陰陽座、4つの鬼が極限の姿を曝す渾身の8thアルバム『魑魅魍魎』リリース特集

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陰陽座 つの鬼が極限の姿を曝す渾身の7thアルバム『魑魅魍魎』リリース特集

ヘヴィメタルのあらゆる要素を呑み込んだ激作が登場


――前にどこにいたのかが見えなくなるようなことは決してない、と?

瞬火:ええ。前の住所を隠さないといけないような引越し方はしたくないですからね(笑)。

――同時に、すごくベーシックな発想に立ち返っている部分もあるように思うんですよ。たとえば「リフが命の曲なら、とにかくリフで押し切ろう」みたいな気持ちが感じられる曲もいくつかある。

瞬火:確かに。ただ、それはいわゆる原点回帰みたいなものではなくて。自分たちの場合、「戻らなければならない原点などない」という気持ちがあるんです。“戻る”ということは“さかのぼる”ということですよね? でも陰陽座の場合、原点と呼べるような核は常に帯同していて、どこかに置き忘れてくるということがないんです。だから「リフ一発で聴かせようとした曲」があるのは、そういったものを常々カッコいいと思っていたからこそだし、そういった発想で作った曲を、まさにそういう性質のものとして聴いてもらえたということは、今回の僕たちの試みは成功したということだと思います。

――つまり僕は、成功を裏付ける発言をしてしまったわけですね(笑)。

瞬火:そうですね。ありがとうございます(笑)。ただ、もちろんそればかりではないし、逆に、もっと作り込むべき曲についてはさらに深みのあるものになっていると思います。

招鬼:結成当時から、バンドの方向性とか「陰陽座をどんなふうに進めていくか」ということについては、瞬火のなかにしっかりとしたヴィジョンがあって。そこで全員が共鳴できていることを一緒に突き詰めてきたバンドなので、楽曲的にも方向性の部分でもまったく迷いがないんです。それこそ「この曲はリフ一発で押し切るのがカッコいい」という話になったとき、そこで「カッコいいかどうかわからないけど、とりあえずやってみよう」というメンバーは1人もいない状態にある。それがさっき指摘された“地に足の着いた印象”に繋がっているんじゃないかと思いますね。

 

――リフ云々という部分で言うと、たとえばジューダス・プリーストで言うなら『ブリティッシュ・スティール』かな。

瞬火:なるほど。僕のなかでは例えば「野衾忍法帖」は『ブリティッシュ・スティール』というよりも『黄金のスペクトル』的な気がするんですけどね(笑)。わからない人には、めちゃくちゃわかりにくい話でしょうけど(笑)。

――ええ(笑)。同時に、さきほどの発言にもあったように、ドラマティックな曲は過剰なくらいドラマティックだったりもする。結果、1曲1曲の性格がものすごくハッキリしたものになっていますよね。どの楽曲でも手加減がないというか、その楽曲の性質に沿いながら完全に振り切っているというか。

瞬火:ああ、それはもうまったく僕自身の意図したとおりですね。そういう意味で、すごく究極的な成り立ちなんですよね。シンプルにリフで攻めるものについては徹底的にそれだけで攻めまくる。ドラマティックなものは、やりすぎなくらいどこまでもその物語を追求する。そんな極端さがある。そこで、剥離しないように中和させようというのがまったくない状態。でも、少なくとも自分たちとしては、散漫なものにはなっていないと確信しているんです。陰陽座を知っている人たちには、どの曲も陰陽座らしいと思ってもらえるはずだし、仮にまったく知らない人がこれをたまたま聴いたとしても、その人が何らかのロック・ファンであるならば、この12曲のうちどれか1曲くらいはかならずピンとくるものがあるはずだという確信がある。激しいのが大好きな人でも、キャッチーなものが好きな人、雰囲気のあるメタルが好きな人でも、どれか1曲は「あ、こんなのもやるんだ?」と感じるはずなんです。で、そういう作品を成立させるためには、1曲1曲の“あるべき姿”を追求しようとするときに、手加減があってはいけないと思うんです。手加減があることによって、結果、中途半端で薄いものになってしまうわけなんで。

 
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