるんだよね?”っていうプレッシャーもあるんだけどね(笑)。

取材・文●森 朋之

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