増田勇一のライヴ&取材日記 2008年10月1日(水)DIR EN GREY名古屋公演@ZEPP NAGOYA
これまで『ライヴ日記』という名目で不定期に更新してきたこの《日記》だが、何人かの読者から「ライヴばかりじゃなく、普段、どんな取材や仕事をしているのかをもっと知りたい」という声があった。正直なところ、日々行なっている各雑誌用のインタビュー取材などについては、特に独占性の高いものなどの場合、“企業秘密”だったりすることも多いのだが、今後はライヴのみに限定することなく、あれこれ綴っていこうと思う。
9月は12本のライヴを観て、15本のインタビューをとった。そして10月のスタートを、僕は名古屋で迎えることになった。目的は言うまでもなくDIR EN GREYを観ることだ。去る9月10日に幕を開けた<TOUR08 THE ROSE TRIMS AGAIN>も、いよいよ終盤に突入。ツアー序盤は、当初の予定よりも遅れ気味だったニュー・アルバムの最終ミキシング作業が公演日程としっかり重なってしまい、尋常ではない過密スケジュールで日々を過ごしていた彼らだが、そうした状況については発売中の『GiGS』誌などでも報じられているので、すでに把握している読者も少なくないことだろう。
さらに、音源自体が完成してからも、彼らはアルバムに付随するさまざまな確認作業や各方面からの取材などに追われていた。余談ながら9月24日、25日のZEPP TOKYOでの公演には、イギリスからの取材チームが来場。『KERRANG!』や『METAL HAMMER』といった専門誌が、わざわざDIR EN GREYを取材するためだけにやって来たという事実を考えただけでも、このバンドの国外での需要の高さがうかがえるというものだ。
ツアーが終盤を迎えても、メンバーたちはかならずしも「日々のライヴに集中すれば、それだけでいい」という状況にあるわけではない。実のところ、こうして僕が名古屋公演に潜入したのもある取材のためだし、さらには現地でのプロモーション活動も、ミーティング的なものもある。そうして彼らの自由時間は奪われていくわけだ。が、それでも『UROBOROS』が音源として完成に至ってからは、精神的にも肉体的にもいくぶん余裕を持てるようになってきているのが、メンバーたちの表情からもうかがえる。
で、肝心のライヴについてだが、この夜も強烈だった。開演時、暗転した場内に巻き起こった歓声とどよめきの音量が、会場規模や超満員という状況のわりにはなんだか控えめな気がしたが、アンコールを求める声の大きさはまるで違っていた。2階からオーディエンスの反応ぶりを見渡していて気付いたことだが、もしかするとこの日は、初めてDIR EN GREYのライヴを観たという人たちの割合が、普段の平均よりも高めだったではないかという気がする。仮にその推察が間違いないとすれば、これは良い兆候だろう。なにしろ好奇心本意で偵察に来た観客が、終盤には大声でアンコールを求めるようになっていたということなのだから。
この夜も、意外性と王道的な流れの双方を盛り込んだセット・リストにはツボを突かれまくりだったが、なかでも『UROBOROS』収録曲のなかから先行披露されている「蜷局」と「凱歌、沈黙が眠る頃」の2曲は、演奏回数を増すごとに整合感と刺激度を高めつつあり、もはや今回のツアーには欠かせない存在だと感じられる。参考までにこの2曲には、Dieの奏法面について共通点があったりもする。ヒントは“右手”。ここまで言えば誰でもわかるはずだが、当初、彼が“アレ”をやる姿を目の当たりにしたときは、僕自身もものすごく新鮮さを感じたものだ。
というわけで、例によってライヴ自体の具体的な話はここまで。今回のDIR EN GREYのツアーは、10月18日、東京・新木場STUDIO COASTでの追加公演をもって終了し、11月からはその舞台をアメリカに移すことになる。そしてすでに発表されている通り、12月29日には『UROBOROS-breathing-』と題されたライヴが大阪城ホールで行なわれる。そのタイトルから察すれば、この大阪城ホール公演こそが、『UROBOROS』の世界観がステージ上に体現される最初の機会になることはほぼ明白と言っていいはず。今から楽しみでならないが、まずはその前に、『UROBOROS』を熟聴できる日の到来を待たなければならない。リリースまであと1ヵ月と少々。心して待て!
増田勇一
9月は12本のライヴを観て、15本のインタビューをとった。そして10月のスタートを、僕は名古屋で迎えることになった。目的は言うまでもなくDIR EN GREYを観ることだ。去る9月10日に幕を開けた<TOUR08 THE ROSE TRIMS AGAIN>も、いよいよ終盤に突入。ツアー序盤は、当初の予定よりも遅れ気味だったニュー・アルバムの最終ミキシング作業が公演日程としっかり重なってしまい、尋常ではない過密スケジュールで日々を過ごしていた彼らだが、そうした状況については発売中の『GiGS』誌などでも報じられているので、すでに把握している読者も少なくないことだろう。
さらに、音源自体が完成してからも、彼らはアルバムに付随するさまざまな確認作業や各方面からの取材などに追われていた。余談ながら9月24日、25日のZEPP TOKYOでの公演には、イギリスからの取材チームが来場。『KERRANG!』や『METAL HAMMER』といった専門誌が、わざわざDIR EN GREYを取材するためだけにやって来たという事実を考えただけでも、このバンドの国外での需要の高さがうかがえるというものだ。
ツアーが終盤を迎えても、メンバーたちはかならずしも「日々のライヴに集中すれば、それだけでいい」という状況にあるわけではない。実のところ、こうして僕が名古屋公演に潜入したのもある取材のためだし、さらには現地でのプロモーション活動も、ミーティング的なものもある。そうして彼らの自由時間は奪われていくわけだ。が、それでも『UROBOROS』が音源として完成に至ってからは、精神的にも肉体的にもいくぶん余裕を持てるようになってきているのが、メンバーたちの表情からもうかがえる。
で、肝心のライヴについてだが、この夜も強烈だった。開演時、暗転した場内に巻き起こった歓声とどよめきの音量が、会場規模や超満員という状況のわりにはなんだか控えめな気がしたが、アンコールを求める声の大きさはまるで違っていた。2階からオーディエンスの反応ぶりを見渡していて気付いたことだが、もしかするとこの日は、初めてDIR EN GREYのライヴを観たという人たちの割合が、普段の平均よりも高めだったではないかという気がする。仮にその推察が間違いないとすれば、これは良い兆候だろう。なにしろ好奇心本意で偵察に来た観客が、終盤には大声でアンコールを求めるようになっていたということなのだから。
▲演奏終了直後、メンバーたちがステージから姿を消したまさにその瞬間の客席。尾張名古屋、炎上! |
というわけで、例によってライヴ自体の具体的な話はここまで。今回のDIR EN GREYのツアーは、10月18日、東京・新木場STUDIO COASTでの追加公演をもって終了し、11月からはその舞台をアメリカに移すことになる。そしてすでに発表されている通り、12月29日には『UROBOROS-breathing-』と題されたライヴが大阪城ホールで行なわれる。そのタイトルから察すれば、この大阪城ホール公演こそが、『UROBOROS』の世界観がステージ上に体現される最初の機会になることはほぼ明白と言っていいはず。今から楽しみでならないが、まずはその前に、『UROBOROS』を熟聴できる日の到来を待たなければならない。リリースまであと1ヵ月と少々。心して待て!
増田勇一
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