INORAN、闇・死から喚起される光の生命力を繊細な歌詞とサウンドで描き出す問題作5thアルバム『apocalypse』リリース大特集

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INORAN「5thアルバム『apocalypse』リリース」大特集

闇・死から喚起される光の生命力を繊細な歌詞とサウンドで描き出す問題作


――今回インストが4曲入っていて、しかも詩世界が濃い。なのにアルバムの印象としてはきっちり“歌もの”として成立させてるところはスゴいなと思いました。

INORAN:いや僕ね、今回は歌ものにするのはやめようと思ってたんですよ(笑)。もうちょっと歌わない感じのアルバムにしようかな~って思ってたんですけど、なっちゃいましたね。やっぱり好きなんでしょうね。いま(ツアーの)リハやってるんですけど、かなり歌ものですね。“あれ?”なんて思ったりします(笑)。誤算ですね。

――誤算というか。

INORAN:いい誤算ですね。前作は歌に対して、チャレンジの仕方がすごく余計な力が入った感じがしたんですね。だから、今回はもうちょっと等身大というか、いまの自分のリアルな…歌詞の世界もそうなんですけど、歌も声も肩の力を抜いたものにしようと思ってたら、こうなりました。肩に力が入ると、人間って本当の力が出ないので。それはやっぱり歌詞を書いてもらったってのがきっかけで。自分はそれに対して“歌”できっちり返したいなと思ったし。だから、こういう歌と詩になったのかなって。

 

――歌を聴きながら、自分たちは何を見据え、何を考えながら毎日を生きていくのか。そんなことを考えさせられましたね。

INORAN:3曲目(『I'll』)はそうですね。いまがすべてであって、いまを理解するということなんですよ。未来は明るくて幸せなほうがいい。自分はそうしたいし人にもそうしてあげたい。けれども、いまが楽しいからいいというのではなくて。“死生観”とかを持って生きてかないとリアルじゃないんですよ。それは、生きてくなかで人と出会ったり、別れたりするなかで“いま”っていうものがある訳だからね。僕が考えることなんて大したことじゃないですけど、死が常にあるから生きてく喜びを得られる。それは『ニライカナイ』を作って以降、すごく考えたことなんです。このアルバムにはそれがすごく入ってますね。“何のために生きているのか”というのは、自分のためだけじゃなくて、何が周りにあるか、どうして自分は立ってるのか、歩いてるのかっていうこと。本当にいま、自分の足元を見るようにしたいっていう思いがすごく入ってる。

――なるほど。アルバムは“僕たちにはそれでも 翼はついていますか?(『Let me down』)”という問い掛けで終わるんですが、そこが、片翼が描かれた壁画の前でINORANさんが佇んでるアーティスト写真にもつながっていくんですね。

INORAN:こういう絵がアルバムを作るときに浮かんだんです。

――アルバムの初回盤には『千年花』のPVも収録されますが。こちらの見どころは?

INORAN:『≪a≫symmetry』(INORANが映画のために書き下ろした曲を提供)っていう映画を最近撮られた佐藤徹也さんという監督がいるんですけど。その映画の感触や目指してることにすごく共感できたので、お願いしたんです。佐藤さんなりの『千年花』を撮ってくれましたね。

 

――そして、アルバム発売後の全国ツアーもありますね。こちらはどんなものになりそうですか?

INORAN:「<Butterfly effect>というツアー・タイトルの言葉の通りに、自分も一つ一つを大切にやりたい。ライヴって時と空間の共有なんで、共有したことによって化学反応が起こる。幸せになるような音楽を奏で合いたいですね。

――香港でのソロライヴもありますね。

INORAN:楽しみですよ。夏に台湾と韓国のフェスに出していただいたんです。台湾や香港はLUNA SEAで何回かやったことがあるので。そういう部分でまだ大切に思って待ってるくれる人がいっぱいいてくれてとても嬉しかったし、できるところではやりたいですね。今後も。

取材・文●東條祥恵

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