村田和人、約30年のときを経て明かされる珠玉の未発表曲集『NOW RECORDING+』リリース大特集

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――ソロアルバムは13年ぶりですが、その間どんな活動をされていたんですか?

村田和人(以下村田):オリジナルのアルバムを12枚作った後レコード会社を外れて、しばらくはライヴだけやってたんです。曲を作ってアルバムをレコーディングして、プロモーションしてライヴして、という決まりきったパターンに飽きてたんですね。ライヴをやりながら、何ができるんだろうと探っていたんですけど、そのころ知り合いから音楽学校の講師をやってみないかと誘われた。やってみたらこれがまあ楽しくてやりがいがあって(笑)。たぶん僕に向いてたんでしょうね。教えるとそれだけ自分もうまくなるのが楽しい。講師は今もやってますけど、ここ数年はライヴが急に増えてきて、アンプラグドみたいな少人数セッションとか。そこから今回のアルバムに結びついてきたという感じですね。

――今回、デビュー前の曲を集めたアルバムを作ろうと思ったのはなぜですか?

村田:最近作った曲がいくつかあったんで、それと昔の曲を焼き直したものを足して一枚のアルバムを、と最初は思ってたんです。でも最近の曲はロックアプローチで、昔の曲とは相容れないんですね。デビュー以前の曲のメロディや曲の作りは、今の自分の感覚とはかなり違うんで。そこでこれは完全に分けて、昔の曲だけをピックアップしたアルバムにしようということになったんです。

――こういうアルバムの構想はかなり以前からあったんですか?

村田:最初のアイデアがあったのは6~7年前くらいですね。ただ僕は無精なんで、誰かにお尻を叩いてもらわないと進まない。アルバムのときもいつもそうだったんですけど、“そろそろデモが聴きたいです”という電話があってからまとめ始める(笑)。実は今回はライヴのプロモーションをしたかったのがきっかけなんですね。久々に村田バンド全員で4月にツアーをする、そのプロモーションを各地でやろうと。でもそのためにはCDの一枚もないと、ということだったんで、じゃあ2月までにアルバムを作るから3月にプロモーション入れてよっていうことで(笑)。


――ここに収録されている10曲は、常に温めていた曲ですか? それとも久し振りに掘り起こしてきた曲?

村田:半分くらいは、曲が少なかったデビュー当時のライヴ用の大事な曲でした。曲が増えてからはやらなくなりましたけど、それでも最初のうちは毎回アルバムの候補曲に挙がってましたね。でも3枚目位からは、どうせなら新しく書き下ろした曲で、ということで候補にも挙がらなくなって。だから6~7年前までの15~16年は眠ってたという感じ。残りの半分はホントに30年ぶりくらいに掘り起こしてきた曲です。

――久々に昔の曲をご自分で聴いた印象はどうでしたか?

村田:今の自分だとこうはならないなと。アレンジにしても歌のアプローチにしてもぜんぜん違う。まあアレンジとかアイデアは、これもありかなという感じですけど、メロディのラインはまったく違う。このコードにこのメロディっていうのは今は絶対に作れないな。もうまるで違う人、現在二十歳の村田を今の僕がプロデュースするという感覚でしたね。

――そういう昔の村田さんのテイストは残そうと思いました? それとも完全に今の自分の曲にしようと?

村田:メロディを壊さないように、今の僕の曲に変えたいと思いましたね。とくにリズム。昔のデモテープはリズムボックスとか使ってないので、リズムについてはノーアイデアだったんです。ミュージシャンとして成長した今の村田が、二十歳の村田の曲をどういうリズムアレンジで新鮮な味にするかということで。ただメロディとかテンポ的なものはあまりいじらないようにしました。よくリミックスとかであるような、ちょっと違うけど聴こえてくるメロディは同じ、っていう感じにしようと。

――歌詞についてはどういう印象でした?

村田:歌詞もずいぶん違うなあという感じでしたね。今回は当時作ったそのまんまの歌詞でほとんどやってるんですけど、まあちょっと時代背景を感じるような歌詞については直したりしました。“ふとん”を“ベッド”に直すとかね。

――他にも色々な曲があったと思いますが、この10曲を選んだのはなぜですか?

村田:もう1~2曲は追加できたし、曲もあと4~5曲あるにはあったんですけど、クォリティが達していないという判断で。無理やりアレンジでなんとか聴けるようにもっていくよりは、この10曲ぴったりで収めたほうがいいかなと。

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